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20年間培った技術と感性を結集

【AEx2020「特別賞」受賞】世界のプロも認める“ハイファイ”ブランドの最高峰スピーカー「Krypton3」を聴く

2020/03/19 岩井 喬
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ここ数年の間に、世界中のプロ達から圧倒的な支持を集めたスピーカーブランドがある。フィンランドを本拠とするAmphion(アンフィオン)だ。1998年に創業し、2018年に創業20年という大きな節目を迎えた同社は、北欧ならではのセンスを思わせるデザインと音楽に対する豊かな感性に裏付けられたサウンドで、ヨーロッパを始め世界各国で高い評価を受けている。しばしの間、プロオーディオ向けのスピーカーのみが日本へ輸入されていたが、2019年よりコンシューマーラインもついに再上陸。日本では「プロ」のイメージが先行するが、そんなAmphionの「ハイファイ」はどのようなサウンドを聴かせてくれるのか。フラグシップモデルとなる「Krypton3」から、Amphionの感性豊かなサウンドを探ってみたい。

Amphion「Krypton3」 ¥2,178,000(税別、ペア)※ブラック、スタンダートホワイト ¥2,266,000(税別、ペア)※ウォールナット

■違和感のない音楽再生のために随所に盛り込まれたアイデア

いま、プロオーディオのモニタースピーカーで高い注目を集めているブランドが、フィンランドのAmphionだ。創業者であるアンシ・へヴォネン氏は長年、香港でフィンランドのスピーカーメーカーのマーケティングを担当していたそうで、少年期にスタジオのサウンドに興味を持ち始めたそうだ。

1998年、さまざまな出会いをきっかけとしてAmphionを創業したヘヴォネン氏は、自身が望むオーディオシステム構築を進める中でスピーカーだけは非常に高価なものになってしまうことから、その製品を購入するのに必要な資金をそのまま理想のスピーカー作りのために割り当て、製品開発に勤しんできた。そのポリシーの中には、音楽を聴く行為と作り出す行為は同じものであるべきという想いがある。

製品展開上で区分けはあるものの、基幹となる音づくりという点ではプロ向け/民生向けといった垣根のない、空間再現性の高いあるがままのサウンドが持ち味となっている。その点に、プロの録音エンジニア達がコンシューマーよりもいち早く気付いたということだろう。

プロ用、民生用とも基本的な設計スタンスは変わらず、置き場所を選ばず優れたサウンド、音楽の本質を届けるモノづくりが踏襲されている。

特徴的なのはトゥイーターとミッドレンジとのクロスオーバー周波数を2kHz以下と低く設定していることだ。2〜5kHzあたりでクロスオーバー周波数を設けているスピーカーは多いが、この帯域は人間の耳の感度が最も高いポイントでもある。そこで生じる山谷が違和感を生み、自然な空間性を得にくいとAmphionでは考えている。また、アイコンともいえる人工大理石製のウェーブガイドとの相乗効果によって、ミッドレンジとの音の繋がりを自然にまとめ、スウィートスポット以外でもバランス良い音を楽しめるよう広い指向特性を持たせたていることも特徴だ。

加えて音の拡散についても広い周波数帯域で整えているため、部屋からの影響も最小限に抑えている。そのため、小音量時でもバランスが崩れないナチュラルなサウンド再生を実現できているのだ。

こうしたAmphionの理想とする設計思想の全てを注ぎ込んだフラグシップ機として登場したのが、フロアスタンディング型3ウェイ4スピーカーシステムの「Krypton3」だ。

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