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A-S300

YAMAHA
A-S300

¥39,000(税抜)

発売:2010年11月中旬
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左右対称コンストラクションを採用したプリメインアンプ

【SPEC】●定格出力(20Hz〜20kHz、0.02%THD):60W+60W/8Ω、70W+70W/6Ω ●実用最大出力(JEITA):100W+100W/8Ω、110W+110W/6Ω ●音声入力:6系統(チューナー1、RCA3、フォノ〔MM/MC〕1) ●その他入力:ドック1 ●音声出力:2系統(レックアウト2) ●その他出力:サブウーファー1 ●消費電力:150W ●外形寸法:435W×151H×387Dmm ●質量:9.0kg

※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。

テストレポート

ヤマハのエントリークラスコンポーネント「S300シリーズ」。構成はプリメインアンプ「A-S300」とCDプレーヤー「CD-S300」が用意され、上位モデルである「S700シリーズ」に用いられたテクノロジーを取り入れながら、iPodとの親和性が高い設計となっている。これはポータブル環境からのグレードアップにも打ってつけのシステムと言えそうだ。

A-S300は、左右対称コンストラクションを採用してチャンネルセパレーションの高さを実現。ディスクリート構成で電源部の給電ラインには余裕を持たせ、ローインピーダンス駆動にも対応している。左右独立アルミ押し出しヒートシンクや不要共振を抑制するアートベース、上級機譲りのカーボンシース・ブロックケミコン、バナナプラグ対応大型スピーカーターミナルなど、試聴を重ねて厳選した高音質パーツをふんだんに投入。信号経路を最短化して音の純度を高めるピュアダイレクトスイッチや、効き目を連続的に可変できるコンティニュアス・ラウドネスを設けたほか、別売りのiPodドック「YDS-12」を接続できるポートも装備しており、本体内で信号をバランス受けして増幅を行う。なお電源トランスは、このドック端子専用巻線を個別に用意しており、レギュレーターも含めた独立電源回路によって音質面への配慮を行っている。サブウーファー接続端子も含め、発展性が望める構成だ。

前面パネルにUSB端子を設けたCD-S300においては、USBメモリーの接続はもとより、iPodデジタル伝送にも対応し、光/同軸デジタル出力にも信号を取りだせるようにしているため、デジタルトランスポートとしても活用可能だ。バーブラウン製192kHz/24bit対応DACチップや厳選したパーツを採用し、ディスプレイやデジタル出力を停止するピュアダイレクトモードも搭載。電源/デジタル/オーディオ各基板をブロック化して干渉を抑え、左右対称のオーディオ回路は最短経路で結び音の純度を高めている。

今回、スピーカーにモニターオーディオ「GS60」を用意して、S300ペアのサウンドをチェックした。本来想定しにくい組み合わせではあるものの、A-S300の高CPなドライブ能力によってGS60も安定した鳴りをみせている。ユベール・スダーン指揮:東京交響楽団『ブルックナー:交響曲第7番』の管弦楽器は細やかで艶よくクリアにまとまる。音場は広がりが良いが、奥行きは平面であり、価格相応といったところか。

オスカー・ピーターソン・トリオの『プリーズ・リクエスト』では、ピアノは滑らかで粒立ち良いタッチで、ウッドベースの弦もハリ艶よく浮き立つ。胴鳴りの有機的なふくよかさは聴きやすいサウンドで、アコースティックな楽器の響きを知り尽くした同社ならではのバランスよい音色のまとまりが味わえる。『AP』のストリングスは細く流麗な旋律のハーモニーを響かせ、低域はふっくらと伸び良い。ピアノのクリアな響きはハンマーのアタックも丁寧に描く。女性ボーカルはすっきりとして口元の明瞭度も高く、肉付き感もほど良い。『パンゲア』のリズム隊はアタックが素早く、リリースのキレが良いスピーディーで爽快なサウンドだ。エレキギターのリフは小気味良く、芯のエッジを的確に描いている。ボーカルの艶ある輪郭も鮮やかに捉えられる。

CD-S300へiPodをデジタル接続したサウンドの傾向としては、より質感が滑らかになり、アナログ的な厚みのあるトーンが味わえる。特に音場のスムーズさにおいて、このiPod接続時の音色は価格以上の安定感を持っている。

(text:岩井喬)