[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第56回】USB-DAC/ヘッドホンアンプの基礎知識ナビ<基本スペック編>

高橋敦

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2013年08月02日

<基本スペック/ヘッドホンアンプ部分>

ではまずは、ヘッドホンアンプのまさに“アンプ部分”の基本スペックから見ていこう。


USB-DACは搭載していないがヘッドホンアンプとして最高峰のラックスマンP-700uの場合だと…

ラックスマンP-700uのスペック表記。さすが丁寧に一通りをしっかりと明記している(メーカー公式サイトより)
●出力(単位:mW、W。1000mW=1W)

入力された音声信号=電気信号をどれだけ増幅できるかを表す。単純に言えばこの数値が高いほど大きな音量を出せる。安定して出力できる値を表す「定格出力」と瞬間的な最大値を表す「実用最大出力」がある。ヘッドホンの場合は耳を痛めるような大音量を出す必要はないが、出力に余裕がある=ヘッドホンに対する駆動力に余裕がある=音質面で優位!という図式は、ある程度は成り立つ。


●周波数特性(単位:Hz、kHz。例:10Hz〜100kHz)

どれだけ低い周波数=低音からどれだけ高い周波数=高音までを再生できるかを表す。スペックとしてはより低い方からより高い方までをカバーしていることが望ましい。


●歪率(単位:%。例:0.0035%)

入力された信号をアンプで増幅した際にそこにどの程度の歪み成分(音声信号の波形の乱れや潰れ)が生じてしまうかを表す数値。低い方が望ましい。


●S/N(単位:dB。例:115dB)

入力された信号をアンプで増幅した際にそこにどの程度の雑音が混じってしまうかを表す数値。シグナル/ノイズでノイズが分母となるので、分母が小さい=数値が高い方がノイズが少ないということになり、望ましい。


●出力インピーダンス(単位:Ω。例:100Ω)

端的に言えばアンプ出力直前に設置されている抵抗の値なのだが、実際の意味合いについては説明が難しい要素。なのでここでは以下の二点だけ把握しておいてもらえればと思う。

・アンプ側のスペックである出力インピーダンスとヘッドホン側のスペックである入力インピーダンスが近い値であると電気的には効率が良く、ヘッドホンを適切に駆動できる。

・ヘッドホン側の入力インピーダンスに対してアンプ側の出力インピーダンスの方が低い「ロー出しハイ受け」と言われる状態が望ましい。

ざっくりとは「入出力のインピーダンスが釣り合っているのが理想のマッチングで、入力の方が高いロー出しハイ受けが次善のマッチング」といったように把握しておけばよいだろう。何にしてもこれはヘッドホン側のインピーダンスとの兼ね合いの問題なので、一概に「高い方がよい」「低い方がよい」ということは言えない。

なおヘッドホンアンプの中には出力インピーダンスを任意の可変式として、様々なインピーダンスのヘッドホンに幅広くマッチングする機能を搭載したものもある。


主要なスペックの概要はざっとこんなところだ。そして、概要以上のことを詳細に理解しておく必要は、実はあまりない。

理由としてはまず、製品情報としてどのスペックを掲載するかがメーカーや製品によってバラバラであること。全てのスペックを網羅してある製品の方が少ない。次に、スペックの計測条件がメーカーによって異なる場合もあること。そうなると同じスペック項目でもその数値の単純な比較は成り立たなくなってしまう。

最後に、スペックから音質を想像することが現実的には無理であることだ。例えば全てのスペックが同じヘッドホンアンプがあったとして、そのふたつが同じ音がするわけではない。

というわけなので基本スペックは、それだけを基準に製品を選べるような要素ではない。しかし参考要素のひとつにはなるので、基礎知識として知っておいて損はない。

さて、続いてはUSB-DAC部分の基本スペックを見ていこう。

基本スペックの見方<USB-DAC編>

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