他社製テレビを凌駕する「明るい3D」

専用の3Dメガネをかけ、『タイタンの戦い』など複数の3Dコンテンツを映画(3D)モードで視聴した。3D視聴でよく話題になる明るさについては、やはり他の3Dテレビに比べて優位性を実感する。この明るさであれば、照明を抑えたリビングルーム程度の環境ではまず不満を感じることはないはずだ。

 
3D映像に切り替わると画面のように表示される   『タイタンの戦い』を3D映像でチェックする山之内氏

 

最初は「明るさアップ」機能は利用せず、標準ポジションで視聴したが、室内をもう少し明るくしない限り、「強」まで上げる必要はないだろう。ただし、明るさの感じ方には個人差があるうえ、コンテンツの種類によっても見え方がかなり異なるので、この明るさ設定はもう少し細かく設定できると、さらに使い勝手が上がっただろう。

 
リモコンには3D関連のダイレクトボタンを装備。画面が暗いと感じたら「明るさアップ」ボタンを押せば良い   「明るさアップ」ボタンを押すと画面下に現在の明るさが表示される

リアル3Dのコンテンツはさすがに立体効果が自然で誇張が少なく、クロストークもほとんど気にならない。動きの速いスポーツでフォーカスの合った被写体とは別の部分に僅かなクロストークが発生することがあるが、それはシャープに限らず、他のメーカーの3Dテレビでも目立つケースである。

発色やコントラストにも余裕があり3Dライブ映像にも好適

発色の良さとコントラストの余裕は、3Dコンテンツにおいてもそれと気付くだけのメリットがある。特に、ステージ衣装の輝きやスポット照明の明るさは力強いと形容してもいいぐらいのエネルギー感があり、パワフルな印象を受けた。映画はある程度暗くても目が順応しやすいが、ステージのライブ映像などはそれなりの明るさが欲しいと感じることが多いので、本機のコントラスト感は威力を発揮しそうだ。

メガネは偏光板を内蔵するタイプなので、単体で見れば透過率そのものはそれほど高くない。装着時に明るく感じるのは、テレビ側の輝度とコントラスト向上でカバーしているということになる。

LV3ラインに同梱の3Dメガネ。快適な付け心地を実現している

また、これは偏光板を内蔵したメリットだが、顔を多少傾けた程度ではクロストークや色調の変化がなく、ちょっとラフな姿勢でも楽しめるのは歓迎すべき点だ。フリッカーの有無については照明の種類によって大きく変わるはずだが、今回視聴した部屋では蛍光灯をフルに点灯してもほとんど気になることがなかった。

   
シルバー、レッド、ブルーのファッショナブルな3Dメガネも別売りで用意されている

機能面でユニークなのは、3D映像を表示しているときでも、メガネのシャッター開閉タイミングを調節することで、メガネ越しに2D映像を視聴できる機能を搭載していることだ。仕組みとしては単純だが、これは今のところシャープだけの機能だ。家族で3Dコンテンツを楽しむ際、小さな子供などには2D映像を見せたい、というケースもあるだろう。こういう細かな配慮を怠らない姿勢には非常に好感が持てる。

非常に高い効果を発揮する2D-3D変換機能

豊富な機能をシンプルにまとめたリモコン。3D関連のダイレクトボタンを装備している点を山之内氏は高く評価

さて、3D対応のコンテンツが増えるまでは2D-3D変換機能を多用することになりそうなので、手持ちのディスクを含め、いろいろな映像で効果のほどを試してみた。

総合的に見て遠近感を強く実感できる映像は、奥行き方向の距離を十分に確保したロングショット、またはワイドレンズでとらえた近景の一番手前に被写界深度ぎりぎりの位置で動きがあるシーンで、これはセオリー通りの現象だ。標準設定で見る限り、極端な飛び出し効果を追求するのではなく、自然な範囲で立体感を演出しているという印象を受ける。

遠近感を誇張しすぎると意図しない位置でクロストークが出現するおそれがあるが、『アバター』で3D変換を試してみると、そうした場面は意外なほど少なく、安心して見ることができた。この作品で印象的だったのはイクランに乗るシーンの自然な遠近感で、後方に広がる遠景との距離感が非常にリアルで、深さや高さの表現が素晴らしいと感じた。

快適に3Dが楽しめる優れたインターフェース

2D-3D変換で視聴中、16段階に変更できるデプス調整を動かしてみる。ここまで細かく調整できる機種は少ないが、やはり調整ステップ数は多い方がいいと感じた。作品やシーンによって最適と思われる設定はほぼ決まるのだが、最後の微妙なさじ加減をコントロールできるのが嬉しい。

この機能の操作にメニューを呼び出さなくて済む点にも感心した。基本的に映像の内容を見ながらでないと微妙な設定ができないが、メニュー方式だと設定画面そのものが邪魔になって操作しづらいという欠点がある。3Dの明るさ調整もそうだが、リモコンのインターフェースは3D視聴を視野に入れた工夫があり、好感が持てる。