「これほどスピーカーユニットの性能を生かした設計は例がない」

低音楽器は分解力の高い響きとなり、重低音まで彫り深く描く − 「DX-8」を福田雅光がレビュー

福田雅光
2011年11月09日
CAVのフラッグシップモデル「DX-8」の性能を確認する機会を得た。音元出版の試聴室で試聴を行ったほか、「ハイエンドショウ 2011」音元出版ブースで私が担当した「福田屋ケーブル試聴会」でもリファレンススピーカーとして採用した。これほど完成度の高いスピーカーを開発したCAVの技術には、正直驚いた。


DX-8
重厚なエネルギーで強力なダンピング(制動力)を効かせる低域、繊細な倍音スペクトラムを高精度に表現する高域性能。広域にわたる帯域エネルギー分布が極めて均質に揃い、各帯域の直接音成分での一定した特性は、100人以上入るような広い空間においても試聴室で聴いた場合と同等に伝わってきた。一般ユーザーには関係ない例であるかもしれないが、スピーカーは嫁入りした環境で真価を発揮できないケースも多い。部屋の設置環境も大切であるが、スピーカー自体のエネルギー分布がコンスタントであることが鳴らしやすさに大きく関係する。

音は解像度が高く、SNは全域で高度。一音一音を正確に、そしてダイナミックなコントラストから音像の立体感をリアルに表現する。低音は重低音まで音が崩れず、低音楽器は分解力の高い響きとなって重低音まで彫りを深く描いて伸びる。

採用されているウーファーは独Eton社製。アルミハニカム構造の両面をアラミド繊維でサンドイッチし、軽量・高剛性を特徴にするHEXAコーンを強力な磁気回路で駆動する。1983年創業のユニットメーカーで、私は当時オランダ カーマのスピーカーに採用されていたことからその魅力を知った。ミッドレンジとトゥイーターは、独Acuuton社製のリバースドーム型セラミック振動板の高性能ユニットが採用されている。トゥイーターは30mm口径で、優れた高域特性・トランジェントからすると、おそらくネオジウムマグネット採用の最新高能率タイプのように思う。いずれも、ドイツの自社工場で生産されている。


ミッドレンジとトゥイーターは、独Acuuton社製のリバースドーム型セラミック振動板の高性能ユニットを採用
このようなユニット構成をみるだけでも性能には期待ができるものだが、DX-8は予想以上の完成度であった。これほどスピーカーユニットの性能を生かした設計は例がなく、重低音、エネルギー密度、解像度、レスポンス、高精度な中高域など、欧米の最高級スピーカーと並ぶ、あるいはしのぐといっていい素晴らしい製品であり、この価格は魅力である。

<福田雅光 プロフィール>
東京三鷹生まれ。小学高学年時代に突然電子回路に興味を持ち、真空管ラジオの自作から高校時代にステレオアンプの製作にエスカレート。大学では電子工学系を専攻した後、報道関係の技術部門に携わる。サラリーマン生活中の1970年から「電波科学」にてオーディオアンプの製作などを執筆。1976年「季刊・オーディオアクセサリー」の創刊に参加。次いで「STEREO」誌で評論活動に。1985年、長年続いた二足のワラジに限界をきたし、フリーに。哲学よりもピュアオーディオ主体に高純度、リアルサウンドを追求。オーディオアクセサリー誌では、アクセサリーを重視したオーディオシステムの構築、という本誌のコンセプトの確立に大きな影響を与えた。オーディオケーブルの重要性に早い段階から注目。試聴レポートは高級機器と同じ姿勢で一貫。小さなアクセサリーにも大切な意味があることを書く。電源研究にも早期から着手。ホスピタルグレード・コンセントの効果をいち早く本誌でレポート、コンセント重視のブームを起こす。検証をベースにした厳しい視点が、読者との信頼関係を結ぶ絆になるというのがポリシー。

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