ピュア・オーディオってほど気張りたくはないけど、カジュアル志向で音質軽視の製品では音楽も映画も楽しめない。そんなユーザーに魅力的な製品が誕生した。カジュアルでありながら高音質。それが「AX-D7」だ。

視聴/執筆:高橋敦

取材は音元出版視聴室で行った




ステップアップ・ユーザーを満足させるのに十分以上の音


AX-D7-S(シルバー)

「AX-D7」は、極めて大雑把に言ってしまえば、最近流行の「フロントサラウンド対応DVDコンポ」という括りに入る製品だ。しかし、ラジカセやミニコンポの進化系としての単なるカジュアルDVDコンポではない。そこがポイントである。

一見してわかるのは、DVD/CDプレイヤー及びコントローラー部とパワーアンプ部を別筐体としたセパレート構造となっている点だ。ノイズ源となるDVD/CDドライブとアンプ部の隔離、空間を割けることでアンプ設計に余裕ができる(出力は2ch時50W×2/サラウンド時25W×4)ことなど、音質的なメリットは言うまでもない。一体型の方がセッティングは楽だろうが、あえてセパレート型を選択したことに音質重視の姿勢が感じられる。

プリアンプはフルデジタルとなっており、DVD/CDドライブからプリアンプ出力まで、つまりパワーアンプまでのセパレート前段は完全にデジタル化されている。余計なD/A・A/D変換やアナログ経路による信号損失がないことは音質的に有利だ。また、デジタル処理による低域増幅「D-BASS」もデジタル化の恩恵のひとつである。
そして全体の音質監修は、ケンウッドの誇る「音質マイスター」の手、いや耳によって行われている。充実のスペックを現場で鍛え上げられた耳と経験で仕上げたわけだ。




能書きはこのへんにして実際にCDを聴いてみた印象に移ろう。

様々なジャンルを一通り聴いてみたが、共通してスケール感のあるビッグなサウンドと感じた。メリハリが強く、音場の横の広がりは見事。演奏の繊細さや奥行き感といったところを描写し切る、とまではいかないが、前述のいわゆる「カジュアルDVDコンポ」との差は歴然としている。「カジュアルコンポの音には飽きたけどピュア・オーディオ機器を単品で揃えていくというところまではいきたくない…」というステップアップ・ユーザーを満足させるのに十分以上の音と言えるだろう。


「AUTO ROOM EQ」専用の測定マイク。AUTO ROOM EQは左右のスピーカーを等間隔に設置できないときなどに有効だ

プリアンプ部<上>とパワーアンプ部<下>の背面端子。パワーアンプ部にはフロントLR、サラウンドLRを入力する

スピーカー背面。上の端子はエフェクトスピーカー専用




「V.F.S. III」が実現するサラウンド音場を体験



V.F.S.III のイメージ
DVDコンポは音楽だけを楽しむものではない。音楽も映画もこの一台で楽しめるというワンパッケージ性、自室のAV環境をこの一台を中心に構築できる(あとはテレビさえあればよい)というシンプルさも「AX-D7」の魅力。音質面ではカジュアルを脱却していても、使用スタイルや使い勝手の面でのカジュアルさは失われていないのだ。

まず注目したいのは自動セッティング機能「AUTO ROOM EQ」が搭載されている点。付属マイクで部屋の音響特性やスピーカー位置などを測定、DSP演算で最適な補正設定を導き出し、スピーカーレベルなどの設定を最適化してくれる。誰でも素早く簡単に最善の設定を得られるので、セッティングにあれこれ悩む必要はない。サラウンドのみならずステレオ再生時の音質・音場向上にも効果を発揮してくれる機能だ。

フロントサラウンドはケンウッド独自の「V.F.S. III」テクノロジーで実現されている。通常の2ウェイスピーカーの上部に内側にやや傾けたエフェクト専用スピーカーを加えた「スピーカー in スピーカー」というシステムが採用されており、それを活かしたサラウンド音場創成が行われている。

サラウンド映画ソースを再生してみると、後方への周り込みの再現力は実際の5.1chサラウンドに譲るとして、効果音の移動や包み込む音場感など、ステレオ再生時とは全く別の世界が現れる。今まで2chでしかDVDを視聴していなかったユーザーは新たな感動を得られるのではないだろうか。

また、サラウンド再生には多彩なモードや機能が用意されている。定位感重視の「Musicモード」と広がり重視の「Movieモード」の使い分け、台詞やボーカルを聴き取りやすくする「Clear Voice Sound」のオン・オフを使いこなすことで、より自分好みの音場を得られるだろう。


イン側を向いたエフェクトスピーカーはサラウンド成分を再生。リアルなサラウンド空間を実現する

パワーアンプ部はイルミネーションで出力状態を表示。ステレオ出力(50W×2ch)時<上>とサラウンド出力(25W×4ch)時<下>

5.1ch収録のDVD挿入時。赤いランプ表示により収録された音声を一目で確認できる




DAPの便利さを取り込んだ「デジタルオーディオプレーヤー・リンク」機能


「AX-D7」の世界は屋外にも広がる。フロントパネルにはデジタル・オーディオ・プレイヤー(以下DAP)専用接続端子が用意されており、DAPをさっと接続できるように配慮されている。大量の曲から好きな曲を選んで再生できるDAPの使い勝手に慣れてしまうと自室のコンポでもディスクを入れ換えるのが面倒に感じてしまうものだが、ならばDAPを接続してその便利さを取り込んでしまおうという発想だろう。

なお、接続するDAPの種類は問われないが、同社DAPと専用リンクケーブルを組み合わせた場合には、本体側のキーやリモコンでDAP側の再生・一時停止・スキップなどを操作でき、さらに便利。同じく同社DAPのダイレクト・エンコーディング機能と組み合わせればCD/MDからDAPへのシンクロ録音も可能で、パソコンがなくてもDAPに曲を録音できる。

また、ここまで触れていなかったが、ミニコンポ等からの乗り換えを考えればMD搭載というのも重要な点であろう。録り貯めたMD資産を引き継ぐことができる。


HD30GA9、H20GA7、M1GB5、M512B5 をオプションの専用ケーブルで接続すれば本体キーやリモコンで基本操作が可能となる


プリアンプ部の前面には出力端子も装備。出力レベルは同社デジタルオーディオプレーヤーのダイレクトエンコーディング機能に最適化されている 

付属のリモコン。デジタルオーディオプレーヤーの操作も可能だ

パーソナルAVシステムとしての使い勝手の良さにワンランク上の音質をプラスした。「AX-D7」の魅力はそこに尽きる。「今までよりも少し、音にこだわってみようかな」というユーザーへの新たな提案である。

(高橋敦)



AX-D7-N

AX-D7-S

■製品詳細


オフィシャルサイト
KENWOOD
 http://www.kenwood.com/jhome.html

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Phile-web 「KENWOOD Future Stage」
 http://www.phileweb.com/kenwood/


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