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業務用を手がけた実績から、長尺もののHDMIケーブルを得意とするメーカーが、コンシューマーの分野に参入する。AIM(エイム)電子である。今回フラットタイプの「PAVA-FLシリーズ」を発売するにあたり、同社で製品開発に携わる田代氏、並びにマーケティングをご担当される中山氏にインタビューを行った。
同社はコンピューネットワーク業界向けのデータ通信ケーブルメーカーとして1983年10月に創業。ユニバーサルジャパンのアトラクション館の通信ケーブル、関西空港のネットワークシステムなど手がけた実績があり、幅広い通信インフラに採用されてきた。物流センターの倉庫には何万点というケーブルの部材があり、それを組み合わせて、あらゆるニーズの製品作りに対応できるのが強みだという。中でも自信をもっているのが長尺ものである。メーカー純正だと尺が足りないようなケースも、1本1本地道にオーダーに応えていく。「データを正確に伝送する」という確固たるポリシーと品質への裏付けがあり、ISOの認定を受けている。
こうして25年間培ってきたデジタル通信の技術を活かし、HDMIケーブルを製品化していこうと2年前にプロジェクトとして立ち上げたという経緯だ。ここでも他社にはない、高性能ロングケーブルのノウハウを発揮。CEATEC JAPANで各大手メーカーのブースで採用されたのも、実はAIMのHDMIケーブルだった。おそらく多くの方がご覧になっているはずだ。
「PAVA-FLシリーズ」は手に取った感触も柔らか、かつ軽やかなフラット(平行)構造のHDMIケーブルだ。最長15mまで幅広くラインナップを充実させている。8m、10mのモデルはHDMI ver1.3カテゴリー2の最高スペックを満たすハイスピードケーブル認証品である。12m、15mのモデルは1080iへの対応を基本としたスタンダードケーブルであるため1080p信号対応の認証は行われていないが、実際にはいずれの長尺モデルも、エイム電子独自の厳しい品質評価テストをクリアしており安定した1080p信号伝送を実現している。ただし、接続された機器や環境によっては1080p信号の伝送に問題が生じる場合もあるため、その際には1080i信号による使用をおすすめしたい。
ここで、一般の丸型のHDMIに比べて、フラットタイプの有利とされる点をあげてみよう。大きくはふたつだ。ケーブル長と実際の導体長がイコールになること。そしてクロストークなどのノイズの干渉が少ないことだという。まず1点めだが、丸ケーブルの場合、中の線材を撚ってあるのをご存じだろうか。その分実際のケーブル長よりも長くなる。フラット型は撚りがないために、10mであれば、ジャスト10mが確保できる。理論上、ケーブルは短ければ短いほど減衰しないので、フラットの方が性能がよいというわけだ。
さらに丸型では、+と−の長さが絶対に等長とは限らないという。僅かであっても差が生ずればどうなるか。到達するタイミングがズレて、これがジッター(時間軸のゆらぎ)になるのだ。この点でもフラットなら心配がない。
次に第2のポイントはノイズの問題だ。丸ケーブルは構造上互いの導線が密集しているために、干渉しやすいという。シールドを巻いているとはいえ完璧ではない。そこで構造上有利なのがフラットケーブルだ。映像と音を伝送する3本×4=12本のTMDSラインはすべて平行に配置され、相互のノイズ干渉が非常に少ない、ちなみに丸型かフラット型かという選択はメーカーに任されており、HDMIフォーラムでの規格上の制約は設けられていない。
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「PAVA-FLシリーズ」のその他の特徴をみていこう。ケーブル導体は独自のプロセスによる「高純度・HC-OFC」を採用。シールドは高密度編組3重シールドだ。TMDS各4ペアにアルミと銅編組を採用。絶縁体については、発泡ポリエチレンとポリエレンの2層構造を採用する。ポリエチレンの中に空気を入れてイプシロン(誘電率)をコントロールすることで、インピーダンスなどのパラメータも調整している。発泡させることで、ポリエチレンだけよりもサイズを10%ほど小さくできるのもメリットだ。これによってケーブル自体のダウンサジングにもつながる。また、フレキシブルに曲がりやすい、しなやかなHDMIケーブルに仕上げられている。
