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SX-M7

VICTOR
SX-M7

¥300,000(税抜)

発売:2008年10月上旬
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ピュアオーディオ志向を謳った“SX-M”シリーズのトールボーイスピーカー

価格は1本

オーディオ銘機賞2009 ≪銅賞≫受賞モデル

ビジュアルグランプリ2009 ≪銅賞≫受賞モデル

【SPEC】●形式:3ウェイ4スピーカー バスレフ型 ●スピーカーユニット:トゥイーター/1.9cmドーム型、ウーファー/14.5cmコーン型、ボトムウーファー/19.0cmコーン型×2 ●定格入力(JIS):38W ●最大入力(JIS):150W ●定格インピーダンス:6Ω ●再生周波数帯域:26Hz〜65kHz ●出力音圧レベル:88.0dB/W・m ●クロスオーバー周波数:150Hz、3.5kHz(12dB/oct 正接続) ●外形寸法:274W×968H×419Dmm(スピーカーターミナル、サランボード含む) ●質量:39.0kg(1台・本体)

※原則として製品発表時のデータを掲載していますので、内容・価格は変更されている場合があります。また、この製品データベースには生産・販売を休止したモデルの情報も含まれています。

テストレポート

シンプルな外観ながら、その内容には革新性が秘められている

ビクターのスピーカーは本機の姉妹機「SX-M3」の登場を契機に新しいフェイズに入った。型名の「M」はミュージックを意味するという。音楽を楽しむための原点に立ち返ったスピーカー作りを目指すという意志の表明だ。

その目的を実現するために取り入れた技術は多岐にわたるが、最大のトピックはマグネシウムを振動板素材に採用し、ビクターが完成させたオブリコーン技術と組み合わせて、理想の次世代ユニットを完成させたことだ。本機は、「SX-M3」に採用されたそのトゥイーターと小口径ウーファーに2個のパルプコーンウーファーを組み合わせた3ウェイとして設計され、堂々とした体躯のフロア型に仕上げられた。トゥイーターは磁気回路にネオジウムを採用、キャビネットは上下2分割の完全独立構造を導入するなど、低域拡大に伴う新たなアイデアも盛り込まれている。部位によって異なる木材を組み合わせたキャビネットはリアに「SX-M3」と同じ傾斜角をつけて、定在波の発生を抑えることを狙った。外見は奇をてらわずシンプルだが、内容には革新性が秘められていることに注目しておきたい。

マグネシウム素材は固有共振が少なく素直な音を再生することが特徴だが、本機の再生音の基本はまさにそこにある。まずは、どの楽器を聴いても、それぞれの楽器の音色に説得力があり、実際の響きを忠実に再現する。オーボエにしては音が硬いとか、バイオリンが細いとか、そういう不満とは縁がない。音色だけでなく音の長さやバランスについてもやはり精度が高いし、声にも余分な付帯音が乗らず、なめらかで柔らかい。メタル振動板でこれだけ素直な音が出せるのはマグネシウムならではである。

それでは味付けの薄い音かというと、決してそうはならないところが面白い。ソプラノは情感豊かに歌うし、チェロは艶やかで陰影に富む。これまで微小な歪みや共振にマスクされていた成分がストレートに出てくるようになったのであろう。時間をかけてじっくりと使い込んでみたいスピーカーである。

(text:山之内 正)