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各地域のISPと契約、海底整備にも投資

【集中連載】現地で見たNetflix “最強” の理由(2)各地域に大型サーバーを配備して快適視聴を実現

山本 敦
2017年03月23日
山本敦氏が米Netflixの本社を訪問、Netflixの最新動向やその取り組み、今後の展開についてレポートしていく連続企画。第2回目では、Netflixの配信の礎となるサーバー設備などのインフラ面について、同社の担当者から話を聞いた。

世界190カ国以上の地域に安定したストリーミング配信ができる理由とは

Netflixのコンテンツ配信に関する取り組みと最新技術については、Vice President Content DeliveryのKen Florance氏が解説した。Florance氏は自らのチームのミッションについて以下のように述べている。

コンテンツデリバリーの取り組みについてはKen Florance氏が現状を語った

「蓄音機からラジオへ、そしてテレビからインターヘットにまで、私たちの身の回りにあるコンテンツ再生機のメインストリームは目まぐるしいスピードで変化してきました。Netflixでは1997年の創業時から映像中心にコンテンツ配信に取り組み、2007年からはインターネットによるストリーミングサービスも始めています」。

「今では毎日でトータル1億2,500万時間以上のコンテンツをユーザーに視聴いただいていますが、皆様がコンテンツを再生する際にストレスを感じないようプラットフォームを整備することが私たちの仕事です」(Florance氏)

Netflixは「Open Connectプログラム」と呼ぶ独自のコンテンツ配信の仕組みを構築している。Netflixが提供されている世界190カ国以上に、アメリカ本社のデータサーバーが全て直結してコンテンツを配信する方法は効率が悪く、ストリーミング品質を高めることも難しい。そこでNetflixは、サービスを提供する各地域のローカルなISP(インターネット・サービス・プロバイダー)と契約を結び、データセンター用の大型サーバーを設置する取り組みに力を入れてきた。

Netflixが世界の各配信地域のISPに導入を促すOpen Connectプログラムの専用サーバー。コンテンツのボリュームやユーザーの規模に合わせて1箇所に多くのサーバーが導入される場合もある

Florance氏は「Netflixを視聴するために発生する大量のトラフィックをローカル単位でさばくことができれば、その地域のユーザーだけでなく全世界で安定した視聴が行えるようになります」と意図を説明する。世界各地に配備するサーバーの規模についてはコメントを控えたが、どうやら日本にはすでにかなりの規模で配備が完了しているようだ。またNetflixのユーザーが伸びているアジアやアフリカで、増強を図っているところだという。

サーバーは導入時にNetflixの作品があらかじめ保存された状態で各ISPに送られる。必要なサーバーの台数は地域ごとに視聴できる作品の本数や内容によっても異なるが、最低2台以上が必要になる。ストレージの種類はHDDとSSDのものがあり、視聴される頻度の高いタイトルは読み取り速度の速いSSDの方へいったん移しておくことで、トラフィックを安定してさばけるようにする仕組みなども採り入れている。

世界各国にISP拠点が散らばる。新作のデリバリーについては、インターネットのトラフィックに影響を与えずに迅速にデータを送れるように海底ケーブル網を活用する

ISPの拠点にサーバを設置した後、最新作品をサーバーに移す段階でも機材に負担がかからないよう、海底ケーブルネットワークを全世界に敷く設備投資にも力を入れている。

「ISPが投資を少なく抑えながら、カスタマーにとってより快適にNetflixが視聴できる環境を整えることもローカライズ制作の重要な柱」とFlorance氏は説明している。

(山本 敦)