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DLA-HD950

VICTOR
DLA-HD950

¥750,000(税抜)

発売:2009年10月中旬
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ビクター独自の映像フレーム補間技術「Clear Motion Drive」を搭載、動きの速い映像のクリアな表現力を向上

【SPEC】●表示デバイス:フルハイビジョン対応D-ILA デバイス ●パネルサイズ:0.7インチ×3(16:9) ●解像度:1920×1080 ●レンズ:2倍電動ズーム・フォーカスレンズ f=21.4〜42.8mm  F=3.2〜4 ●レンズシフト:上下80 %、左右34 % ●投影サイズ:60インチ〜200インチ ●光源ランプ:200W超高圧水銀ランプ ●輝度:900lm ●コントラスト:50000対1 ●ビデオ入力端子:HDMI2、コンポーネント1、S映像1、コンポジット1、PC入力1、トリガー端子、RS-232C ●騒音レベル:19dB(ランプ標準モード時) ●消費電力:310W(スタンバイ時2.7W) ●外形寸法:365W×167H×478Dmm ●質量:11.2kg

※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。

テストレポート

フルHDの120Hz倍速駆動対応へ進化したフラグシップモデル

今期からビクターはプロジェクターや液晶ディスプレイなど先端技術を投入した製品について、ロゴを「Victor」から「JVC」に変更した。カテゴリー No.1の座にあるプロジェクターは、今年も独走の手綱を緩めることなく「DLA‐HD950」、「DLA-550」に発展した。上位機種HD950のスペックを整理すると、0.7型D-ILA素子を3枚使用したLCOS方式で、2倍電動ズーム/フォーカスレンズを搭載、最大輝度は900lm、コントラストはダイナミックアイリス非搭載ながらネイティブで50,000対1である。本体外装色はブラックのみ。

本機の新たな試みは、D-ILAプロジェクター初の倍速対応、カラーモードの新設、スクリーン補正、そして暗部階調の改善という主だった4つの点にある。 120Hz駆動の倍速対応は、基本的にはジェネッサの倍速機能をアレンジしたもので、フレーム補間機能を同時に搭載し「クリアモーションドライブ」と命名している。ビデオ系映像の場合、オリジナルの60フレームに中間コマを創生し、挿入することで120Hzでの表示を実現。フィルム系映像(DVD、放送ソース)を検出した場合は、逆2‐3プルダウンで一度24pに戻した後、中間コマを創成し48Hzで表示する。映像の輪郭部のみから動きを予測する「弱」と、映像全体から動きを予測する「強」の2モードが用意され、ビデオ系映像モードはすべてデフォールトで「強」に設定される。シネマ1/2のモードではオフとなり、この場合は24コマを2回重ねて表示する。

画質モードには、新に「シアター3」が創設された。アニメやCGを想定したクールな雰囲気の立体感と色彩感が豊かな映像を狙った設定で、倍速は「弱」で駆動。色温度7500度、S字ガンマを設定。2D映像を3D的に見せるほどに、またデジタルシネマを上回るぐらいまで色域を拡大した。同時にリモコンに THXモードのボタンが新設された。

スクリーン補正機能の搭載も注目される。これはホワイトマット、グレイマット、ビーズ等スクリーンの生地に応じてRGBの反射特性を補正する機能で、オフ /A/B/Cの3群がある。ユーザーが実際に使用中のスクリーンがどの群かに属するかは、今後ビクターのHP上で公表される予定であるとう。

最初に試作機を視聴した8月末の段階では、クリアモーションドライブで倍速化したビデオ系映像(バレエ、コンサートライブなどステージ映像)の動画解像度の改善に目を見張った。動きそのものの改善はいうまでもなく、動きの細部が見通せるため、バレエの繊細な演技や挙措が余さず見える。大画面視聴では中間コマ挿入による輪郭の乱れは皆無ではないが、メリットの方がはるかに勝る。シアター3でアニメーションを見た場合の鮮鋭感・立体感と色彩の鮮やかさは、従来のビクターのプロジェクターの表現域を広げた感があり、近ごろ増加する一方であるフルハイビジョン3D-CG作品を家庭でより高画質に楽しむための提案を込めた画づくりでないだろうか。

一方、HD950で注目したいのは、画質の地道な進歩である。コダックの映写フィルムの500ポイントを測定、カラーマネージメントのトラッキングの合わせ込みを行い、HD750に比べてよりフィルムに近い設定へ変わった。その結果、シネマ1/2ではよりフィルムの発色に近付き、暗部の階調表現が向上した。映像の黒の純粋さ、暗部階調の自然なグラデーションやバランスの偏りのなさは、家庭で見る映画であることを忘れさせる美しさで、D-ILAの一年足らずの間での休みない前進に衝撃を覚えた。

(text:大橋伸太郎)