受賞インタビュー

松下電器産業(株) 専務役員
パナソニックマーケティング本部 本部長

牛丸 俊三
SHUNZOU USHIMARU

ビエラリンクのつなげる楽しさで
豊かな生活を応援したい

松下電器は、ビジュアルグランプリの歴史の中で近年の4期連続金賞をはじめ幾度も重要な賞を受賞、高い評価を得続けている。今年のビジュアルグランプリ2006 SUMMERにおいては、松下電器の大いなる功績に対して「総合大賞」が贈られた。同じく「金賞」に輝いたビエラPX600シリーズは、テレビにつながる機器を集中コントロールできる画期的新提案「ビエラリンク」を実現。業界をリードする松下電器の意気込みを、専務役員・牛丸俊三氏に聞く。

インタビュアー ● 音元出版社長 和田光征


薄型、大型、デジタル化
平均単価上昇への追い風

―― ビジュアルグランプリ2006SUMMERでは、新製品はもちろんですが、これまでのパナソニック商品トータルの大いなる業績に敬意を表しまして、総合大賞という賞を用意させていただきました。
 パナソニックが、この数年間ずっとビジュアルグランプリのトップを獲得してこられたこと、そして現在もそうですが、これから先もずっと商品戦略に大いなる夢を描かれていること、そういったすべてに対しまして、まさに総合的な大賞をお贈りするのが相応しいと判断させていただきました結果です。誠におめでとうございます。

牛丸 ありがとうございます。
 私は、2002年の6月に当社が行いました発表会で、あの時はまだビエラというネーミングもない頃でしたが、日本の薄型テレビというのは、女性を魅了する商品でなければならないと述べました。
 といいますのは、欧米においては高額商品の購入を決定するのは主に男性という傾向ですが、日本では女性の発言権が強い。ですから、これからの商品は女性を魅了するようなマーケティングをしていくべきだと。そういうことをお話しさせていただいたと思います。そういった商品が着実に受け入れられたと感じております。
 家庭の中のAV家電とパソコンを合わせた商品カテゴリーの中で、パソコンとテレビにかける費用の割合はとても大きいです。7割近くあるのではないでしょうか。いまだに、パソコンのネットワークとテレビのネットワークはどちらが勝つか、などということが取り沙汰されることもありますが、私は終始一貫、テレビが世界最大のエンターテインメントボックスであって、パソコンがテレビに置き換わるものではないということを言い続けております。そういう意味では、テレビのデジタル化、薄型化、さらに日本では地上デジタル放送化ということもあって、テレビに相当の追い風が来ました。
 ブラウン管のテレビが一番売れた時代は、大型では32型が主流でしたが、今は42型がわが社でも大変売れています。直近では5月に58型を出した影響で、50型もよく売れています。10年前には、一般の家庭に42型や50型が受け入れていただけるとは想像もつかなかったと思います。薄型・デジタル化が、家庭内に文化大革命をもたらしました。テレビの大型化に対する抵抗感がなくなりつつありますね。
 このような変化は、メーカーや流通の平均単価を上げたいという思惑だけでなく、お客様も含めて三方よしの状態ではないかと思います。政府も地上デジタルを推進しているわけですから、四方よしかもしれません。我々メーカーは努力してそういう商品を出してきました。その結果、テレビによってこの4年間平均単価が上がり続けてきました。
 今日本の家電業界では、白物がインフレインダストリーに、黒物がデフレインダストリーになっています。わが社でも、「ななめドラム洗濯機」やメお掃除ロボットヤ搭載のエアコン、ヘルシー傾向の付加価値のある電子レンジなどで白物の単価が上がっています。生活がリッチになる商品が求められているのですね。
それに対して黒物はどんどん単価が下がってデフレ状態です。それを打ち破るものが、まず地上デジタルチューナー搭載の薄型テレビだと思います。またテレビだけでなく、一眼レフのデジタルカメラも非常に増えておりますので我々は必ずしも悲観をしておりません。日本のデジカメ市場は世界で一番成熟したマーケットで、頭打ち状態になっていました。しかし今年は日本国内で70〜80万台一眼レフのデジカメが売れると予測されております。ここでも平均単価の落ち込みが解消されると思います。
 DVDレコーダーも昨年少し低迷しておりましたが、地上デジタルチューナー搭載型になって盛り返しました。さらにわが社では、ホームシアター商品も好調に推移しています。大画面になると、いい音で聴きたいという欲求が出てくるわけですね。
 テレビやデジカメが売れる台数は毎年ほとんど変わりませんから、商品の付加価値で平均単価を上げる努力が必要です。日本のメーカーのいいものをつくろうという意識、日本というものづくりの国がそういうものを進めていっていると思います。
 プラズマで50型が売れるようになってきた、58型も好調に推移している。我々もそうですがどのメーカーさんも、そしてご販売店も努力しておられます。お客様にとっては、テレビの画面サイズが大きくなれば生活が豊かに感じられると思います。日本の消費者のすばらしいところは、いい商品を認めてくださって、それに対してお金をつかってくださるというところです。これは日本特有の状況ですね。


