デノン プロダクトレビュー
最適な音響特性を実現するアコースティックオプティマイザーを搭載
ヘッドホン
AH-C710
¥15,540(税込)
レポート/高橋敦
最適な音響特性を実現するアコースティックオプティマイザーを搭載
金属と樹脂を組み合わせたハイブリッド防振ハウジングで不要振動を吸収。デノンのヘッドホンでおなじみとなった、振動板前後の音圧バランスを適正化することで最適な音響特性を実現するアコースティックオプティマイザー構造も採用する。
また本機では新たに、ラジアルカスケードダンパーという仕組みを導入し、カナル型イヤホン共通の弱点であるケーブルのタッチノイズを低減している。ケーブルと言えば、左右の長さを揃えたY型ケーブルもこだわりのひとつ。延長ケーブルも付属するが、パンツのポケットくらいまでなら延長ケーブルなしで届く。プラグも仕上げのよいストレート型で扱いやすい。
イヤーピースはソフトシリコン製が3サイズと、低反発素材のものが1つ付属する。耳穴へのフィットを向上させたというエルゴノミクスデザインのおかげか、遮音性は上々だ。ドライバーユニットは直径11.5mm。径は特には大きくないが、ネオジウムマグネットで力強く駆動することにより迫力を生み出す。
はじめにジャズのピアノトリオからいくつか試聴した。低域の量感には相当の余裕があり、ウッドベースやバスドラム、フロアタムなどはかなり太く描写される。しかしふにゃっとした膨らむ音ではなく、弾むように抜ける良質な太さだ。シンバルのシャインと粒子を飛び散らせるような感触、ピアノの軽やかな転がり方も心地よい。全体のバランスとしては低域が強力なので、高域は相対的には控えめに聴こえる。
続いて女性ボーカルのポップス。力強く太いベースが音場を支えるのは同様。パーカッションも並のイヤホンでは取りこぼすような深い響きまで届けてくる。そしてその上に散りばめられたきらびやかなベル系の音の輝き、ピアノの楽しげなタッチも逃さず伝えてくる。主役の歌声も、声質や歌い回し、抑揚など十分な描写だ。
低域の量と弾む感触が印象に残る。量感は室内では少し多すぎるかとも感じるが、低音が聴こえにくくなる屋外ではバランス良く聴こえるだろう。全般的に良好な音質という条件を満たしつつ、その上で低域に余裕を持つイヤホンをお探しの方におすすめしたい。
ケーブルを巻き取ってコンパクトに収納できるキャリングケースが付属する
【SPEC】
【SPEC】●形式:ダイナミック型 ●ユニット:φ11.5mmネオジウムマグネット ●インピーダンス:16Ω ●感度:110dB/mW ●最大入力:250mW ●再生周波数:5〜25,000Hz ●質量:5.6g ●問い合わせ先:(株)デノン コンシューマーマーケティング TEL/03-6731-5540