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クオリティにこだわるAV専門メーカーとして世界に名を馳せるパイオニア。今まさに注目を浴びているDVDレコーダーも、同社が先鞭をつけ、意欲的に取り組んできたものだ。このコーナーで紹介しているパイオニアDVDレコーダーの2003年新製品群は、基本哲学「Sound Vision
Soul」を掲げる同社の技術と経験の集大成と言えるだろう。パイオニアDVDレコーダー、その足跡をふり返る。
text by 山之内正
「レーザーディスク」から始まった、画と音へのこだわり
DVDレコーダーの人気が止まらない。それどころか前年度の3倍近い勢いで伸び続けているという。その人気の秘密は、画質の良さと、ディスク録画機でなければ実現できない使い勝手の良さにある。そこに目を付けて最初に商品化したのがパイオニアだ。同社の、今日に至る足跡をざっと見ていこう。
いまからざっと20年前、オーディオ&ビジュアルという概念を体現する新メディア「レーザーディスク」が登場した。開発を一手に担ったのはパイオニア。同社はこのとき、音響メーカーからオーディオ&ビジュアルの第一人者として脱皮。映像と音を両輪とする専門メーカーとして進化を重ね、今日に至っている。

画質・音質・操作性をよりグレードアップ、 LDとDVD再生に対応したコンパチブルモデル
DVD/LDプレーヤー DVL−909(1998年1月発売)
また、高音質オーディオフォーマットであるDVDオーディオやSACD。両者の再生ができるユニバーサルプレーヤーは、いまでこそ国内外の各社から相次いで発売されるようになったが、この分野に先鞭をつけたのも、やはりパイオニアであった。特に、昨年登場したDV−S858Aiは、入手しやすい価格帯でマルチチャンネルSACDを含む全フォーマットに対応。記録的な人気を博したことは記憶に新しい。

i.LINK接続で、DVDオーディオやSACDなど高音質のデジタル信号をそのまま伝送可能
DVD オーディオ/ビデオプレーヤー DV-S858Ai (2002年11月発売)
光ディスクの分野で主導的立場をとってきたパイオニアにとって、映像・音声の光ディスク記録をデジタルで実現することは長年の目標だった。しかも、CDと同じ12cm径のディスクを使って、書き換えも可能にする。空きスペースを探す手間のいらない簡単録画と、瞬時に頭出しができる高速ランダムアクセス機能を武器に、次世代のホームビデオレコーダーを完成させることに、執念に近いこだわりをもっていたのである。
使い勝手と画質が賞賛されたDVDレコーダー第一号機
パイオニアがDVDレコーダー第一号機であるDVR−1000を発売したのは1999年12月、いまからちょうど4年前にさかのぼる。DVDプレーヤーの普及が世界規模で進みはじめた時期で、導入には絶好のタイミングであった。その当時、録画機といえばいうまでもなくVHSが主流で、ディスク録画の実現は、夢のような話と受け止められていた。記録できるCDは普及していたが、書き換え型のDVDの存在はほとんど知られていなかったのである。DVDレコーダーの歴史は、そんな時期にスタートを切った。

