新製品批評
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 アナログデバイセズ社の定評あるデバイスを心臓部に採用した映像回路も、ハイエンドのDVDプレーヤーにふさわしい構成といえる。詳細な画質調整機能を盛り込んでいるので、組み合わせるディスプレイの種類に合わせて画質を追い込める楽しみもある。映像素材の種類を検出して処理を最適化するプログレッシブ回路も、信頼性の高さで定評のあるシステムを採用している。なお、ビデオ回路とオーディオ回路の間の干渉は細心の配慮で物理的に回避されているが、音楽再生時には、ビデオ回路の電源を遮断することで電気的に回避することもできる。

 エソテリックのCDプレーヤーは、メカニズムの精度と剛性への徹底したこだわりが貫かれているが、本機もその思想をしっかり継承した。底板に5ミリ、天板に6ミリ厚の鋼板をそれぞれ使用した総質量20kgを超える筐体は、共振とは無縁の堅牢さがあり、3点支持方式のスパイク状フットでしっかりとサポートされる。なお、このフットは本体側のスパイクと受け皿が一体構造になった形状で、セッティング時に位置調整が必要ないなど、とても扱いやすくなった。

アナログデバイス社製108MHz12bitエンコーダー「ADV7399A」を心臓部に採用した映像回路

底板は5ミリ厚、天板は6ミリ厚のスチール製。質量21.2kgの筐体には、音・映像ともに高いパフォーマンスを得るための素材と構造が惜しみなく採用されている


スチール製の重量級メカASSYは、2個のブラケットで強固に固定する無共振構造を徹底。ディスク高速回転部を支えるメカの強度を高め、安定したデータの読み出しを可能にしている

筐体重量と無共振構造を支える3点支持方式のスパイク状フット。ピンと受け皿が5ミリ厚の底板に直接止められている

 メカニズム上部に重量級の大口径スタビライザーを配したうえ、メカを支えるブラケット部分にも十分な補強を行い、DVDプレーヤーとしては異例とも言える強固な構造を実現した。エソテリックのトランスポートやCDプレーヤーが世界的に高く評価されている一因は、メカニズムの精度の高さと徹底した無共振思想にある。その技術は、DVDプレーヤーでも大きな効果を発揮するはずだ。信号の高精度な読み取りは、音だけでなく、画質改善にも貢献するに違いない。

 背面に用意された仕上げ精度の高い端子をはじめ、カットコアトランスを採用した電源回路、4層のガラスエポキシ基板など、贅沢なパーツ・基板を奢っていることも既存のDVDプレーヤーとは大きく異なる点だ。シャーシ内部を眺めてみると、細部にまでノイズ対策や振動対策がしっかり行き届いていることがわかる。まさに高級オーディオコンポーネントと同じ水準の作りである。