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■DVD録画「クオリティ編」 Q&A集
<Q>S-VHSテープと比較したクオリティは?

受信時のノイズが消え見通しがよくなる

上がDVDレコーダーの画像、下がHM-DH35000でS-VHS記録した画像。DVDでは全体的にノイズが消え、奥行き感が出る

DVDレコーダーをこれから導入しようという場合、本誌の読者が一番気になるのは、既存のS-VHSデッキに比べて、画質がどうなのかという点だろう。録画時間の目安の項で簡単に触れた通り、DVDレコーダーは、最大10Mbpsの記録レートを使えば、かなりの高画質を期待できる。記録レートを低めに設定したときのクオリティについては別途検証するとして、ここでは、最高画質が得られるモードで、S-VHSと比較した結果を紹介しておこう。
 
ビクターのフラグシップD-VHSデッキのHM-DH35000を用意し、S-VHSのSPモードと、DVDレコーダーの最高画質モードの録再画質を比較してみた。地上波とアナログBSの同一番組を同時に2台にエアチェックし、ビデオテープはTDKのS-VHS、ディスクはTDKのものを使用した。
 
受信時のスルー画面を比較すると、HM-DH35000の方がすっきりと見通しがよく、DVDレコーダーは特に地上波の受信画像に背景ノイズが目立つ。コントラストはDVDレコーダーの方が自然だが、輪郭はどちらも素直でシュートやリンギングが少ない。
 
DVDレコーダーでは、録画した画像は受信時とはかなり雰囲気が異なり、背景ノイズはほとんど気にならない。NRの効果で、ざわざわとしたノイズが見事に消えてしまったのである。3DNRのみ+1に設定し、他のNRはオフにしているが、それでもS/Nはかなり優秀だ。XPモードは記録レートに余裕があるので、さすがに画質は優れている。
S-VHSとの一番大きな違いは、輪郭に現れた。DVDはエッジが安定し、色のはみ出しやずれがほぼ皆無。一方のS-VHSも録再画像としては十分高画質だが、よく見るとうっすらとした色のシフトが残っているし、コントラストの強い部分ではエッジにジリジリとしたノイズが僅かに乗っている。鮮鋭感と解像度が両立したバランスのいい画だが、やはり録画した映像であることを感じさせるところがある。
 
一方、DVDの映像は、実際の情報量はそれほど多くないかもしれないが、全体的に見通しがよく、奥行き感も十分に出ている。暗いシーンの色ノイズの浮きなどもS-VHSが不利に感じた。S-VHSに優位を感じたのは、地上波民放チャンネルの鮮鋭感がDVDよりも高く感じたこと。おそらく、HM-DH35000に搭載されているゴーストリダクションチューナーの威力だろう。DVD録画のクオリティを改善するためには、入力ソース自体の質を高めることが必要だ。高画質を極めたいなら、3次元Y/C分離回路や入力DNRなどが装備されたモデルを選択したい。