パイオニアが先鞭をつけたDVDレコーダーの記念すべき第一号機
DVDレコーダー DVR-1000(1999年12月発売)
第一号機のDVR−1000は、25万円というけっして安くない価格にも関わらず、ディスク録画の便利さが認められて成功を収めた。見たい番組に瞬時にアクセスできる、メディアがコンパクト、保存性が高いなど、ディスクならではの使い勝手の良さはもちろんのこと、MPEG2録画の画質の良さを賞賛する声も高かった。32ステップの手動録画モード設定、子画面を見ながら番組選べるディスクナビ、見たいところだけを指定できるプレイリストなど、DVDレコーダーの基本機能の多くは、すでにこの第一号機の段階で実現していたことにも注目したい。
DVDプレーヤーで再生可能なビデオモードに対応した第二号機
第二号機のDVR−2000が登場したのは1年後の2000年12月であった。この製品からVRモードに加えてビデオモードを採用し、書き換え型ディスク(DVD−RW)だけでなく、追記型のDVD−Rにも対応することになる。この進化が、DVDレコーダーのその後の普及に大きな弾みをつけた。ビデオモードで記録したディスクは、広く普及しているDVDプレーヤーで再生できる。CD−R/RWの例を挙げるまでもなく、新しい記録フォーマットが普及するためには、十分な数の再生機器が普及している必要がある。そして、録画済みディスクが、それら膨大な数のプレーヤーで問題なく再生できることが肝心なのである。ビデオモード録画を実現した時点で、パイオニアは、DVDレコーダーが次世代デジタル録画機の主流になることを確信したに違いない。

DVD-Rディスクへの録画を民生用DVDレコーダーとして初めて実現したDVDレコーダー第二世代機
DVDレコーダー DVR-2000(2000年12月発売)
録画ディスクも市販DVDも高画質再生する第三号機
その後、プログレッシブ再生に対応した第三世代機DVR−7000を2001年夏に発売してからの進化には、まさに目を見張るものがある。まず、録画済みディスクはもちろんのこと、市販のDVDビデオも高画質で再生するというクオリティへのこだわりの強さ。その基本思想は、その後一貫してパイオニアのDVDレコーダーに受け継がれ、現在に至っている。

プログレッシブスキャン再生、DV端子搭載など 最新のテクノロジーを結集したDVDレコーダー第三世代機
DVDレコーダー DVR−7000(2001年7月発売
2002年には、中身の進化を受けて製品ラインナップが大きく変化した。普及機DVR−3000を経て、2002年秋から冬にかけ、満を持してハードディスク内蔵機種DVR−77HとDVR−99Hを導入。ビデオモードで最大24倍速という高速ダビング機能を盛り込み、大きな衝撃を与えた。両機種とDVD録画専用機DVR−55は従来機とはデザインも一新し、変化と進化を強く印象付けることに成功した。

120GBハードディスクドライブを搭載したDVDレコーダー
DVD-R/RWレコーダー DVR-99H(2002年12月発売)
このシリーズ以降、使い勝手の良さは、現在に至るまでパイオニアのDVDレコーダーの大きな強みになっている。僅か数年間で競争が激化したDVDレコーダーは、短期間に多機能化が進む。競争に勝つため、他社の製品にない新機能を積むことが求められていたのである。特に編集機能やダビング機能が複雑化し、マニアックな装備・機能を売り物にした製品が次々と登場し始めていた。一方、パイオニアは他社とは微妙に異なるスタンスをとっていた。たんに機能を拡張するだけではなく、もっと本質的な使い勝手の向上に目を向けたのである。
便利さ・快適さをきわめた2003年DVDレコーダー最新シリーズ
その成果のひとつが、すでに紹介したDVD−Rへの高速ダビング機能の実現である。さらに、ダビング作業中にもハードディスクへの録画や、録画済み番組の再生ができるという、他社の製品にない便利機能も身に付けた。ハードディスクの特性を最大限に活用した機能で、その便利さ、快適さは、実際に使ってみるとよくわかる。ところが、ダビング中に他の操作ができるDVDレコーダーは、いまでも意外に数が少ないのだ。
DVR−710Hを頂点とする最新シリーズは、従来機が実現したクオリティと使い勝手の良さをさらに進化させ、実に使いやすい製品に仕上がっている。なかでも編集機能がいっそう使いやすくなったことを特筆すべきだろう。
パイオニアのDVDレコーダーには、同社がレーザーディスク時代から光ディスク機器の開発で培ってきた技術とノウハウが凝縮されている。こだわりを感じさせる画質・音質、使い勝手の良さ、安定した操作感の実現には、経験の違いがものをいうのである。

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