音響測定機能を強化。使いやすさアップ

ヤマハのデジタル・サウンド・プロジェクター シリーズは、複数個の小型ユニットの再生音をきめ細かく時間制御することによってビーム上の指向性を創り出すサラウンドスピーカーである。高度な技術の採用にも関わらず、接続や設定は非常に簡単で明快。壁の反射を利用するので実音像がリアルに定位し、後方にも広がりのある音場を創り出す。本機は上位機種YSP-1000の後継機に相当し、自動ビーム調整機能の操作を簡略化したり、特定の位置にシングルビームを創り出す「マイビーム」機能を新設するなど、注目すべき新フィーチャーを導入した。

ビームの自動調整は付属マイクを本体に取り付けてからリモコンの専用キーを押すだけの操作で動作し、測定は約3分間で終了する。手動操作が必要だった初代機に比べると大幅に簡略化されており、操作に迷う心配もない。マイビーム機能はリモコンの専用キーを長押しすることでリスナーの位置を検出し、瞬時にビームをフォーカスさせる機能である。以前のターゲット機能を進化させたもので、音声はモノラルになるが、視聴位置を一時的に変更したときやナレーションが聞き取りにくい場合に重宝する。ターゲット位置をリモコンで微調整することも可能だ。

再生音は前作と同様にリアリティが高く、特に左右方向の密度の高さと、精度の高い距離感の再現性に驚かされる。ウーファーが小口径なので重低音の響きを体感するにはサブウーファーの追加が望ましい。設置的には専用ラックを利用するとスマートだ。手軽だが効果の大きい製品である。

(text.山之内正)