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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第80回】ハイレゾ初心者はまずコレを! 高橋敦のオススメ作品ベスト10

公開日 2014/03/20 13:09 高橋敦
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Daft Punk「Random Access Memories」


▼基本データ
ファイル形式:FLAC
フォーマット:88.2kHz/24bit
販売サイト :mora
楽曲の詳細&ダウンロードはこちら:
http://mora.jp/package/43000001/4547366211665/

▼項目評価
ボーカル |★★★★・|
質感   |★★★★★|
帯域の広さ|★★★★★|
解像感  |★★★★・|
空気感  |★★★★・|
空間性  |★★★★・|

▼紹介コメント
ナイル・ロジャース氏らレジェンドから現代の最高峰まで屈指のミュージシャンを迎え、その生の躍動を詰め込んだ作品。往年のダンス・グルーヴと今日現在までのエレクトロニクスを融合してアナログ+デジタルなレコーディングという、「何その最強中二スペック的な音楽!」と思わざるを得ない内容だ。

この作品で僕が音楽的にもオーディオ的にも特に気に入っており注目しているのは、ナイル・ロジャース氏のカッティングの妙。コンパクトな音使いのスモール・コードによるすっきりとしたフレージングだ。そして氏の両手のキレと氏の愛器であるハードテイル仕様ストラトキャスターによると思われる芯の強くパキッとシャープな音色とが、互いを高め合い一体化している。「Get Lucky」でのそれは特に見事すぎるの一言。

こういったカッティング自体はありふれたアプローチに思えるかもしれない。そもそもそういったアプローチを定着させた立役者の一人がロジャース氏だ。一時代を築いたカッティングはまさにカット(音の切り方)のキレ、逆にどこを(僅かに)伸ばすか、ダイナミクス(強弱の抑揚)等々の要素が実に巧み。これは聴き惚れる。僕の敬愛するSUGIZO氏もロジャース氏からの影響を公言。僕も間接的には、音楽を熱心に聴き始めるようになってすぐの段階でロジャース氏に触れていたわけだ。聴き惚れるのも当然と言える。

録音クオリティも最高峰だ。アナログテープへの録音とデジタルでの録音と編集を融合させたスタイル。その成果として実際、アナログでもデジタルでもどうでもよいと思えるほどに音楽的な手触りのサウンドが実現されている。

▼CD音源との比較
ー(*新譜発売と同時に海外サイトでハイレゾ配信が開始されたためそちらを即購入し、ディスクでは購入せず)



Nirvana「In Utero - 20th Anniversary Remaster」


▼基本データ
フォーマット:FLAC/WAV|96kHz/24bit
販売サイト :e-onkyo music、mora
楽曲の詳細&ダウンロードはこちら:
http://www.e-onkyo.com/music/album/uml8677/(e-onkyo music)
http://mora.jp/package/43000006/00602537528677/(mora)

▼項目評価
ボーカル |★★★・・|
質感   |★★★★★|
帯域の広さ|★★★・・|
解像感  |★★★・・|
空気感  |★★★★★|
空間性  |★★★★・|

▼紹介コメント
結果としてはこれが最後のスタジオ作品となったニルヴァーナのその当時の空気感を、スティーブ・アルビニ氏の録音が見事に捉えた名作。アルビニ氏は現在に至るまで完全アナログ手法での録音にこだわる人物で(彼にとってはアナログの方が効率的とのこと)、その筋、当時で言うところのグランジ界隈の録音の名手だ。その彼の名を一気に轟かせたのがこの作品。

とにもかくにも音の質感と場の空気感がすごい。生々しさの一点で言うならばロックの歴史に残る最高のレコーディングのひとつだろう。録音時点では(マスタリングとかでは別として)コンプは最小限だとかほとんどコンプしてないだとかいう話も伝え聞くのだが、だとしたらテープ・コンプレッションを最大限に活用したのだろうか。特にドラムスの演奏そのもののダイナミクス等と録音のナチュラルなコンプレッションによる素晴らしく豊かな迫力は、ロック全般の録音の中でも屈指のレベルにある。

なおこの作品のハイレゾ版には新ミックス等を含む「デラックス・エディション」等もあるのだが、それらは本編含めて44.1kHz/24bit仕様なのであらかじめご注意を。

▼CD音源との比較
僕が所持するバージョンのCD(おそらくオリジナル盤と同内容)との比較では、マスタリング等の方向性に急激な変化はない。妥当に正常進化したハイレゾ版だ。ドラムスの空気感がさらに豊かになることは大きなポイント。

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