自然音などいくつかの音源を再生してみると、音のリアリティと生々しい定位は驚くほどだ。クロストークキャンセルの精度が高いためだと思うが、周囲の臨場感が際立っている。聴き手のすぐ脇など、近い位置に音が定位する不思議さは、通常のサラウンドシステムでは体験できないものだ。
さて、肝心のDVDはどうだろうか。映画を見て最初に気付くことは、音場のスケールの大きさである。左右から前方にかけて試聴位置の近くから壁の奥の遠い位置まで、見通しのよい音場が伸びやかに広がっている。効果音が大きく広がっても台詞は画面の位置にしっかり定位し、フロントサラウンドにありがちな音像のぶれが気にならない。音の移動感が生々しいことと、高さ方向の情報量が豊富な点において、実音像を使用する5.1チャンネルシステムにかなり近い感覚が味わえる。これもOPSODISのメリットに数えていいだろう。
試聴位置は左右中心がベストだが、画面との距離については、意外に前後に余裕があり、スピーカーからある程度離れた位置でも十分な広がり感を得ることができた。
実際の環境に合わせた調整機能も充実している。リアスピーカーの位置をサイドと後方で切り替えられるほか、前方スピーカーの高さも3段階の設定から最適な位置を選ぶことが可能だ。組み合わせるラックやスタンドの高さに合わせ、音を聴きながらリモコンから簡単に切り替えることができる。以上の設定を終えれば、本機から最適な効果を引き出すのは難しいことではない。壁の反射を利用しない方式なので、家具などの影響を受けにくいことも歓迎すべき点だ。
本機の登場によって、フロントサラウンド方式が市民権を得る日は近い。
|