新製品批評
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HPホームシネマ・デジタルプロジェクター「ep7122」

ep7122は今回国内に投入された中では、上位モデルに相当する製品だ。テキサスインスツルメンツのDLPデバイスを採用しており、リアルXGAサイズとなる1024×768の解像度を実現している。1600対1のコントラストと1020ルーメンの明るさを実現している。映像出力のインターフェイスは色差ケーブルのほかにDVI-Iを搭載。DVIはデジタルコピー規格のHDCPもサポートしている。

HPホームプロジェクターep7122。下位モデルのep7112との外観はほぼ同じだ(各イメージはクリックで拡大)

ep7122/ep7112の側面部 ep7122を前方から。レンズ部分に保護シャッターが設けられているので、未使用時の収納も安心だ

ep7122の天面部。レンズのズーム/フォーカス調整ダイアルを左前方に備える

ep7122/ep7112のリモコン。本体天面の操作パネルとボタンの配置を統一し、使いやすさを高めている ep7122の背面端子部

ハリウッドの息吹を間近に感じる、躍動感に満ちた画質

白色のスタイリッシュな筐体が特徴的な本モデルは、映画を楽しみたい時などに気ままにリビングのテーブルに設置して楽しむのにも最適な、生活空間に溶け込むデザインだ。HPのホームプロジェクターはレンズが短焦点ではないのが惜しいところではあるが、その他の設置の自由度を高める機能は一通り揃っている。DMDの未使用領域を使ったピクチャーシフト機能により、上下への映像の移動を実現したほか、1.16倍のズームレンズも搭載している。各種の設定は、日本語のGUIから操作できる。

HPのホームプロジェクターではDLPのカラーホイールに6セグメントカラーホイールを採用(イメージ右)しているので、通常の4セグメント(イメージ左)と比較してより美しく色彩感豊かな映像が楽しめる(各イメージはクリックで拡大)

HPのホームプロジェクターではDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)の未使用領域を使ったピクチャーシフト機能で、16対9画面の投影時に画面の上下シフトが可能だ。垂直方向±20度の台形補正機能と併せて、自由度の高い設置が楽しめる


画質の傾向は、一言で言うなら「アメリカンな味わいのある画質」と評したい。実写映画ではビビットなカラーの乗りが良く鮮烈な印象を与える画作り。視聴に利用した『パイレーツ・オブ・カリビアン』では、昼の海のシーンなど見応えある映像が楽しめる。エントリー向けの製品では、一歩引いた画で小綺麗なまとめ方をするモデルが多い中で、よりダイナミックな映像が楽しめる製品と感じた。また、映像のノイズも抑えられているため、この色乗りの良さと合わせてコンピューターグラフィックスを中心に製作された映画などに特にマッチしそうにも感じられる。ドリームワークス作品の映画『シュレック』などとの相性も良く、キャラクターのもつ質感を良く描き出す。

カスタム設定で画質の調整を行う際には、ユーザー定義の設定を行う前に全体の色調を変更することができる。まず調整したいのが色調で、今回の設定では「ニュートラル」から「寒色」に変更してから追い込んだ方がより効果的な調整を行えた。ユーザー設定内でまず手を付けたいのがシャープネスの設定で、プリセットの各設定では甘い輪郭を引き締めることができる。また、赤と緑のバランスも多少赤に寄らせた方が、見映えある表現が可能になる。

手軽にDLPの高画質が楽しめる、クラスを超えたハイCPモデル

ep7122は、コンシューマー向け製品第一弾として手軽に扱えることに重点を置いたパッケージングが光る。オプションによる天吊り設置もできるが、やはり必要なときにリビングに設置して使うというカジュアルなユーザーに向いた製品と言える。クオリティ面では、20万円台のエントリークラスの価格帯でDLPデバイスを採用したという点に注目したい。同価格帯の液晶パネルを採用した製品では、格子状のノイズが見えてしまうというユーザーには積極的にお勧めできる。

HPインスタントシネマ・デジタルプロジェクター「ep9012」

今回発売されたプロジェクター製品群の中でも、プリンターの複合機においてトップクラスの製品を提案するHPらしさが際立つ製品と感じられたのがep9012だ。プロジェクターとしてのスペックは解像度800×600、明るさ840ルーメンと、同社エントリーモデルのep7112と共通ながら、筐体内にDVDプレイヤーを内蔵した。また、ステレオスピーカーとサブウーファーも搭載しているため、一台でDVD再生環境としてのホームシアターセットを構築できるオールインワンDVD再生環境パッケージとなっている。なお、販売は同社直販サイトのみでの扱いとなる。

DVDプレーヤーとスピーカー、サブウーファーを一体化したHPホームプロジェクターep9012。(各写真はクリックで拡大)

本体の両側面に前後2つずつのスピーカーを搭載している 本体底面にはサブウーファーを搭載

天面の操作部は、稼働中ブルーイルミネーションが点灯する

ep9012のリモコン リモコンはボタンを押すとイルミネーションが点灯。照明を落とした部屋でも視認性が高く、操作にストレスを感じさせない

DVDプレーヤーと大迫力スピーカーを一体化した、驚きの使い心地

ep9012では本体側面にDVDプレーヤーの挿入トレイを搭載する

ep9012を使って驚かされたのが、一体型モデルの使い勝手の良さである。筐体サイズこそプロジェクターのストレートモデルとなるep7122よりも一回り大きいものの、持ち運び用の取っ手が付いているため扱いやすい。またデザインイメージも統一されており、独自の愛らしさのある形状だ。設置は天吊りには対応しないため常にセンターテーブルなどに設置することとなる。あとは、筐体本体にスピーカー、サブウーファー、DVDプレイヤーを内蔵するため他に機器をセットアップせずに利用できる。

これは、実際に使用してみると電源ケーブル以外の配線が全く必要なくなるため、もはや大画面ホームシアターのセットアップとは思えないほど手軽だ。本体側面に用意されたトレイにDVDをセットするだけで再生できるため使い勝手も良い。この手軽さから生まれる余裕がホームシアター環境のステップアップに挑戦したくなる気持ちをユーザーにもたらしてくれるかもしれないと感じた。

画質面ではエントリーモデルながら、DLPパネル採用ならではの映像が健在だ。カスタム設定を行う際の調整ポイントもほぼ同じで、プリセット設定ではナチュラルな輪郭の表現を引き締めた方が良い結果が得られた。また内蔵型スピーカーも想像以上のクオリティで空間の広がりの表現も良い。内蔵サブウーファーは単体のサブウーファーほどの質感はないものの、リビングなどで視聴する際には十分なパワーを誇る。映像、音、DVD再生環境としては完成度の高いパッケージと言えよう。

ep9012のカラー設定画面輝度/コントラスト/鮮明度/彩度/色合いが調整可能

ep9012のサウンド設定画面。スピーカーとサブウーファーそれぞれのボリュームが設定可能だ

リビングが瞬時に大画面シアターに、この手軽さをとことん楽しみたい

DVDプレイヤー、そしてステレオスピーカーとの一体型パッケージとは、他に類似する商品もなく独自コンセプトが光る製品。DVD視聴を前提として必要なパッケージが一通り揃うという手軽さを活かせるユーザーにお勧めしたい。ホームシアター用途でも、例えば白い壁を使って大画面視聴を行うようなファミリー向けの製品という位置付けも面白いだろう。また、電源さえ取れればどこでも使用できるという設置の容易さに着目すれば、他にも活用の幅は広がりそうだ。




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