新製品批評
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文/山之内 正

松下電器産業(株)は書き換え型光ディスクの技術で世界のトップを走り続けている。繰り返し録画を実現する相変化技術は同社が30年近い年月をかけて開発し、完成させたもので、その成果は家庭用DVDレコーダーを発売する前に、まずPC用DVD-RAMドライブで開花した。「記録できるDVD」がいよいよ現実のものとなったのである。

記念すべき家庭用DVD-RAMレコーダー1号機、「DMR-E10」

その技術をベースに2000年6月、家庭用DVDレコーダーの第一弾、DMR-E10が登場した。DVD録画時代の幕開けを告げる記念すべき出来事であった。

DMR-E10は、現在の同社のDVDレコーダーの基本機能であるプログラムナビ、プレイリスト再生などをすでに実現していたほか、第一号機にふさわしく、プログレッシブ対応はもちろん、5.1ch出力の装備、ゴーストリダクションチューナーの搭載など、画質・機能の両面で充実した内容を身に付けていた。同時期に4.7GBの大容量化を果たしたPC用DVD-RAMドライブが導入されたが、PCで録画したディスクをDMR-E10で再生できるなど、PCとの互換性の高さがDVD-RAM方式の大きな利点であった。

録画しながら再生する追っかけ再生を実現した「DMR-E20」

1年後の2001年7月に登場したDMR-E20は、家庭用DVDレコーダーとして画期的な機能を実現したエポックメイキングな製品だった。DVD-RAM規格の高速転送レートを生かし、録画しながら再生する追っかけ再生を実現したことは大きな驚きをもって迎えられた。また、DVD-RへのVBR記録を実現したのも本機からである。

ハードディスク内蔵タイプの1号機「DMR-HS1」

DMR-E20で培った技術をベースに、同じ年の12月、はやくもHDD内蔵型の第一弾、DMR-HS1が登場する。40GBのHDDを内蔵し、DVD-RAMへの高速ダビングを実現した本機は、現在主流になっているハイブリッド型の原型となった製品。DV端子、自動更新録画機能、FRモードなど、デジタル録画機ならではの使い勝手を提供する機能を数多く搭載した完成度の高い製品であった。

高さがグッとスリムになり、戦略的な価格で登場した「DMR-E30」

松下電器産業(株)のDVDレコーダーは毎年大きなステップアップを実現してきたが、2002年3月には、初めて定価が10万円を切るDMR-E30を導入。DVDレコーダー人気に拍車をかける起爆剤となったモデルである。単体機としての完成度は、プログレッシブ出力に対応したこの製品で一気に高まった印象がある。驚くほどスリムなボディは、DVDというメディアのサイズを生かした画期的なもので、いまだに他社の製品にも大きな影響を与え続けている。

性能の充実を図り、同時にスリム化も成し遂げたハイブリッド機「DMR-HS2」

DMR-E30をベースにハイブリッド構成を採用したDMR-HS2(2002年8月発売)は、DVDレコーダーの主流がハイブリッド型に移行するきっかけを作った重要な製品で、今年登場した最新シリーズの直接の前身である。

こうして進化の系譜をたどってみると、開発スピードの速さに驚かされる。だが、その進化がユーザビリティを犠牲にしていない点に感心した。使い勝手や基本機能の作り込みには第一号機から一環したポリシーが感じられ、その使いやすさは現行製品にもしっかり受け継がれている。

 

パナソニックDVDレコーダー進化の系譜
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