新製品批評
Phile-web >> 製品批評 >> ESOTERIC DV-50 >> 音楽再生


 DV−50は、DVDビデオのほかに、CD、DVDオーディオ、SACDの各メディアの再生に対応した、いわゆるユニバーサルプレーヤーである。もちろん、DVDオーディオとSACDは、マルチチャンネルで収録されたディスクの再生にも対応している。ピュアオーディオの分野で高い評価を確立しているエソテリックが、映像機器の分野に本格的参入を果たし、さらにマルチチャンネル音源の高音質再生に挑むという、二重の意味で注目すべき製品なのである。DV−50の特徴を順を追って見ていくことにしよう。

 まず、高音質再生の基本となるDA変換回路に大きな特徴がある。CDとDVDに対しては、デジタルデータのアップサンプリング処理を行ったうえでD/Aコンバーターに入力される仕組みだが、その過程で類推補間技術「RDOT(Refined Digital Output Technology)」を適用することができるのだ。RDOTは同社のCDトランスポート/DACシステムのP−70/D−70など高級機に採用されている技術で、位相の歪みを発生することなく、20kHz以上の成分を補間する点に特徴がある。

高品位なオーディオ再生を実現した本機のオーディオ基板。通常の6チャンネルD/Aコンバーターで変換されるアナログ出力とは別に、完全に分離された2チャンネルのアナログ出力を備える

デジタルフィルターモードの切り替え操作は本機フロントパネルのスイッチで行える。アップコンバート周波数を表示するブルーインジケーターが点灯


デジタルアウト端子(CD専用)には光端子×1、同軸RCA×1を備える

高品位2チャンネル端子にはRCAの他にもXLR端子を搭載している

 このRDOTアルゴリズムに従来型のデジタルフィルター(FIR型)を組み合わせたモードでは、CDの場合で最高1411.2kHz、DVDでは1536kHzまでのアップコンバート処理を実現することになる。これらのサンプリングレート変換と24bitのハイビット処理によって、良質なアナログシステムに通じる、なめらかで質感に富む再生音が期待できる。DV−50と他のDVDプレーヤーの一番大きな違いはここにあるといってよい。D/Aコンバーターは左右差動構成の4DACシステムなので、特にステレオ信号再生時の音質メリットが大きい。

 SACD信号は高精度クロック回路でジッター成分を除去したのち、FIR型アナログフィルターに入力される仕組みだ。DSD録音本来の良さを生かした高音質再生が期待できる。