IFAはエレクトロニクスの最先端が集まるイベント ― メッセ・ベルリン、ハイテッカー氏に聞く「IFA2017の成果」

毎年ドイツ・ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA2017」が今年も大いに賑わった。イベントを主催するメッセ・ベルリン、IFAグローバル統括本部長のイエンズ・ハイテッカー氏、IFAグローバル・シニア・エグゼクティブ・マネージャーのディリク・コスロフスキー氏が2017年の成果を振り返り、来年のイベントに向けた抱負を語った。

メッセ・ベルリン社
IFAグローバル・シニア・エグゼクティブ・マネージャーのディリク・コスロフスキー氏(左)
IFAグローバル統括本部長のイエンズ・ハイテッカー氏(右)

IFA2017は、イベントにホームアプライアンスの分野が合流してから10回目を迎える開催となった。直近の10年間には新ホールのCityCubeがオープンして、カンファレンス形式のイベント「IFA+SUMMIT」もスタート。年々増加してきた来場者数は、今年も前年のレコードを超えて253,000人に膨れあがり、出展者数も前年比増の1,805を数えた。メディアの参加については国際化が進み、2017年は70カ国から約2,800人のジャーナリストがIFAに足を運んだ。

イベントが右肩上がりの成長を続ける理由は、世界最大のエレクトロニクスショーとして「クオリティ」を磨くことにこだわってきたからであるとハイテッカー氏が指摘する。「もちろん毎年数字の記録を更新できていることはとても嬉しいことですが、私たちはショーのよい雰囲気、出展者の方々に手応えを得ていただけたかなど、イベントのクオリティを高めて行くことが、今もこれからも大事だと考えています」(ハイテッカー氏)

大成功をおさめた新展開「IFA NEXT」の効果

今年のIFAで最も注目された新しいエリア展示「IFA NEXT」は、出展者・来場者の双方から非常に良い反響があったようだ。アマゾンやIBMなど次世代の先進技術を扱う大手企業や研究開発機関、130を超えるスタートアップがホール26に集まり、直近に訪れるであろう未来のエレクトロニクスの製品とサービスを一堂に紹介した。

「NEXT」というシンプルなネーミングも大勢の来場者を引きつけた理由かもしれない。筆者も、IFA会期の中盤から後半にかけて何度かホールを取材に訪れたが、一般の来場者だけでなく、イノベーティブな出し物を求めて足を運ぶ多くのトレードビジターで賑わっていた。

ホール全体を広く見渡せるオープンな雰囲気のレイアウトもIFA NEXTが好評価を受けた理由のひとつではないだろうか。コスロフスキー氏は「IFA NEXTについては、中心のプレゼンテーションエリアから同心円状にスタートアップ、企業ブースが広がっていくようにブースをデザインしています。併催されるIFAキーノート、IFA+SUMMITのメイン会場になるシアタールームに抜ける動線の配置まで、細部を徹底的に練り上げました。テクノロジーがお披露目される場としてだけでなく、出展者がそれぞれに商談をスムーズにできるよう、オープンなスペースも設けたことから全体に活気に満ちた雰囲気をつくり出せたのではないでしょうか」と振り返っている。

明るく開放的な作りの「IFA NEXT」会場

ハイテッカー氏は、これまでIFAに限らず、様々な展示会で新しいテーマ展示を仕掛けてきた際にも、そのコンセプトを立ち上げて以降2〜3回は、内容を軌道に乗せるため試行錯誤を繰り返してきたという。ところが、第1回目の開催から大成功を収めたIFA NEXTは「私たちにとっても嬉しい誤算」だったと語る。

今年で開催4回目を迎えたIFA+SUMMIT、あるいはキーノートのイベント会場と上手に連動できたことがIFA NEXTの成功を導いた側面もある。「10年後のエレクトロニクスの未来」をテーマに、9月4日・5日の2日間に渡って開催されたIFA+SUMMITは、50人を超えるスピーカーが登壇して、約500人の来場者が参加した。こちらのイベントも年々着実に成長していると、コスロフスキー氏が語っている。

IFAグローバル・シニア・エグゼクティブ・マネージャー ディリク・コスロフスキー

スピーカーについては、今年は世界的な通信デバイス向け半導体メーカーのクアルコムや、人間の脳から電気信号を測定してウェアラブルデバイス等に直結させるという、驚くような先進技術を開発する米エモーティブ社などユニークな顔ぶれが揃った。

ハイテッカー氏、コスロフスキー氏が今回のインタビューの間に何度も繰り返し強調していた「クオリティ」については、リッチなコンテンツとスムーズなイベント進行も含めて、IFA+SUMMITを取材した筆者もいよいよこれから大きく成長する段階に突入したような手応えがあった。

イベントのクオリティという観点から見れば、当たり前のことのように思えるかもしれないが、ブースの出展者やIFA+SUMMITのようなカンファレンスに登壇するスピーカーが一様に英語を話せることが、あらためてとても重要なことであると感じた次第だ。海外のイベントを取材していると意外に英語が通じない場面も多く、せっかく魅力的な展示を目の前にしながら、その詳細を確かめられないこともある。