テレビを中心にした
ネットワークが完成形に

―― そして、いよいよテレビを中心としたネットワークが完成形に近づいてきました。

牛丸 私が終始一貫して申し上げてきたことは、間違っていなかったのではないかと思います。我々の次の課題は、使い勝手です。年配の方々を含め、あらゆる方が使いやすいようなものを提供できたのかどうかという反省もこめて、今年はビエラリンクという提案をしました。
 ビエラとディーガとホームシアターを一緒に購入していただいた方は、ひとつのリモコンで全て操作ができます。再生も、録画も、すべてのスイッチを切るのも、リモコンひとつでカンタンにできます。ご販売店にとっても設置や結線が簡単になり、誤配線も少なくなったと思います。何といってもテレビの裏がすっきりときれいになって、ご家庭でも好評です。このように皆様に楽しい思いをしていただくことが大切です。
 おかげさまで、ビエラリンク用のHDMIケーブルもまた大変好調に推移しています。高額なケーブルであるにもかかわらず、4月には4万本が出ました。部屋の状況に合わせて1・0メートル、1・5メートル、2メートルから10メートルまで長さを取り揃え、壁や床に合ったような白・グレー、ブラウンといった3種類の色を用意しています。かつてパナソニックではこんなにケーブルで盛り上がったことはない、というくらいの意気込みでHDMIケーブルにも取り組んでおります。

―― ビジュアルグランプリ2006SUMMERでは、ビエラリンクにユニバーサルデザイン賞を用意させていただきました。牛丸さんが以前からおっしゃっていたように、70歳の方でも簡単に操作できます、ということが実現しましたね。

牛丸 この間の製品発表会の際にデモンストレーションされた方は、本当に70歳の方なんですよ。皆さん驚かれたと思います。プラズマテレビのお客様には、50代、60代のご自分の生活をもっとリッチにしたいという方が多くいらっしゃいます。また私の義理の母も88歳ですが、ビエラとディーガを持っていまして、家内と電話でテレビ番組の感想を言い合ったりするようになって実に楽しそうです。そんな人たちの生活をもっと応援したいですね。もっともっとリンク商品を増やして、年配の方に楽しんでいただけるようにしたい。
 今年のテレビには、15型の液晶から、65型のプラズマまで全商品にSDカードスロットもつけました。ルミックスなどのデジカメで撮影したら、即テレビの大画面で写真を楽しんでいただけます。SDカードスロットの搭載は、将来ますます意味を持つものだと思います。
 デジタルカメラのルミックスも2001年11月、シェア0%からスタートしましたが、おかげさまで今年は台数で18%、金額で20%のシェアまでに成長いたしました。

―― カメラも年配の方に人気がありますね。

牛丸 プラズマテレビのお客様世代にあたると思いますが、その方々にとっては、ライカのレンズは憧れでしたよね。一眼レフのデジカメをアナログ感覚で楽しんでいただきたいという思いから、ルミックスの新しい商品も用意しております。
 我々はネットワーク型の商品をすべてつくっております。薄型テレビ、DVDレコーダー、ムービー、デジカメ、ホームシアター、そしてHDMIケーブル、メモリーカード、プリンターもあります。テレビにつながる商品が全て自社製ですから、ネットワークを完成させることができるのです。

―― ネットワークが一気通貫で完成しているということも、総合大賞の評価対象となっています。

牛丸 マスコミの報道では、海外の薄型テレビメーカーが価格を武器に日本を追い上げていると言われていますが、そんなことはないと思います。国内の家電は日本のGDPの10%を持っていて、それだけ大規模な市場なのですから。我々も頑張らないといけません。
 海外は単品指向ですが、我々は商品群をつくることができます。また、消費者の方々も、大変ありがたいことに日本メーカーの価値を認めてくださっています。日本はAVデジタルの出現で復活し、もっともっと強くなると思います。


テレビにつなげるもの
次のテーマはセキュリティ

―― 牛丸さんがおっしゃってこられた方向で、御社の成果が着実にあがっておられます。業界全体として、今後はどう進めばいいとお考えになりますか。

牛丸 テレビは薄型化、薄型テレビは高インチ化と付加価値がついてきました。また、ネットワークを完成するという意味で、テレビにいろいろなものが簡単につながる世界を実現し、業界を盛り上げる。各メーカー、売り上げを伸ばし続ける。ご販売店も平均単価を上げていく。お客様は、簡単に商品をお使いになることができる。そんなことが理想ではないでしょうか。
 ネットワークにつながる次のテーマとして、パナソニックは、たとえば家庭のドアホンと連動させて来訪者をテレビで確認できるなど、セキュリティ関連も考慮に入れております。テレビにつながる商品群を増やし、映像を楽しむというだけでなく、家庭内の安全性というテーマも盛り込んでいきたいと思います。
 それから、ホームシアターをさらに普及させていきたいと思います。しかし、家庭内で複数のスピーカーを設置するというのはなかなか難しい部分があります。そこを解決していきたいですね。せっかくテレビが大画面になったのですから、ホームシアターでいい音を楽しんでいただきたいと思います。

―― 役割も広範囲になっておられますね。

牛丸 今度は白物も私の担当になりました。今度は明かりも変えていきたいですね。日本は部屋が明るく、テレビがきれいに見えにくい環境にあります。間接照明を普及させて、もっと画質的にいい環境でテレビを楽しんでいただきたいと思います。やりたいことがたくさんありますので、今後ともぜひよろしくお願いいたします。

―― 本日はありがとうございました。

◆PROFILE◆

SHUNZOU USHIMARU

1944年生まれ。長崎県出身。68年入社後、長く海外を担当。国内事業部、およびカナダ、イギリスでは現地法人の社長を歴任。00年より国内営業担当。03年4月より松下電器産業(株)パナソニックマーケティング本部長、兼 松下コンシューマーエレクトロクス(株)社長に就任。同年6月より同社役員に就任。