新製品批評
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Blu-rayディスクレコーダーが登場し大きな注目を集めている。このBlu-rayディスクは実際にどれだけの実力を秘めているのか? 

ここではBlu-rayDVDの違いに焦点をあてながら、Blu-rayディスクの基礎的な部分を解説する。

 


現行のCDには遠赤外、DVD機器には赤色レーザーが使用されている。同じ12cm盤でありながら、CDは音楽情報のみ。一方、DVDでは映像や高品位音楽情報を伝送できる。その違いはレーザーの波長にあり、CDに比べて短波長レーザーを使用するDVDではCDの約6倍の情報を納めることができる。レーザー光線の波長が短くなると小さいスポット(焦点)で小さなピット生成が可能で、ディスクの記録容量が増大する。

可視光線領域では、長波長端に赤色〜短波長端に紫色がある。新たに登場したBlu-rayで使用している青紫色レーザーは、赤色レーザーに比べて遥かに波長が短く、同一サイズのディスク内の情報容量がDVDの約5倍(23GB)に増大する。DVDはNTSC映像情報が中心だが、Blu-rayではハイビジョン映像情報処理がターゲット。1枚のディスクに2時間以上の録画が可能で、放送の約50%がハイビジョンという地上デジタル放送にも好適である。


トラックピッチのイメージ比較
上からBlu-ray、DVD-RW、CD-Rのトラックピッチ。間隔の狭いBlu-rayは、より高密度な記録が可能となる。

 


Blu-rayディスクもCDやDVDディスクと同じ1.2mm厚。しかし、内部の構造は大きく異なる。

CDでは1.2mm厚の透明基板にレーザー光線を通過させ読み取る形態、DVDでは2枚の0.6mm厚基板を貼り合わせデジタル情報層は1枚の基板の上面(貼り合わせ面付近)に置きその基板を透して読み取る。

Blu-rayディスクの記録・再生波長は405nmと極めて短く、CDやDVDディスクのように厚い基板を透して記録・再生すると精度が低下する。そこで、1.1mmの基板に0.1mmの透明なカバー層を設けデジタル情報層を置き、基板を背負うような形態となる。

デジタル情報を記録する記録層の構成は読み取り側から大きく分けて、保護層、記録層、保護層、反射層、の4層構造。保護層は大切な記録層や反射層を保護し、また放熱する効果もある。記録層は、基本的にCD-RWやDVD-RWと同じ金属系の素材〜相変化記録材を青紫色レーザーに対して最適化している。TDKのBD-RE120Nでは、23GBの大記録容量と36Mbpsの高転送レートを実現、高品位のBSデジタル・ハイビジョンで2時間以上収録が可能となる。


ディスクの構造比較

▲図はクリックで拡大
Blu-ray、DVDともにディスクの厚さは1.2mm。レーザー光は、Blu-rayがカバー層側、DVDは基板側からそれぞれ入射する

 

 


DVDレコーダブル・ディスクには、テープのように書き換え可能なDVD-RWやDVD-RAM、1回のみの記録が可能な追記型のDVD-Rがある。

現在、Blu-rayレコーダー用ディスクは、書き換え型ディスクのみの発売だが、追記型と書き換え型の用途に応じた運用が自然であることは、現行のDVDレコーダーでも実証されている。TDKは既に記録素材に金属系素材を採用した追記型ディスクを開発しており、追記型に対応したドライブもいずれ登場しよう。TDKが金属素材を採用した背景は、DVDの追記型ディスクであるDVD-Rでは記録素材に有機色素材が採用されているが、書き換え型のDVD-RWやDVD-RAMの相変化素材に対して反射率が大きく、両者のレベル調整が大変である。

Blu-rayの場合には始めに書き換え型が登場、追記型は後発となるため、出力レベルを揃えるためにも書き換え型と同系統の金属系素材の採用が好ましい、とTDKでは判断した。


Blu-ray/DVD 規格の比較
書き換え型 追記型


Blu-ray



BD-RE

規格
策定中


DVD


DVD-RW
DVD-RAM
など
DVD-R
など