音質とインテリア性の両面から、高いクオリティが追求された 

デノンではこれまでAVアンプやDVDプレーヤーなど比較的上級者層のファンを対象として商品展開を行ってきた。ことにここ数年はオーディオ製品のノウハウも取り入れ、ホームシアターの音質を確実に向上させてきたのが顕著である。7Lシリーズはそうした実績を基にトータルなコーディネーションを実現するために開発された意欲的な製品だ。音質とインテリア性の両面からクオリティを追求したシリーズとしてすでに注目を呼んでいる。

人気の核となるのがラックだ。横長のサイズはプラズマディスプレイにちょうどよく、ただのテレビの置き台と違って音質的な信頼性も高い。またスピーカーとのデザイン的な統一も考慮され、カラーは3種を用意し、室内との調和性にも富んでいる。

スピーカーは3種類。トールボーイタイプのフロアスタンド型と縦横どちらでも置けるセンター、壁掛けや天吊りも可能なブックシェルフと揃っている。いずれもネオジウム・マグネットの採用で90kHzまでのレスポンスを持つドーム型トゥイーターとグラスファイバー・コーンのウーファーを装備。特にフロア型とセンターには2個のユニットとプッシュプルで動作させる独自のP.P.D.D.方式を採用している。サブウーファーも同様の方式で、内蔵アンプは200Wのデジタル方式である。このほかAVアンプを一体化したスリムなDVDプレーヤーもラインナップに加わっている。

このシリーズで大きな特徴となるのが、スピーカーのキャビネットである。通常は素材の重量や剛性、ブレーシングなどによって振動を抑制するのに対して、このシリーズは比較的軽量なMDF材に曲げ加工を施してカーブを持たせ、その張りによって強度を確保するという新しい発想でキャビネットを設計している。このため抑圧された感触がなく、音に自然な伸びと柔らかな響きが備わっているのが特色である。

7Lシリーズのバリエーション展開も大きな魅力の一つだ。今回のレポートでは扉写真の「フルート・シルバー」モデルを視聴。そのほかにも「バイオリン・ウッド」(写真上)と、「ピアノ・ブラック」(写真下)の2モデルを取りそろえる。


 ■スリムな筐体に秘められた、スピーカーの豊かな表現力

2chで聴くとその素地がとてもよくわかる。バランスを下へ寄せて落ち着きを見せ、腰が沈んで量感も豊かだ。ジャズのベースがずんずん前へ出てくる感触だ。ピアノも骨格が太く、輪郭の明瞭な音調になっている。スリムなタワー型でこれだけたっぷりした低音を得ているのは、ウーファーの性能に加えて独自のP.P.D.D.方式が功を奏しているからに違いない。

ボーイソプラノのようなソースでは、ぼってりした質感を排除しながら人の声らしい暖かみを感じさせる。声に作り物のような不自然な感触がなく、肉質感を備えながらやや艶っぽいところもある。コーラスのハーモニーが重量感を持ち、少年の声ではあってもしっかりした実体を感じさている。

オーケストラなど大編成のソースでは厚手の質感が重量を感じさせる。重心が低く安定したバランスだ。ダイナミックな躍動感にも不足がなく、鮮烈な感触も備えている。

5.1chではリアにもトールボーイを使用する。前後が同一のスピーカーなのでつながりがよく、空間の一体性が高い。センターも同一のユニット構成なので、いっそう全体の統一感に富んでいるようだ。

特にそれを感じるのが自然音の出方である。周囲に木の葉のざわめきや風の音が溢れ、その中に小鳥の声があちこちから聴こえてくる。あるいは遠くから馬車の車輪の音が近づいてくる。それらの出方がクリアで無理のない遠近感が感じられる。

セリフは声の肉質感が厚みを帯びて安定し、曇りのない感触だ。やや下寄りの肉厚な音色になっているのも映画らしい鳴り方と言っていい。

また爆発音など衝撃性の強い効果音には低域の量感が利いている。サブウーファーが濁りのない重量感を再現し根底から支えるため、見かけとは反対に線の太い力のこもった重低音が聴かれる。音楽音も切れがよく、効果音と連動して周囲から包まれる感触が強い。映画の空間に浸れる印象だ。


「SC-T7L」のユニット部。トゥイーターを挟んで4個のウーファーが隣接する。トゥイーターは90kHzまでの再生に対応し、次世代オーディオの大きな特徴である20kHz以上の高帯域の再生をカバーするダイレクトドライブ方式を採用 「SC-T7L」は高音質再生を可能にする、金メッキ真鍮削り出し大型スピーカーターミナルを装備 加工しやすく、優れた音の響きを備えるMDF板を曲げて成形したキャビネット。後にアールのかかった美しい形状が特徴だ

