|
視聴したシステムは、フロントLRとサラウンドLRにNS-10MMF。センターにNS-C10MM。サブウーファーにYST-SW015という5.1チャンネル構成。アンプはDSP-AX540。これは、ヤマハが提唱する「お茶の間DIGITAL THEATER」の「Select 540」から、リアセンターを省略した構成だ。比較的低価格でまとめたのだが、プレーヤーについてはDVD-S2300を起用した。DVDオーディオやSACDのマルチチャンネル再生にも対応している高級機だ。
NS-10MMFは、ヤマハのスピーカー史の中でも最も長身細身の外形だ。口径9cmのダブルウーファーに対してジャストな横幅であり、これはいかにもスリムタワーだ。白い振動板が目を引くが、このウーファーユニットは、ヤマハスピーカーの象徴というべき「NS-10M」以来のペーパーコーンだ。伝統のシートコーンではなくプレス成型だが、紙パルプとしては同じ素材であり、軽量にして強靭な材料だ。またこのダブルウーファーで注目するべきなのは、外観は全く同じなのだが2つのユニットが微妙に異なっていることだ。つまりひとつのユニットを6層巻きのボイスコイルとして、低域の応答性を重視しているのだ。もう一方は二層巻きの広帯域仕様としている。どちらにしても、トールボーイ型のメインスピーカーに特化するためにコーン紙はより厚くしているのであり、NS-C10MMなどのウーファーと外見はそっくりだが、全く同一ではないという。
|
 |
トゥイーターは「バランスドーム型」。これはドーム型の周囲に、コーン状のサブダイアフラムが一体成型されており、両者がうまくバランスして、高域の音響エネルギーが効率良く、放射するように設計されている。
サブウーファーのYST-SW015はヤマハ独自のA-YST方式の最新の方式を採用したもの。16cmの駆動ユニットに強力な電流サーボを掛けてバスレフポートを理想的なエアウーファーに仕立てているし、さらに底面へ直接放射するQD-Bass方式として、重低音の放射効率を高めているのである。
ちなみに、これらのスピーカー群は、MDFによる高い密度と強度のキャビネットを備えている。それ自体は珍しくないのだが、ヤマハの場合、自社工場にて家具や楽器も手掛けるノウハウの蓄積のためだろう、剛直すぎず、柔弱すぎずという音響的な最良点に設計していることに留意したい。

本機の実力を音元出版視聴室にて、じっくりと確かめる吉田氏。プラズマディスプレイはPIONEERの43V型をレファレンスモデルとし、大画面にいっそう映える、本機の高音質を味わった。
|