DYNAUDIOのハイエンドシリーズ「Confidence」が久しぶりにリファインを遂げて登場した。2011年秋からは、ブックシェルフの「Confidence C1 II」が登場。搭載ユニットをはじめ、各所に最新のチューニングを施して、特別色で外観を仕上げたSignatureエディションも発売される。

Confidence C4 Signature
Text
井上千岳
C1 II
¥2,520,000(ペア・税込)


【SPEC】
●ユニット:170mmMSPコーン・ウーファー×2、MSPコーン・ミッドレンジ×2、28mmシルク・ドーム・トゥイーター ●能率:88dB(2.83V/1m) ●周波数特性:27Hz〜25kHz ●インピーダンス:4Ω ●クロスオーバー周波数:730Hz、2.2kHz ●外形寸法:250(本体)/420(ベース)W×1750H×445Dmm ●質量:55.0kg ●問い合わせ先:DYNAUDIO JAPAN(株)

 

C1 Sig
ウーファーユニットはアルミ製ボイスコイル、MSP製振動板、ダイキャスト・アルミ製フレームを組み合わせる

高精度パーツにより別次元の改良を施した新フラグシップ

フラッグシップのEvidenceやConsequence U/Eを除けば、ディナウディオの実質的な最上位機がConfidenceシリーズである。2002年に発売されて以来、9年ぶりにリファインされたのがこのSignatureとMark IIで、違いは主に仕上げである。中でもC4 Signatureは、このシリーズを代表するトップモデルで、外観に変更はないがネットワークなどの見直しによって大幅な音質改善を実現している。

C4 Signatureはラインアップ中、唯一の3ウェイ機である。ただ単純な3ウェイではなく、トゥイーター、ミッドレンジ、ウーファーのそれぞれが2基ずつ使用され、上下対称に仮想同軸を形成するようにマウントされている。しかし本来の目的な仮想同軸にあるのではなく、特殊なフィルタリング技術(DDC)によって上下ユニットをいわば干渉させ、指向性をコントロールするというものだ。これによって天井や床の反射から音を守り、カラレーションを抑えることが可能である。このためユニットはデュアルで搭載されているわけだ。

トゥイーターはシルクドーム、ミッドレンジとウーファーはMSP(ケイ酸マグネシウム・ポリマー)の振動板を備える。またボイスコイルにアルミ線を使用し、通常よりも口径を大きく持たせていることもディナウディオの特徴だ。

キャビネットは特徴のあるスタイルで、ユニットは直接ではなく、MDF製のバッフルに取り付けられている。このバッフルとキャビネットの間は、ダンピング効果を持った素材で接合され、さらにサイドからガラス製のパーツで止めてある。キャビネットとの共振を防ぎ、その振動がユニットに影響しないように考慮された入念な構造である。

これらの特徴は、オリジナルから変更されていない。また外観もほとんど変わるところがなく、わずかにベースに施されたロゴから赤い下線が抜けているのが唯一の違いといえそうである。

ユニットも基本的に同じである。ただトゥイーターのコーティングは変更されているが、もともとこの部分は絶えず研究が続けられているため、これまでにも随時変化していた可能性がある。

最大のポイントはクロスオーバー・ネットワークである。おそらくこれがあったからこそリファインの決断が下せたのだろうが、パーツは一新されている。

ディナウディオのネットワークは全て1次(-6dB/oct)だが、その薄膜コンデンサーと内部配線は新たなものとなっている。また最新のセラミック抵抗と空芯コイルを採用し、コンデンサーにも高精度な部品を登用して性能を向上させた。

これだけのことに9年かかった、というより、元の完成度があまりに高すぎたため、現在のような高精度なパーツを待たなければ満足なリファインは不可能だったということだろう。

実際音を聴いてみても、小手先の変更でないことは明らかだ。なにより低域の伸び方と解像度が際立っている。ジャズの低音を聴くとよく分かるが、沈み方が楽々として質感に曇りがない。またそれに伴って中・高域も一層晴れやかに澄み、アカペラや室内楽が手に取るような実在感を示す。オーケストラやピアノは、ステージが見えるように音場がリアルだ。まるでスピーカーの役割を越えてしまったかのような、あまりに印象的な再現である。


Confidence C1 Signature
製品データベース
Text
井上千岳
C1 II
¥945,000(ペア・税込)


【SPEC】
●型式:2ウェイ・バスレフ型●感度:85dB(2.83V/1m) ●パワーハンドリング:170W ●インピーダンス:4Ω ●周波数特性:45Hz〜22kHz(±3dB) ●クロスオーバー:1800Hz ●外形寸法:200W×445H×430Dmm ●質量:10.9kg ●問い合わせ先:DYNAUDIO JAPAN(株)

 