 ■7Lシリーズはホームシアターのレイアウトを楽しくさせる
このシステムのベースとなっているラックは、MDFに強化ガラスを加えた強靭で粘りのある素材を使用している。ワイドテレビでもいいが、本命はやはりプラズマだ。棚板の下にセンター・スピーカーがはめ込める形になっているので、スピーカーのセッティングにも便利。鏡面塗装を施した仕上げも、スピーカーとのマッチングに優れている。

7Lシリーズはディスプレイを加えればできあがる完結性の高いシステムだ。特にスピーカーの組み合わせは臨機応変に選ぶことができる。フロントにトールボーイ、リアにブックシェルフを置くのが一般的だが、スタンドの必要性を考えるとリアもトールボーイにしてしまうのも賢明である。センターは横置きにするが、同じモデルをフロントとリアに使うこともできる。全チャンネル同一で統一感の高いシステムだ。このほかスペースが小さい場合にはブックシェルフをフロントとリアに使ってもいい。空間が狭い場合はかえってこの方がまとまりのある音になる。

さらに発展を考えるなら、デノンのAVアンプを使ってリアを2ペアにするのもいい。サラウンドが増えることによって映画館の環境に近くなるし、サラウンド・バックを加えて7.1ch化を試みることもできる。

ディスプレイだけでなくプレーヤーやアンプなども一緒に収納できる高信頼なラックがあると、それを基に色々な発展ができる。7Lシリーズのフレキシビリティは予想以上なのである。

センタースピーカーはAVラック本体中央上部に取付設置が可能だ。シンプルなつくりながらも、工夫を凝らしたAV機器の収納が楽しめる。プラズマディスプレイもゆったりと、美しく設置することができる(今回の取材ではHITACHIの42V型プラズマディスプレイをレファレンスモデルとして使用した)

7L series specifications】

(各写真はクリックで拡大)

■スピーカーシステム・トールボーイ<SC-T7L>
\70,000(木目・1本)
\50,000(シルバー/ブラック・1本)
●型式:2ウェイ5スピーカー ●ユニット:8cmコーン型ウーファー×4、ダイレクトドライブ方式スーパートゥイーター×1 ●インピーダンス:6Ω ●再生周波数特性:40Hz〜90kHz ●音圧:89dB ●外形寸法:280W×1208H×270Dmm(台座含む)/85W×1200H×179Dmm(台座含まず) ●質量:6.5kg(1本・台座含まず)

■サブウーファー<DSW-7L>
\90,000(木目・1本)
\70,000(シルバー/ブラック・1本)
<アンプ部>●最大出力:200W(ピーク) ●電源:AC100V(50/60Hz) ●クロスオーバー:50〜200Hz (連続可変) ●消費電力:58W ●入力インピーダンス:LINE IN/22kΩ、HIGH IN/4.7kΩ <スーパーウーファー部>●型式:1ウェイ2スピーカー、バスレフ型、防磁設計(EIAJ) ●ユニット:13cmコーン型ウーファー×2 ●再生周波数特性:24Hz〜200Hz ●外形寸法:220W×648H×380Dmm(台座含む) ●質量:16.9kg
■スピーカーシステム・センター<SC-C7L>
\50,000(木目・1本)
\40,000(シルバー/ブラック・1本)
●型式:2ウェイ5スピーカー ●ユニット:8cmコーン型ウーファー×4、ダイレクトドライブ方式スーパートゥイーター×1 ●インピーダンス:6Ω ●再生周波数特性:45Hz〜90kHz ●音圧:89dB ●外形寸法:600W×85H×179Dmm(横置き・台座含まず) ●質量:3.4kg(1本・台座含まず)
■スピーカーシステム・ブックシェルフ<SC-A7L>
\30,000(木目・1本)
\20,000(シルバー/ブラック・1本)
●型式:2ウェイ2スピーカー密閉防磁型 ●ユニット:8cmコーン型ウーファー×1、ダイレクトドライブ方式スーパートゥイーター×1 ●インピーダンス:6Ω ●再生周波数特性:80Hz〜90kHz ●音圧:86dB ●外形寸法:85W×180H×179Dmm ●質量:1.3kg(1本)
■DVDサラウンドアンプ<ADV-1000>
\95,000
●アンプ部実用最大出力(6Ω):フロント/55W+55W、センター/55W、サラウンド/55W+55W、サブウーファー/55W ●外形寸法:434W×80H×368Dmm ●質量:6.0kg
■AVラック<ARC-7L>
\175,000(木目・1本)
\150,000(シルバー/ブラック・1本)
●棚板:1枚(上下に30mm移動可能) ●最大外形寸法:1,600W×504H×510Dmm ●質量:68kg ●搭載制限重量:天板/60kg、棚板/25kg、底板/60kg、全体/145kg ●付属:キャスター


7Lシリーズの問い合わせ先

株式会社デノン
宣伝部
TEL/03-6731-5540

株式会社デノン:http://denon.jp/
「7L series」のニュースリリース:http://denon.jp/company/release/7lseries.html


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