量感あるたっぷりとした低音再生も魅力

フロンサラウンドに人気が集まっているとはいえ、お手軽ホームシアターの定番はやはり5.1chの完結型パッケージであろう。本製品はコンパクトなボディながらフルレンジユニットを2本搭載したサテライトスピーカーとサブウーファーで構成され、手軽な高品位サラウンドを実現するパッケージタイプのシアターシステムだ。

スピーカーを手に取るとキュートで質感がよい。エンクロジャーは無機材を混入した本格仕様で、曲面をもたせたフォルムがデザイン上の特徴だ。これはセンター用も同じで、ユニットは5.7cmをパラで使用する防磁タイプとなっている。ゴムの滑りドメが付属していたり、背面には壁掛けフックがある。ブラケットは別売だが、壁掛け、天吊り設置もできるよく工夫されたシステムだ。サブウーファーにオートスタインバイ機能があるのも良い。

ややドンシャリぎみの音づくりだが、それは配慮ずみだろう。このクラスでは量感のタップリとした低域再生が何よりだ。そこにデュアルフルレンジの力強く、クリアなボイスや効果音が加わるから鳴りっぷりがよく、サラウンドの広がりやシャープな移動音などが楽しめる。観衆に包まれるライブ音楽や、映画では「トランスフォーマー」「ダイハード4」など、パワフルなキレ味系作品もハイテンションに楽しむことができた。もちろん「オペラ座の怪人」のような歌モノは朗々とした響きも心地よく、ソフトへの対応も広い。シアターが楽しくなるシステムである。

（text：林正儀）