C1 Sig
レギュラーモデルのConfidence C1 IIも登場した

9年ぶりにリファインが施された中核となるハイエンドシリーズ

コンフィデンスはディナウディオの中核的なハイエンドシリーズだが、現行モデルは2002年に発表され、普通ならとうの昔にモデルチェンジされていてもおかしくはないが、実に9年ぶりのリファインである。

リファインといってもフロント・バッフルの色を除いて外観は全く変わっていないが、中身はほとんど別物といっていいほど違うはずだ。ユニットはいずれも従来どおりのEsotar2で、ウーファーはMSPコーンによる17cm。カプトン・フォーマーに巻いたアルミボイスコイルも健在である。

トゥイーターはファブリックドームだが、コーティングは最新バージョンに変わっている。さらにネットワークは全面的に変更され、薄膜コンデンサーとセラミック抵抗、最新の空芯コイルが新たな内部配線で配置された。

本来C1は非常によくできた製品で、ブックシェルフ型としてほとんど手のつけようがないほど完成されている。そのバランスを崩さず、さらに次元を引き上げるのは、並大抵の難しさではなかったはずだが、この間に30周年記念モデルの「Sapphire」「Consequence UE」が開発され、そのチューニング技術が大いに活用されたようだ。

音楽が滑らかに呼吸しているような印象

ともかくこうして仕上がってきた音を聴いてみると、やはりこれが一番しっくりくる音だと感じる。なにより自然そのものである。無理がどこにもない。

基本的には、やや厚手の手触りを増している。引っかかりや息苦しさといったものがなく、音楽が滑らかに呼吸しているような印象である。

ギターやピアノのタッチがナチュラルだ。取り立てて神経質になることもなく、またデリケートなニュアンスも豊かに備えながら、当たり前のように出てくる。特に低音部の生きた感触がこれまで以上のリアリティを感じさせる。沈み方の深さは、こういうところに現れるものだ。必ずしも大音量のアタック音ばかりが、低音の物差しになるわけではない。

アカペラはどうだろう。声にわずかな温かみを加えて、その伸びやかなことは類を見ない。高域特性を広げているわけではなく、これよりレスポンスの高いスピーカーは珍しくないが、歪みや棘を全く出さず、声の質感と余韻を正確・精密に引き出すことで伸びのよさが実現されている。ハーモニーの透明な響きもきれいだが、表情の起伏がいままで以上に大きく、表現のダイナミズムが広がっている。アカペラのダイナミックレンジなど知れたものだが、それでも陰影の深さにはっきりその差が現れる。

同じことはジャズにも当てはまる。格別音量を上げなくてもリズムの弾みや抑揚がありありと感じられ、すぐそこから音が出ているような現実感がある。ウッドベースやキックドラムの分解能が明らかに向上しているのが大きく、それに連れてピアノやシンバルも楽々と鳴っている。ベースの表情が豊かなことはどうだろう。線がくっきりして当たりは柔らかく、ピチカートの手触りが見えるように鮮明だ。ドラムソロも明快で力強い。

オーケストラはそれこそ指揮台の上辺りから眺め渡すような心持ちだ。大太鼓の重さと厚さがずっしりと手応え豊かに鳴り響き、瞬発力も申し分ない。金管、シンバル、低音弦、いずれも厚みを失わずしかも切れがいい。そしてそれらが少しも混濁することなく、多彩な色彩で鮮度よく描き出される様子は、ちょっとやそっとでは得られない生々しさといっていい。驚くべき再現力である。

性能や特性に優れたスピーカーは少なくない。しかしそれに加えて音楽的な表現力を深く備え、しかも自然な手触りを一切失わない製品というものには、そうそう出会えるものではない。いまこの時代に生きてこの音を聴く機会を得た人は、その稀な幸運を喜ぶべきだろう。


Confidence C2
製品データベース
Text
井上千岳
\1,700,000(ペア)

【SPEC】
●ユニット:28mmソフトドームトゥイーター×2、170mmコーンウーファー×2 ●外形寸法:420W×1550H×445Dmm ●質量:40kg


ナチュラルな感覚に磨きがかかった
気品あふれるハイエンド機

コンフィデンスはディナウディオの上級モデルで、これまでフロア型のコンフィデンス5とブックシェルフのコンフィデンス3が発売されてきた。このC2はコンフィデンスCシリーズと呼ばれるラインナップの一環で、スタイルも内容も従来のものから一新されている。

外観上最も目に付くのは、キャビネットから飛び出した形のフロントバッフルである。材質はHDF(高密度集積材)で、木質のダンピング材を介してMDF製のキャビネットに取り付けられている。またガラス製のボードで側面にも固定される。このバッフルに、トゥイーターとウーファーが2基ずつマウントされたスタイルである。