IFAは長年に渡って「グローバル化」を強く意識しながら、イベントのあり方に向き合ってきた。「会場の公式言語はドイツ語ではなく英語です。出展要項のドキュメントなども全て英語で受付けています。もちろん、どなたでも参加しやすいイベントであることも大切なので、英語のネイティブスピーカーの方でなくても理解できるような、シンプルな英語でコミュニケーションできる環境をIFAの会場全体に整えてきました」(ハイテッカー氏)

IFA2018はさらなる規模拡大の可能性も

来年のIFA NEXTは会場の規模が大きくなる可能性もありそうだ。「近年はIFAの会場となるメッセ・ベルリンの総展示エリアが常時フルに申し込みをいただいています。キャパシティの限界と調整しながら好評をいただいたIFA NEXTをどのように拡張していくか、という課題は悩ましくもあるのですが、これほどまでに盛況だったイベントを大きく育てていくことは私たち主催者にとって大事な使命だと捉えています。ほかの展示エリアへの影響も慎重に考慮しながら、来年の計画を定めていきたいと考えています。2020年までには新しいホールも増築を予定していますので、色々な方向からIFAの開催規模を広げる効果を最大化するための施策を練っていくつもりです」(ハイテッカー氏)

IFAグローバル統括本部長 イエンズ・ハイテッカー

“スマート”がキーワードのひとつとなったIFA2017

ハイテッカー氏、コスロフスキー氏にそれぞれIFA2017の展示の中で特に印象に残ったものを訊ねてみた。

「エレクトロニクスの中でもカテゴリー、ブランドが異なる製品どうしでシームレスなコネクティビティを模索する動きが始まっていました。機器どうしがつながるだけでなく、ユーザーがスマート家電をシンプルに使えるようにプラットフォームそのものをつなごうとする各社の動向を目の当たりにして、コネクティビティがまた新しいフェーズに突入したことを実感しています。スマートスピーカーがキッチンアプライアンスとつながっていくことで、両手が塞がっているときに声によるオペレーションがとても有効であることも具体的に見えてきました」(ハイテッカー氏)

「IFAにホームアプライアンスが合流して約10年が経ちました。当初はバラバラに機能していた家電機器が、コネクティビティという今や目に見える傘の下でつながりを持つようになって、スマートホームという新たな価値に辿り着いたことに私自身も感慨を覚えます。いよいよスマート家電がダイナミックな進化の過程に辿り着いたことを、IFA2017では強く感じました」(コスロフスキー氏)

ハイテッカー氏はさらに「スマートウォッチ」がIFA2017で注目された商品カテゴリーのひとつだと語っている。確かにFitbitが初の本格的なスマートウォッチである「iconic」を発表したり、話題としては豊富に揃っていた印象がある。

また同氏は、「色々なメーカーが、より洗練されたスマートウォッチを発表しました。Apple Watchが牽引してきた部分もあると思いますが、最近では高級腕時計メーカーやファッションブランドもスマートウォッチに進出して、2〜3年前よりも製品の機能や使い勝手が熟れてきた印象を持っています。IFA2017では成熟したスマートウォッチやヘルスケアデバイスが数多く発表されました。ここを起点にしてまた多くのブランドがクオリティの高い製品を揃えてくるのではないでしょうか」とも語った。

昨年からスタートした新しいエリア展示「IFA Global Markets」は、昨年から規模を倍に広げて開催された。メッセ・ベルリンの本会場は最終型の製品とサービスを中心に集めて、これと切り分けるかたちでOEM/ODM系の出展者をベルリン市内別会場のStation-Berlinに集めて、ものづくりに不可欠な要素技術や部品を求めるメーカーやトレードビジターが見やすいソーシングショーを展開した。その認知は昨年よりもさらに定着して、世界各国から多くのビジターが集まった。

今年で2回目の開催となる「IFA Global Markets」にも数多くの企業が出展しビジターが集まった

「メッセ・ベルリンと会場間を往復する無料のシャトルバスを効率よく循環させて、来場される方々のための足回りを整えたことも奏功しました。出展者の製品やサービスによりハイライトがあたるように、ステージでのプレゼンテーションの機会も今年から設けていますが、これらの仕組みを来年はさらに強化したいと考えています」(コスロフスキー氏)

IFA NEXTが大きな成功を収めたことで、来年は「エレクトロニクスの最先端が集まるIFA」に対する周囲の期待値がさらに高くなるはずだ。ハイテッカー氏は「IFA2018への具体的な取り組みについてはこれから固めていくつもりですが、常に“クオリティ”を高めることを強く意識しながら前に進むことで、IFAはこれからも皆様のビジネスの発展に寄与できると確信しています」と意気込みを語ってくれた。


◆IFAに関する問い合わせ先
メッセ・ベルリン日本代表部
TEL/03-6426-5628
FAX/03-6426-5629
Mail/info@messe-berlin.jp

 

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