新製品批評
Phile-web >> 製品批評 >> 1500i >> DET-技術の仕組み


 

まずは映像をプログレッシブ化。その方法にも工夫を凝らした

DETの基本手法のひとつはi-p変換である。インターレースをプログレッシブに変換するもので、最近はDVDプレーヤーなどに採用され知名度を上げているのでご存じであろう。インターレース映像から倍の走査線情報を作り出す信号処理であり、画面の精緻さが売りとなる。

ビクターでは、この技術に工夫を凝らした。情報量の異なる多様な信号フォーマットの情報を、画質劣化なくひとつのフォーマット(走査線数1500本)へ変換するため、独自の高画質化アルゴリズムを開発。有効走査線の情報を最大限に抽出するために、時間領域で12ポイント、フィールド内で20ポイントから斜め情報を抽出して三次元補完処理を行っている。

DET処理の基本的な流れは、まず525iと1125iの場合は、それぞれ525pと1125pにアップコンバートし、その後1500iに変換する。525pと750pの場合は、そのまま1500iに変換するという手順となる。

無理なく高画質化を行うために「1500本」が選ばれた

最終的な走査線数である「1500本」という数字も、意味なく決められたわけではない。525i/pの有効走査線数480本を3倍すれば、1500iの有効走査線数である1440本となる。同様に、750pの場合は2倍で1500本、1125iの場合は4/3倍で1500本となる。いずれも整数倍となっており、画質を損なうことなく、スムーズに走査線数を上げることができる。

1500iに変換した映像は、新開発の「新DSD(デジタル・スーパー・ディテール)」処理が行われる。ハイビジョンの膨大な映像情報を高速で処理するために、ピクセルクロックを従来の45MHzから74.25MHz表示にし、細部にわたり緻密でメリハリのある映像を実現する技術である。これもDET技術の一角を担うものだ。

なお、p-i変換するのは走査周波数を下げるためでもある。ちなみに、1500iの走査周波数は45kHzであり、750pと同一であるという点にも注目してほしい。これにより、すでに存在するブラウン管、および偏向コイル系、高周波トランスなどのパーツの流用を促進し、コストアップを避けながら高精細を実現できるのだ。