特集3

ホームシアタースタイル・ネクストステージ

担当編集者からの裏話

小生「先生、ディスクは何をお持ちになられましたか?」
武邑先生「『アルファビル』。ゴダールの。それと『去年マリエンバードで』。レネのね。」
……か、かっこいい。

対談の枕として「未来を描いた映画」を何枚か持ってきてくださいと武邑先生にお願いしました。「未来を描いた映画」というと一般的に『ブレードランナー』とか『未来世紀ブラジル』をあげてくる人が多いので、そういう系統かな、と予想していましたがさにあらず! 先生の持ってきたディスクを見た瞬間に、小生、「未来を描いた映画」に対する先入見は打ち砕かれました。

さて、対談の詳細は本誌を読んでいただきたいものですが、2時間以上にも対談は及んだので、紙数の関係で誌面に出なかったお話もたくさんあります。
少しだけ紹介しましょう。

例えば、著作権概念に対するラディカルな批判。
「アメリカがコピーライトを強引に産業化してしまった。でも、例えば日本では、和歌を誰かに贈る、その一部を組み入れた和歌をまた違う誰かに贈る、こういった文化があります。ところがこれを今やると盗用とか盗作とかいわれてしまう。そんな馬鹿なことはないでしょう。引用こそが文化を活性化させ、新しい表現を生み出します。」

こういった辛辣な言葉ばかりではありません。他にも直接知覚に訴える表現の可能性(安部公房の『完全映画』!?)なんかも出ました。
何といってもおもしろかったのは、対談終了後の雑談で山之内先生が発した「普段どんな音楽を聴いていますか」という質問に対する応え。
「テクノを聴いています。CDプレーヤーを真空管アンプにつないで大音量でテクノを聴くんです。(山之内先生の顔を見ながら)専門家から見るとヘンに思うかもしれませんが(笑い)。真空管アンプはコンラットジョンソンの250。真空管の音が好きでしてね。(この後山之内先生と真空管談義に花が咲く)」
真空管でテクノを鳴らす! す、スゴイ!
デジタルとアナログの衝突。まさに未来的。なるほど、「未来は現在の中にある」んですね(と一人納得してしまった)。

そんなこんなで長時間に及ぶ対談でしたが、小生、神経を覚醒させられました。とにかくスゴイ人でした。持続する強度と緊張を行間からたっぷりと味わってください。