新製品批評
Phile-web >> 製品批評 >> KENWOOD 新シアターシステムでホームシアターをはじめよう

 

前後のつながりが良く空間の一体感が高い

▲音元出版第2視聴室にてテスト

映画では、フロントとリアにLS-9070-ML、センターにCS-7070-MLを配置して5.1chとする。もちろんサブウーファーも加えている。DVDプレーヤーにはDVF-7060を使用した。

小口径のウーファーによるシステムとは思えない安定した音調である。セリフや室内音が上ずってしまうことなく、落ち着いた感触でナチュラルな質感を再現している。「ハリー・ポッターと秘密の部屋」ではセリフの出方が自然な厚みと弾力を備えている。声の質感に無理がなく、適度な重さを持ちながらぼってりした感触がない。室内の反射音とのバランスがよく、声に透明な肉質感を与えている。また街頭や駅の雑踏など屋外の音にも広がりがある。前後のつながりがよく、空間の一体感が高い。フロントとリアに同一スピーカーを使っていることも大きいのだろうが、それらの音調がナチュラルな豊かさを持ち、さまざまな音を自然に聴かせるのである。

セリフの表情も濃密で陰影に富み、腰の座った音調

▲サブウーファー「SW-37HT-ML/-W」の背面部。クロスオーバー周波数の調整、フィルターのON/OFFなどが行える

汽車や車の轟音がダイナミックなのはサブウーファーの再現力が適確なせいもあるが、4本のフロア型スピーカーーが重低音に十分追いついていることも大きい。このため低音がこもらず解像力の高い効果音を再現するのである。また前後左右の方向性にも優れている。

「ロード・オブ・ザ・リング」ではいっそう濃厚な描写を実現している。冒頭の村の場面では自然音が四方から遠近を正確に捉えて再現され、小鳥の声や風の音などがくっきりした輪郭で聴こえてくる。セリフの表情も濃密で陰影に富み、腰の座った音調を示す。場面の密度が高く、濃厚な空気が感じ取れる再現と言っていい。

リアスピーカーは好みに応じてトールボーイ/ブックシェルフから選択可能

→リアスピーカー「RS-7070-ML」の背面部。スピーカー端子は金メッキのネジ式。太いケーブルにも余裕で対応できる

地下空間の描写にも重量感がある。サブウーファーの重さが利いて効果音が厚く、音楽音との分離もいい。空間の奥行や広がりが深く描かれ、弓矢や剣の鋭い金属音も明瞭な質感を備えている。セリフの濃厚な表情も場面の表現力を高めているようだ。

リアをRS-7070-MLに替えても、基本的な再現性に変化はない。むしろ部屋のサイズや設置方法によって選ぶ自由度が高い。空間のつながりのよさも同様である。