ソニーマーケティング(株)
取締役 執行役員常務
コンスーマーAVプロダクツマーケティング担当

鹿野 清
Kiyoshi Shikano

「ブラビア」を中心に据えてハイビジョン・クオリティを展開

ビジュアルグランプリ2007において、液晶テレビ「ブラビア」を始め数々のモデルが受賞を果たしたソニー。それらの製品は、ソニーが推し進める「ハイビジョン・クオリティ」提案の核となるモデルであり、ソニーらしさの集大成である。スタートからわずか1年でそのブランドを浸透させた「ブラビア」の活躍を中心に、今後に向けての展開を、ソニー且謦役執行役員常務の鹿野氏に伺った。

―― 御社の液晶テレビ「ブラビア」KDL│46X2500が、ビジュアルグランプリ2007で金賞を受賞されたのを始め、フロントプロジェクターVPL│VW50、ハイビジョンカメラHDR│SR1が銀賞を、AVアンプTA│DA3200ESが銅賞とホームシアター大賞を受賞されています。さらにフロントプロジェクターVPL│VW100は、ゴールデンロングラン賞に選定されております。誠におめでとうございます。ご感想などお聞かせいただけますでしょうか。

鹿野 ブラビアX2500シリーズに金賞のご評価頂けたことを大変嬉しく思います。ブラビアの誕生から一年、当社はテレビの本質的な価値を追求して参りました。テレビの本質的価値とは、言い換えればソニーの強みでもあります。単なる大きい画面というだけでなく、「感動には色がある」というメッセージのとおり、色の再現性に徹底的にこだわっています。今回の受賞では、このテレビの本質的な価値をご評価いただけたと嬉しく思います。有り難うございます。

また、フロントプロジェクターの1080Pのところは、今年は各社さんが100万円以下の価格帯で出されていますが、高価格帯にも関わらずVW100の高いご評価に感激しております。このモデルがロングランでいられるということは価値あることだと思います。

―― フロントプロジェクターの市場が活性化しますと、映像のマーケットにコンポーネントという認識がきっちりとできてきますね。

鹿野 そうなってきますと、次は音です。私どもがやっております「ソニー ハイビジョン・クオリティ」といった提案も、今は映像の方へ関心が向きがちですが、音が追随してさらに広がってくると思います。

話は少しそれますが、フロントプロジェクターの市場は、薄型テレビの登場で変化がみられます。リビングルームで大画面を体験したお客様が、さらに大画面で映像を見たいというニーズが高まりつつあり、着実に裾野が広がってきました。私どもでは、フラグシップモデルVPL│VW100に加え、そのDNAを継承したVPL│VW50 とラインナップを強化しているところです。そのなかで、VW100がゴールデンロングラン賞という名誉ある賞をいただけるのは大変嬉しいことです。設計部隊含めて、元気づけられます。

―― 今回の受賞モデルは御社が進めていらっしゃったハイビジョン・クオリティの世界を構成する製品です。昨年VW100が出て、フロントプロジェクターの市場は変わりました。とはいえマーケット全体を見ると、まだ大きいものではありません。それをどう広げていこうか、という中で、我々は「2WAYシアター」という提言をしています。御社の役割は大変重要だと思います。

―― 液晶テレビの競争が激しい中、ブラビアは短期間で著しい成果をあげました。

鹿野 ブラビアは昨年立ち上げ、やっと2年目に入ろうというところです。ブランドの認知度を上げながら、テレビの本質的な価値を追求してきました。

液晶テレビに関して、私どもはチャレンジャーであるという部分もあります。1年目はソニーパネルで液晶テレビの基本的な部分を押さえながら、デザイン的なこだわりも打ち出させていただきました。今年のX2500では、色の再現性の部分に注力し、現時点でのソニーからの答えを出しました。私どもの「ライブカラークリエーション」というバックライトシステムは、色の再現力を高めるものです。X2500は色のバランスを重視して、よりナチュラルでリアルな再現力を目指しました。そこに、我々が長年やってきましたDRCを核とした高画質エンジン、ブラビアエンジンプロを載せております。そして将来性を見据え民生用の液晶テレビとしては初めて、物体色100%を再現する動画での広色域色空間規格xvYCCにも対応しました。

また、画面サイズが大きくなればなるほど、インテリアに与える影響も大きくなります。デザイン的にも怎tローティング揩ニいう手法でまるで映像だけが浮かんでいるような浮遊感を演出いたしました。加えて、今回は6色のカラーオーダーもご提案させていただき、部屋の雰囲気に溶け込んだ映像空間を創出します。

―― S│LCDの設立によって、御社がソニーパネルを持てたということが大きいと思います。

鹿野 そうだと思います。S│LCDでソニーパネルを生産し、稲沢TECでブラビアとして商品を完成させる、パネル生産から完成品までの一気通貫での、徹底した品質と安定した供給体制が確立できたということは大きい。

