手軽にウッドコーン・シアター環境も構築できる

ビクターの主力スピーカーとなったウッドコーン。単体のもので5製品を揃え、キットモデルまでラインナップする。DVDコンポでは4モデルを数える人気商品だが、中でもEX-AK1は若者からヤングファミリー向けのベーシックなシステムとして注目である。

スピーカーは8.5センチのウッドコーンを1基搭載。センターキャップまで樺材で、年輪が縦に走っている。振動モードが均一でないというメリットがあるのはご承知のとおり。美しい響きを求めキャビネットも天然無垢のチェリーを奢ったのも嬉しい。バスレフポートは背面で、これを30W＋30Wの「DEUS」デジタルアンプで駆動する。ハイブリッドフィードバックを用いた「DEUS」と「K2テクノロジー」がアンプ部の2枚看板だ。DVDプレーヤーは上位の EX-A3譲りの強固なメカニズムを採用。FM/AMチュナーまで一体化した手間いらずである。コンパクトでおしゃれな本体部とウッドコーンがリビングに溶け込み、いい感じである。

音出しはまずCD。意外にこれがリッチな響きでボーカルはクッキリと抜出し、とても10センチ足らずのユニットとは思えない。ジェーン・モンハイトのノリの良いジャズボーカルやキャサリーン・ジェンキンスのみずみずしく体温感のある表現はウッドコーンならではのものだ。ピアノやベース、リズム系楽器は気持ちよくほぐれて、キレがよくクリアに届いてくれる。定位がとても自然で輪郭が鮮明なのはシングルコーンのメリットだろう。管弦楽などの大がかりな編成も、そこそこの音量であれば豊かに楽しめるし、K2は2段階のキーがあり、ONするとさらに細部が磨かれたようなつややかさがアップした。DVDの画質はクセがなく自然だ。エフェクト音の3Dフォニックはアクション、ドラマ、シアターの3モード。テレビと本セットの組み合わせも豊かな空間が広がり、セリフに深みが増すなど、手軽にホームシアターが体験できた。さらにヘッドホンサラウンド機能やデジタル圧縮音声のMP3/WWAファイルまで楽しめる使い勝手の良いコンポである。

（text：林正儀）