YAMAHA Sound Gallery

スピーカーシステム
ボーカル帯域重視の設計で、歌い手の息が掛かりそうなリアルさを表現
スピーカーシステム
NS-500 Series
¥55,650(税込)
レポート/大橋伸太郎
今回の試聴は5.1chフルシステムにてセッティング。サラウンドの移動表現の軌跡、CH間のつながりや音の密度も濃い。

【SPEC】
<NS-F500>
●形式:3ウェイ・バスレフ型(非防磁) ●ユニット:トゥイーター/3cmアルミドーム型、ミッドレンジ/13cmコーン型、ウーファー/16cmコーン型 ●周波数帯域:40Hz〜50kHz(-10dB)〜100kHz(-30dB) ●インピーダンス:6Ω ●外形寸法:224W×981H×349Dmm ●質量:19.1kg

<NS-B500>
●形式:2ウェイ・密閉型(非防磁) ●ユニット:トゥイーター/3cmアルミドーム型、ウーファー/12cmコーン型 ●周波数帯域:50Hz〜50kHz(-10dB)〜100kHz(-30dB) ●インピーダンス:6Ω ●外形寸法:190W×284H×177Dmm ●質量:3.5kg

<NS-C500>
●形式:2ウェイ・密閉型(非防磁) ●ユニット:トゥイーター/3cmアルミドーム型、ウーファー/12cmコーン型×2 ●周波数帯域:55Hz〜50kHz(-10dB)〜100kHz(-30dB) ●インピーダンス:6Ω ●外形寸法:445W×158H×159Dmm ●質量:4.7kg

<NS-SW500>
●形式:A-YST II ●スピーカーユニット:25cmコーン型(防磁) ●定格出力:250W(5Ω) ●再生周波数帯域:20Hz〜160Hz ●消費電力:100W ●外形寸法:380W×368H×420Dmm ●質量:18.5kg

やわらかく艶のある美音には、ヤマハの楽器作りの経験の厚さを感じる
ヤマハの新世代スピーカーシステム「NS-500」シリーズ。2chを構成するフロントスピーカー「NS-F500」は、「Soavo」で実績あるDC-ダイヤフラムトゥイーターと、A-PMDミッドレンジおよびウーファーをユニットに搭載する。DC-ダイヤフラムトゥイーターは、アルミドーム振動板にボイスコイルワイヤを直接巻き付けた接合部のない構造。A-PMDミッドレンジ/ウーファーは、紙の軽さと樹脂の強さを併せ持っている。

また、ピアノフィニッシュが美しい台形フォルムのエンクロージャーには、すべての接合部を楔止めした「総三方留め構造」を採用。フロア型リアバスレフ形式を取る。

本機は、センタースピーカー「NS-C500」、サラウンドスピーカー「NS-B500」、サブウーファー「NS-SW500」と組み合わせて5.1chシステムを構成する。今回はフルシステムにてセッティングし、5.1chとステレオ再生の両方を聴いてみよう。

NS-500シリーズの特長は、やわらかい艶のある美音で、硬い感触の音を出さない。ふくらみの豊かな音がしっかり前に出され、中域のボリューム感を主体に、リッチに心地よく音楽を聴かせるスピーカーだ。

システムで聴いた場合、センタースピーカーNS-C500が搭載するウーファーのドライバー径が12cmとやや小さく、筐体も小型なので、左右のフロントスピーカーに比べ多少の力不足を感じる場面もある。例えばミュージカル『NINE』の視聴では、バックのオケが豊かに美しく鳴るのと対比的に歌の方に小さくまとまった感じを覚えたが、そのような場合はマニュアルでセンターの音量を上げるといい。また、NS-F500のミッドレンジと同径の13cmウーファーを搭載する「NS-C700」を代わりに使うという手もある。

バランスが取れた時のシステムの再生は、艶があってなめらかだ。統一感もあり、SEや音楽のカラフルな音場が出現して、楽しく視聴に浸ることができる。5.1chのつながりも良く、サラウンドの移動表現の軌跡、CH間のつながりや音の密度も濃い。

なお本機の個性としては、丸みのあるきれいな質感の嫌な音を出さないスピーカーであり、エッジ感のあるシャープな切れ味の表現とは異なる。例えば、アニメ映画『9<ナイン> 〜9番目の奇妙な人形〜』で、マシンが軋みを立てて迫る恐怖の表現にはやや物足りなさを覚えるが、対してオペラ『サロメ』では、オケピット内の楽器の定位が正確で自然であり、生々しい臨場感がある。

次にステレオ再生はどうか。アンジェラ・ヒューイットの弾くベートーベン『悲愴』(SACD)は、中域が豊かに前面に出て生き生きしたボリューム感を持つ。内田光子のシューマン『ダビッド同盟舞曲集』(CD)は、録音による響きの硬さが緩和され、ピアノの鳴りが豊かで、家庭環境でのクラシック再生の鑑(かがみ)といえよう。このあたりは楽器作りにおける同社の経験の厚さを感じる。

また、本シリーズはボーカル帯域を重視して設計されたという。今回の試聴の本命であったクレア・マーティンのジャズボーカル(SACD)は、ハスキーボイスの解像感が豊かで、息が掛かりそうにリアルであった。