とりわけ営業からみても、「高品質」のブラビアを「安定的に」供給できる稲沢TECへの信頼は大変高く、製造・販売・技術の一体感を強く感じます。

メイド・バイ・ソニーのこだわりが、「ブラビア」という液晶テレビのブランディングにつながればと思います。

その中で、今回金賞をいただけたことは、ソニーが目指すテレビづくりがだんだん認めていただけているように感じられ、嬉しく思います。

―― ブラビアブランド登場から1年あまり。ブラビアはかなりのハイスピードで定着しましたね。

鹿野 おかげさまで、外部調査機関の調べでは06年第一四半期で全世界シェアNo・1を獲得しました。チャレンジャーとして1年、国内は地デジの普及も追い風になり視聴環境も整ってきています。2011年に向けての地デジ対応モデルへの買い替え需要がある中で、見るなら大画面、きれいな画像で、というお客様の声は高まってきております。我々は、そういったお客様のニーズにこたえるべく、ソニーのブラビアが持つ色に対するこだわり、テレビの本質価値を今後もお伝えして参ります。

お客様に、テレビを通してリアルな感動を体験していただきたい、ということで、店頭での見せ方にも工夫しております。店頭デモ映像は、以前ですと「いかに目立つか」ということがポイントでしたが、見たときに本当にきれいだ、と思っていただけるようなコンテンツをきちんとご提供します。テレビとしてのポテンシャルを最大に引き出せるような映像を流し、お客様に「ブラビアならこんなにきれいな映像が見られるのだ」とご実感いただければ、ご購入の後押しになると思います。

店頭でも訴求させていただいているブラビアのメッセージカラー〈ブラビア レッド〉も、感動の象徴と捉えていただければと思います。

―― これから先の具体的なテーマは何でしょうか。

鹿野 ブラビアの商品づくりとしては、さらなる大型化フルHD化に向けて検討しています。お客様のニーズへのきめ細かい対応も重要となりますので、ブラビアのマーケティングもより進化させる必要を考えております。

また、他機器との連携も、快適な操作や拡張性を含め、重要になります。「ソニー ハイビジョン・クオリティ」のコンセプトどおり、つながるだけではない楽しさ、ソニーらしさを目標に取り組んで行きたいですね。

そのためにも、「ソニー ハイビジョン・クオリティ」という言葉そのものも難しく聞こえないよう、もっとかみ砕いていく必要もあると思います。

わかりやすい表現のひとつとして、店頭では「プラスワンハイビジョン」展示を推進します。ブラビアをハイビジョンハンディカムやブルーレイレコーダーと組み合わせることで、地デジ放送を見るだけではない、もう一つのハイビジョンの楽しみがあることをお客様に想起していただくためです。

ハイビジョンといえば放送コンテンツのイメージだけでなく、お客様の身近で具体的になるように、たとえばハイビジョンハンディカム「HDR│UX1」やデジタル一眼レフカメラ「α100」とブラビアを組み合わせると「自分だけの思い出をハイビジョンで再現できる」とか、スゴ録で「地デジコンテンツを録画し、好きなときに楽しむ」、またライブラリー化するのであればブルーレイディスクレコーダーを組み合わせていただく、といったようにユーザーのベネフィットを明確にお伝えしていくことがポイントだと思います。他にもプラスワンハイビジョン展示に加えて、ハイビジョン・クオリティ・フェアといったことも含め、ハイビジョン商品の販売強化、推進していきたいと思います。

―― これから先、ハイビジョン・クオリティが軸となって、国内のデジタル機器は拡がりをみせていくと思います。今後のマーケットの展望についてはいかがでしょうか。

鹿野 フルHD化の波はさらに加速すると思います。40V以上の大型テレビでは、6〜7割がフルHD化しています。実はそうなればなるほど、ソニー ハイビジョン・クオリティの世界が早く実現できると考えています。テレビ単体の価値はもちろん重要であり、これまで以上に力を入れていきますが、フルHDのブラビアと、他のハイビジョン商品とを組み合わせることによって、新しい楽しみが実現できるという、ソニーとしての強みを発揮できる環境が整ってくると考えています。つまり、放送・映画・ゲーム等のプロの作るハイビジョンコンテンツの楽しみに加え、ハンディカムやαに代表されるようなところで、パーソナルコンテンツのニーズもあります。そこにバイオでの編集も絡め、ソニーハイビジョン・クオリティがよりわかりやすい形で実現できると思います。

一方、テレビが大きくなってくると、部屋のインテリアに対しての配慮としてデザイン性もますます重要になってきます。

次のステップとして、音へのこだわりが加わり、ホームシアターの分野が活性化してくると思います。

ソニーとしても商品カテゴリーの枠にとらわれず、マーケティングから設計まで、メンバー間の連携を密にして動き始めています。今後もソニーのブラビアをはじめとするソニー ハイビジョン・クオリティの商品群にご期待ください。

―― 今後がますます楽しみです。有り難うございました。