さる11月18日の夕刻より、都内西蒲田の(有)出水電器試聴室にて、「ALLIONプリメインアンプA10の電源100Vと200V聴き比べ」がオーディオ評論家の村井裕弥氏をナビゲーターに開催された。
この試聴会は、毎月テーマを決めて実施しているもので、会場の出水電器が得意とする「マイ柱上トランス」「オーディオ電源工事」「オーディオ専用アース工事」の効果を聴いたり、同社のアンプブランド「ALLION(アリオン)」の10周年記念プリメインアンプA-10の魅力を、さまざまなスピーカーシステムとの組み合わせ、あるいは他社のアンプとの鳴き比べを実施するなど、多彩なメニューで好評を得ている。
今回の試聴会は、電源にこだわる国産アンプブランドALLIONが、創立10周年を記念して作った最高峰プリメインアンプ
A-10(1,200,000円、税別)の100V電源仕様と200V電源仕様の2台を用意し、聴き比べを実施した。
A-10は、電源部に特にこだわって設計された禅トランス(蟹トランスともいう、方式としてはRコア型トランスの種別)を搭載しており、メーカーによる内部の接続切り替えによって、100Vと200Vの電源対応を変更することができる。同一のアンプながら、供給される電源が100Vと200Vとでは、再生される音調がどれほど変わってくるのかを実際に目の前で確認することになった。
まず、通常の100V仕様での再生。これまで、この試聴室ではさまざまな音質対策が段階的に施されていて、回を重ねるごとに良くなっているのだが、今春、遂に「マイ柱=マイ柱上トランス」(TV放映では"マイ電柱")が導入されたことで、この場所の電源環境は格別に良好なものとなった。
その上での100V電源での再生は、いままでの試聴会を含めて、アンプの駆動力に不満を覚えるようなことはなかった。徹底してマニアックな観点からオーディオの理想を追求し、大メーカーが盛り込めない特徴の数々を盛り込んだA-10ならではの余裕のある効率の良い駆動力と表現力は、これまでにさまざまな場所でもデモンストレーションされているが、先般この同じ会場で実施された
ディナウディオC2との組み合わせの試聴会では、聴いていた誰もが"オーディオ再生に酔いしれる"というべき感動の再現性だった。
100V再生を振り返って敢えて言うと、C2のように実に素晴らしい再現性で音楽に引き込まれるスピーカーがある一方、優秀な再現性だがいまひとつ心に響くところが薄いという印象のスピーカーもあったという感想である。ソースの録音の善し悪しや音調、スピーカーとの相性もあるのだろう、来場者の意見も総じてこうした傾向と見受けられた。
そして、200V電源での再生。これは、音の出た瞬間というよりも、演奏が始まる前の静寂感からして異なっていて、音楽が鳴り始めるともう、圧倒的な差をつけられてしまっていて"走者棄権"というに等しい状態になった。たくさんのソフトで聴き比べるまでもなく、いくつか聴けば、もうあとは200Vで感動の音を皆で楽しもう、ということに。
聴き慣れたソフトから、聴いたことのない優秀録音ソフトまで、村井裕弥氏の絶妙なチョイスと解説で、会場は感動の渦に包まれた。「見事な再現力で、奏者の演奏が上手くなったようだ」とか、「これほどこのソフトが魅力的だったとは」など、皆、演奏に入り込んで聴き惚れてしまった。
200V電源というと、「力感と押し出し、パワーで圧倒するけれども解像力や繊細さでは劣るのでは」という話を聞いたこともあるが、それは当てはまらなかった。低域の実在感やエネルギーは確実にアップする一方で、楽器ひとつひとつの解像感や微妙なタッチの違い、空間性、奏者が音色に込めたダイナミズムも明確に表現された。ソースに入っていた暗騒音が分かって、少し驚かされたソフトもあった。
いずれにしても、演奏に引き込まれてしまうような、100Vでは出し切れていなかった再現力が遺憾なく発揮され、また、スピーカーが持つ表現力の懐の奥深さも改めて気づかされた。
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(有)出水電器
オーディオ専用電源工事やアース工事、"マイ柱上トランス"などで知られる同社のオリジナルアンプブランドが、アリオン。電源回路への注力はもとより、音質、表現力、デザイン、使い勝手など先端ピュアオーディオファンに向けたアンプを創造する。
出水電器の試聴会への参加は無料で、申し込みをウェブまたは電話から行う方式となっている。試聴会後の懇親会(参加自由)は有料だが、これもこの会の魅力のひとつ。
〒144-0051 東京都大田区西蒲田1-23-16 TEL/03-3755-5558
これまでの報告レポートは、村井裕弥氏の
ミュージックバードのコラムにも書かれているのでぜひご覧ください。
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(有)出水電器 ALLION
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