ディナウディオは過去に2度、記念モデルを発売している。スペシャル1とスペシャル25がそれで、前者はまだ日本での取り扱いが開始される前のものだが、後者は創立25周年のアニバーサリーとして発売された。そのいずれも2ウェイのブックシェルフタイプだったが、今回のサファイヤに限っては3ウェイ・ダブルウーファーのフロア型。意気込みがこれまでとは違うようだ。

Sapphire
製品データベース
Text
井上千岳
2,205,000円/ペア(税込)


【SPEC】
●型式:3ウェイ4スピーカー バスレフ型 ●感度:88dB(2.83V/1m) ●パワーハンドリング:300W ●公称インピーダンス:4Ω ●外形寸法:330W×1350H×325Dmm ●質量:40kg

 

カラーはアイボリー、ボルドー、アンバー、モカの4色を用意

ディナウディオが持つ最新・最高の素材と技術を投入した30周年記念モデル

一目見て、これはいいと思った。まずサイズがいい。サイズというよりプロポーションがいい。縦と横のバランス。それに宝石のカットを思わせるデザインにも嫌味がなく、これほど自分にぴったりくるスピーカーには初めて出会ったという思いがあった。

そのサファイヤを、あらためて聴いてみる。実はこの時点では、まだスペックなど詳しい内容は届いていなかったのだが、はっきりしているのは、トゥイーターがESOTARスクエアであること。特殊コーティングのシルクドームを、ネオジウムマグネットの磁気回路で駆動する。実物を見ると驚くが、厚さが非常に薄い。それでいて2倍も厚みのあった従来のESOTARより磁力が高いのだという。コンフィデンスシリーズに使われたディナウディオ最新世代のトゥイーターである。

ウーファーとミッドレンジはMSPコーン。これもコンフィデンスシリーズからの直系である。特にウーファーはネオジウムのダブルマグネット。口径は20cmで、カプトンフォーマー(ボビン)上に75mm径のアルミボイスコイルを巻いている。

キャビネットは写真にある通りの斬新なデザインだが、内部はトゥイーターとミッドレンジ用に専用のキャビティが仕切られ、さらに入念な補強が施されている。そしてミッドレンジとトゥイーターは、内部に別のバッフルを設けてそこに装着されているようだ。

ディナのフロア型は、実のところしばらく聴いていない。だからかもしれないが、聴いた途端に、ああこれだ、これでなくてはだめなんだ、という懐かしさのような安心感を覚えたものである。相変わらず音調は限りなくニュートラルである。ディテールは驚くほど精密だ。そしてそこに少しも無理をして出しているという形跡がない。するり、という感触でひとりでに音が鳴ってしまう。そこがディナの本領だ。それがやはり好きだ。

一生のものとするならこれだな、と思った。ディナウディオは好きだが、これだけ好きになった製品はほかにない。顔もスタイルも含めて、意中の相手を探り当てたというところだろうか。

back