トゥイーターは新開発のESOTARスクエアと呼ばれるソフトドーム。従来のESOTARからサイズを大幅に縮小しながら効率は2倍にも向上している。またドームには新たな特殊コーティングも施された。ウーファーは17cmのMSP(珪酸マグネシウム・ポリマー)。いずれもディナウディオのトレードマークともいえるピュアアルミ・ボイスコイルを使用している。


Confidence C4
製品データベース
Text
小林貢
\2,200,000(ペア)


【SPEC】
●感度:90dB(2.83V/1m) ●公称インピーダンス:4Ω ●クロスオーバースロープ:6dB/oct ●ユニット:28mmソフトドームトゥイーター×2、150mmコーンミッドレンジ×2、200mmコーンウーファー×2 ●外形寸法:250(スタンド部420)W×1750H×445Dmm ●質量:50kg

 

サイドにつけられているティアドロップ型パネル。厚さ約4mmの強化ガラス製である

斬新かつ独創的な手法を
大胆に取り入れた異彩のモデル

試聴室に運び込まれたC4の形態や構成を見ると、エヴィデンス・マスターなど上級機からの技術を受け継ぎながら新しい素材や手法を導入しハイパフォーマンス化を図ったシステム、ということが分かる。新開発された強力なEsotar2トゥイーターをはじめ各帯域に2本ずつのユニットを搭載した本機に何の予備知識もなしに接すると、仮想同軸レイアウト方式を採ったシステムと思われることだろう。しかし仮想同軸配置を採った場合、その効果を最大限に発揮させるためにはトゥイーターを中心として上下を完全なシンメトリー構造にすべきなのである。それを前提に本機を眺めると、ユニット配置は上部にオフセットし、しかもフロントバッフルも上下対称形でないなど、仮想同軸の理想とは異なっている。

最新システムらしい広いレンジと情報量を確保し、ディテールを明瞭に再現する解像度の高さも備えていた。しかし決してクリティカルに音楽を聴かせることはなく、3ウェイ6スピーカー構成とは思えない音楽的なまとまりの良さを感じさせる。アンプを選ぶ傾向が少ないのは本機の完成度が高い証で、個々のアンプの音の違いを十分に楽しめたのである。本機は、アンプ選びで苦しむようなシステムや、満足な音が得られるまで数年も要する未完のシステムとは異なる。現代の技術の粋を感じさせる高い完成度を有したシステムといえる。


Confidence C1
製品データベース
Text
井上千岳
\800,000(ペア)

【SPEC】
●形式:2ウェイバスレフ型 ●感度:86dB(2.83V/1m) ●ユニット:170mmMSPコーンウーファー、28mmソフトドームトゥイーター ●インピーダンス:4Ω(通常) ●周波数特性:45Hz〜22kHz ±2dB ●クロスオーバー:1.8kHz ●外形寸法:200W×445H×430Dmm ●質量:10.9kg

最低音域までたっぷりと捉えてにじみがなく
濁りや不透明さがない

ウーファーに一体成型のMSP(珪酸マグネシウムポリマー)の17cmコーンを使用し、75mmの巨大なピュアアルミボイスコイルで駆動。トゥイーターにはこのシリーズで専用に開発されたESOTARスクエアを採用し、特殊コーティングを施したソフトドームを磁性流体封入のネオジウム磁気回路で駆動する。

キャビネットの前面にフロントバッフルを張り出した構成はフロア型と同一だ。本体は内部補強を施した20mm厚のMDF。これにダンピング材を介して32mm厚のバッフルが装着されている。ユニットはこの部分に搭載され、キャビネットからの振動を排除する仕組みである。

ベースが崩れない。最低音域までたっぷりと捉えてにじみがなく、量感も十分に出ている。ピアノも厚く力強い。それでいて濁りや不透明さはなく、あらゆる音が明快に鳴っている印象である。ボーイソプラノは驚くほど繊細だ。余韻が非常に明瞭に分離し、声の直接音と滑らかにつながっている。奥行きの出方が大変正確。音だけが宙に浮いているようなリアリティがある。バロックは非常に素直で抵抗のない音だ。リコーダーやバイオリンなど古楽器らしい感触を繊細に描き出しながら、水が流れるように滑らかな音調を紡ぎ出す。整理がよく、楽器間の分離に優れ音楽的な有機性に富んでいる。空間の響きも大変澄み切って豊かだ。声楽はホールの音場そのものを生の形で伝えるような再現だ。余韻がたっぷりと乗り、それが音像の位置や距離を精密に描き出す。声の実在感がありありとしている。痺れるような出方である。オーケストラのスケール感もサイズを優に越えている。分解能の高さを十分に生かして楽器の分離を明瞭に押さえ、音場の立体感も十分に描き尽くしている。色彩感も鮮やかだ。全てが楽々と出てくる。鳴らすほど魅力の溢れるスピーカーである。

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