新製品批評
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512の実力を確かめようと、音元出版の視聴室で、2chセッティングの試聴を行った。ソースには、192kHz/24ビットのSACDソフトやDVDオーディオソフトを使用した。なお、プレーヤーはパイオニアのDV-AX10である。

歪みが少なく高域の伸びが心地よいというのが第一印象だ。また、音の減衰が自然で空間の奥行きを感じる。余韻が消え入る最後のギリギリまで乱れることなく再現される様子には、息を呑む。

 
試聴は音元出版の視聴室で行った。まずは512の素性を明らかにしようと真剣に耳を傾ける筆者


設置の際は、後方にある程度のスペースがあることが望ましい
 

最大の特徴は帯域によるアタックの時間的ズレが少ないことだが、聴感でも理論どおりに、アタック音の立ち上がりが非常に速く感じられる。それも高域から低域まで揃っているので、たとえばティンパニーの音は非常にリアリティが高い。バンドでもシンバルの高域からベースのボトムまでが完璧に同時に立ち上がり、リズムがタイトでキレる。大型機器でのパワーにまかせた再生では決して得られない、シャープでキレの良いサウンドは魅力的だ。また、サウンド全体のエネルギー移動がスムーズなので音楽の流れが自然に感じられる。

設置に関しては、密閉式ではなくバスレフポートが後ろにあり、後方への空気の流れがスムーズであることが望ましく、後方スペースに余裕が必要。あまり壁にぴったり寄せると、低域のパワーがなくなってしまう。508PAはデスクトップ的な小スケールの空間でも使いやすい製品だが、512の場合はサウンドの傾向から考えても、ある程度広い部屋のほうが真価を発揮できるはずだ。