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2chで聴くとその素地がとてもよくわかる。バランスを下へ寄せて落ち着きを見せ、腰が沈んで量感も豊かだ。ジャズのベースがずんずん前へ出てくる感触だ。ピアノも骨格が太く、輪郭の明瞭な音調になっている。スリムなタワー型でこれだけたっぷりした低音を得ているのは、ウーファーの性能に加えて独自のP.P.D.D.方式が功を奏しているからに違いない。
ボーイソプラノのようなソースでは、ぼってりした質感を排除しながら人の声らしい暖かみを感じさせる。声に作り物のような不自然な感触がなく、肉質感を備えながらやや艶っぽいところもある。コーラスのハーモニーが重量感を持ち、少年の声ではあってもしっかりした実体を感じさている。
オーケストラなど大編成のソースでは厚手の質感が重量を感じさせる。重心が低く安定したバランスだ。ダイナミックな躍動感にも不足がなく、鮮烈な感触も備えている。
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5.1chではリアにもトールボーイを使用する。前後が同一のスピーカーなのでつながりがよく、空間の一体性が高い。センターも同一のユニット構成なので、いっそう全体の統一感に富んでいるようだ。
特にそれを感じるのが自然音の出方である。周囲に木の葉のざわめきや風の音が溢れ、その中に小鳥の声があちこちから聴こえてくる。あるいは遠くから馬車の車輪の音が近づいてくる。それらの出方がクリアで無理のない遠近感が感じられる。
セリフは声の肉質感が厚みを帯びて安定し、曇りのない感触だ。やや下寄りの肉厚な音色になっているのも映画らしい鳴り方と言っていい。
また爆発音など衝撃性の強い効果音には低域の量感が利いている。サブウーファーが濁りのない重量感を再現し根底から支えるため、見かけとは反対に線の太い力のこもった重低音が聴かれる。音楽音も切れがよく、効果音と連動して周囲から包まれる感触が強い。映画の空間に浸れる印象だ。
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