ダウンサイズといえば、24金メッキコートを施したコネクタ部も小さいのだ。「20.8W×10.0Hmm」というのは、フラットケーブルの中では業界最小。ホームシアターの配管では28mmφと22mmφが一般的だが、「PAVA-FLシリーズ」なら配管形状が比較的ストレートであれば小さい方の22mmφも選択することが出来るのでインストーラー諸氏にも喜ばれるはずである。
性能の検証について補足しておく。カテゴリー2の10Gとは、ビット数に直すと枚秒10億ビットのデータ量が流れる計算だが、実機テストで映像・音声が通らなかったことは一度もないそうだ。そのために検証室ではほんの少しでもノイズや色の乱れなどないか、エンジニアの目で厳格にチェック。リファレンスのBDソースとしては、特に「カーズ」「イノセンス」などのCG系作品を入念に視聴して画決めをしたという、「カーズ」の表彰台のシーンでの艶やかな発色や色バランス、透明感などをつぶさにチェックされた。
本ケーブルは、パイオニアの新しいプラズマテレビ“KURO”のリファレンスHDMIに採用されるほどの実力機だが、さて今回の視聴は音元視聴室に加え、筆者宅でも同じビクター「DLA-HD1」による入念なテストを試みた。 |
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基本的な第一印象は、まったくクセのないナチュラルそのものといった伝送性能の優秀さだ。「カーズ」「ライラの冒険」「ブレードランナー」「デジャブ」など見たが、どのソフト、どのシーンにも意図的なメリハリや強調感というものがなく、ひたすら忠実伝送に徹しきる。波形伝送がきれいで、むろんノイズなど加わることもない。映像の鮮度感やピタっとはりつくような安定度は、さすがに業務用で鍛えただけのことはある。
さらに一歩踏み込んだ画づくりという点でも、私がこれまで視聴してきた内外の高級HDMIケーブルと互角か、それ以上に“魅せる”懐の深さも実感させせられた。「カーズ」の深みのある色ツヤ感は見事で、「ライラの冒険」は明るく白ピークの伸びたすがすかしさを実感させる。CGで描いた飛行船は1080pらしい緻密さに溢れ、「デジャブ」は強いライトが点滅するダイナミックなタッチが魅力的だ。「ブレードンナー」の冒頭は、未来都市らしいクールな中にも濃密な黒再現や、タイレル社の室内シーンではリドリー・スコット監督ならではの光の陰影のテクスチャーを味わう。ショーン・ヤングの肌や髪の描きもしっかりとしていて丁寧だ。
10m、15mなど長尺モデルでの安定感には驚きだ。プロジェクターまで延々とのばしても、映像はピタリと安定し、映像切り替えや出画の瞬間もまったく不安がない。ゆるぎのない伝送性能は素晴らしく、テクスチャーの描き分けが正確だ。色のトーンを含めた映像品位は文句なし。ソースそのものに隠された映像のエッセンスを余さず伝えてくる印象である。
取り回しの良さはいうまでもなく、長さが少しも苦にならならない。絶縁体も適度な柔らかさであるため、結線した状態でもケーブルにストレスがかかりにくい。性能、ハンドリングとも太鼓判の満足度といってよいだろう。
また接続する際には、プラグに「SOURCE」と「SINK」という方向性のマークが付いているので迷うこともない。実は、今回の試聴では、近々発売される予定の70センチ、1mといった短弱ケーブルも試聴してみた。これはソース側機器とAVアンプ間で使う際に適しており、まさに最短直結の高画質・高音質が手に入る。クッキリと鮮烈で、かつ細かい光や色の存在がさらにリアルさを増す感じだ。70センチ視聴では、空前といえるダイレクト感が味わえる。鳥肌が立つと表現しても大げさではなく、HDオーディオの情報量たっぷりな様子も、ビンビン感じ取れた。短尺でのクオリティの高さ、情報量の豊かさからも、このFLシリーズの実力の高さを確認することができた。気になるプライスも比較的手頃であり、今後のHDMI機器の広がりからみてAIMのFLシリーズは今後おおいに注目を集めそうだ。 |
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筆者プロフィール 林 正儀 Masanori Hayashi 福岡県出身。工学院大学で電子工学を専攻。その後、電機メーカー勤務を経て、技術系高校の教師というキャリアを持つ。現在、日本工学院専門学校の講師で、音響・ホームシアターの授業を受け持つ。教鞭をとっている経験から、初心者向けに難しい話題をやさしく説明するテクニックには特に定評がある。自宅視聴室に3管式プロジェクターを常設し、ホームシアター研究のための努力と投資は人一倍。
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