AV REVIEW

AV REVIEW特選 製品批評

VICTOR
XV-P300
プログレシッブDVDプレーヤー \OPEN

 

文:伊藤竜太
TEXT BY Lyuta Ito

CD−R互換で、幅広いユーザーに薦められる

DVDプレーヤーも安くなった。なんとプログレッシブ方式対応で、予想実勢価格が4万円前後だと言うからびっくりではないか。デザイン面でも薄型でスッキリしていて、若いユーザー層にも受け入れられるだろう。

現在市場ではオーディオ用途に限定されるCDプレーヤーというものがあまり求められなくなる傾向があり、DVDプレーヤーでCD鑑賞を兼ねてしまおうとするユーザーが多い。CDとDVDではレーザーの波長が違うので、以前はDVDプレーヤーでのCD再生音質が悪かったり、CD−Rが再生できなかったり、という問題があった。本機はツインウェーブ・ツインフォーカスピックアップを採用しているので、CD−RWにも対応している(ただしCD−DAフォーマットで記録されたものに限る)。それで価格が手ごろであれば、幅広いユーザー層に受け入れられることは間違いないだろう。

技術の恩恵がこんなに早く普及機に与えられるとは

ミニコンポでDVDオーディオやSACDに対応する製品が登場しているのと同様、新技術のフォーマットを普及価格帯の製品に応用することは、一般大衆に技術の恩恵を与えていく上で大切なことだ。その意味でプログレッシブ対応機がこの価格で登場するのは意味深い。とはいえ、プログレッシブ機がこんなに早く、ここまで安価になるとは当初想像していなかった。

スペックを見てみると、DACは10ビット/54メガヘルツ。広帯域にすると折り返し歪みが減って映像が滑らかになるので、プログレッシブ機であれば、ある程度の数字を求めたい。高級機は12ビット以上の時代に入っているが、この価格帯としてはこれでじゅうぶんな数字だと言えるだろう。

ディスクに記録されている映像は4:4:4にアップサンプリングされ、オーバーサンプリングして映像DACから出力する。色の再現性にも期待できる。また、プログレッシブ方式の映像をインターレースに変換せず、直接プログレッシブのまま出力する「デジタルダイレクトプログレッシブ」を搭載していて、とくに映画フィルム素材の質感の再現には納得の行く結果を期待してよさそうだ。

とても薄く場所を取らずインテリア性も高い

価格とともに一般ユーザーにうれしいのが「薄さ」である。新たに購入したDVDプレーヤーをテレビラックの空いているスキマに入れたいと思ったら、少しでも薄いほうがよい。奥行きも抑えられているので、ケーブル類がつっかえることもない。テレビとビデオという基本セットを残して、DVDを買い足すという購入パターンを想定し、設置の便をよく考えた設計だ。見た目にも重々しくなく、スッキリとインテリアに溶け込むことだろう。

音声はテレビ内蔵スピーカーを使っての映画再生を考慮し、「ドルビーデジタル3Dフォニック」というバーチャル・サラウンド機能を備えている。ドルビーデジタルおよびDTSに対応。出力は光/同軸の2系統装備。もちろんリジューム機能も付いている。

いわゆるAVマニアというよりも、テレビ観賞の延長上である程度の高画質を楽しみたいという、ごく一般的なユーザーにとってありがたい製品だ。
<XV-P300のニュースリリース:http://www.jvc-victor.co.jp/products/hifi/XV-P300.html


XV-P300 SPEC

●再生可能ディスク:DVD VIDEO/VIDEO CD/CD-DA/CD-R/CD-RW ●水平解像度:500本以上 ●周波数特性:2Hz〜44kHz(DVD、fs=96kHz)、2Hz〜20kHz(CD、fs=44.1kHz)●オーディオダイナミックレンジ:106dB以上(20/24bit) ●出力端子:オーディオ→アナログ(L/R)1系統、光デジタル1系統、同軸デジタル1系統 ビデオ→D2端子1系統、コンポーネント端子1系統、S端子1系統、コンポジット端子1系統 ●消費電力:15W(電源ON時)、1.5W(STANDBY時) ●外形寸法:435W×73H×267.5Dmm ●質量:2.6kg ●問い合わせ先:東京お客様ご相談センターtel.03-5684-9311