特別連載 注目アクセサリーで楽しむ オーディオビジュアル STEP UP

第3回 高音質USBオーディオケーブルという新基軸

ベルキンのPureAVシリーズから登場した
高音質USBオーディオケーブルを聴く

レポート/高橋敦
ベルキンがラインナップする高音質ケーブルのブランド"PureAVシリーズ”からUSBオーディオケーブルの実力を高橋敦氏がテスト。その様々な使いこなし方も提案する。

「PureAV」は、アメリカ西海岸に本拠を置くBELKIN社が送り出す、ハイクオリティ・ケーブルブランドである。BELKINといえば、同社製品の歴史は、創業者が学生時代に自宅ガレージで当時高価だったパソコンケーブル製作を行ったことに端を発するのだという。そんな同社の歴史を遡ってみれば、同社がデジタルケーブルにユニークかつ幅広いラインアップを持っていることにも納得がいく。

 

その「PureAV」シリーズのケーブルについては、現在日本市場に投入されているのは"シルバーシリーズ”と呼ばれる、特にクオリティ志向のハイクラス・シリーズだ。デジタルケーブルとしては、HDMIケーブル、i.Linkケーブル、TOSリンク(光デジタル)ケーブル、同軸ケーブルが、またアナログケーブルとしてはRCAオーディオケーブル、サブウーファー用オーディオケーブル、スピーカーケーブルと、オーディオ環境、ホームシアター環境の全てを網羅する豊富なラインナップが揃えられている。

 

スピーカーケーブル以外の全モデルに、耐摩耗フレキシブルPVCジャケットとノンスリップグリップのプラグを採用していることが共通の特徴。前者は耐久性と柔軟性を併せ持つシールド外装であり、実際に触っても安心できる頑強そうな手触りと、堅すぎず扱いやすいしなやかさが感じられる。後者は金属素材のプラグ部にラバー製のカバーを装着し、接続時におけるハンドリング性の向上を実現しているところがポイントだ。実際に手にしてみると質感もあり、なおかつ端子部への抜き差しが非常にスムースに行えるのがよい。

 

PCOCC(単結晶高純度無酸素銅)を採用するオーディオケーブルやスピーカーケーブルに対して、デジタルケーブルには99.99%無酸素銅を銀メッキした導体を採用する。導線の本数や太さは製品ごとに最適化されている。フェライトコアや複数層のシールド構造でノイズ対策を徹底する点はデジタルケーブルに共通の要素である。また高純度銀ハンダによる接合など、デジタルケーブルに求められる基本性能を徹底的に盛り込んだ仕様となっている。すでに、評価の高い同社のHDMIケーブルにも、こうした基本仕様が採用されている。

 

その"シルバーシリーズ”のラインナップとして、今回新たに追加されたのがUSBオーディオケーブルである。前述のシリーズ共通の特徴をそのまま受け継ぎ、USBケーブルを特にオーディオ用途に積極的に使うことを意識してチューンされている。結果として従来の一般的なPC等の用途に向けたUSBケーブルでは考えられない仕様が盛り込まれている。このように贅沢な仕様を盛り込んだ、"ハイクオリティ志向”のUSBオーディオケーブルの実力と、その楽しみ方を今回は探っていきたい。

 


「PAV52200-06」 USB A to Bタイプ
(写真はクリックで拡大)


「PAV52201-06」 USB A to mini Bタイプ
(写真はクリックで拡大)

BELKIN PureAV USB2.0 オーディオケーブル
PAV52200-06(USB A to Bタイプ/1.8m ¥5,250・税込)
PAV52201-06(USB A to mini Bタイプ/1.8m ¥5,250・税込)

【SPEC】●インターフェース:USB2.0対応 ●導体:銀メッキ処理OFC(無酸素銅) ●絶縁体:高性能ポリエチレン ●シールド:3層シールド構造 ●プラグ部:24K金メッキコネクター、ノンスリップグリップ ●その他:耐摩耗フレキシブルPVCジャケット採用

本製品はメーカーでの生産・販売を終了しています。
 

PC周辺機器のラインナップを多数手がける同社が、あえて「PureAV」のシリーズとしてラインナップしてきたのだから、これは当然「ハイクオリティ・オーディオ」への用途を提案しているUSBケーブルである。具体的には、PCとのUSB接続が可能なオーディオDAC(D/Aコンバーター)や、USB入力を備えたコンポーネントへの接続が、主な用途になるだろう。

 

PCで高音質ソースをダウンロードして聴く音楽の楽しみ方にも注目が集まりつつある。USB接続の条件を向上できる楽しさがPureAVの新しいUSBオーディオケーブルにはある(写真はクリックで拡大します)

近年、ポータブルオーディオプレーヤーの普及とともに、その母艦となるPCもオーディオシステムとしての存在感を増している。さらに一部の音楽配信はCDを超える96kHz/24bitなど、高音質な楽曲データの提供を行っており、PCにはその再生環境としての“オーディオ・クオリティ”も求められるようになってきた。

 

そこで高音質な再生環境をつくるための選択肢として、前述のUSB接続のDACやUSB入力対応コンポーネントとの組み合わせが注目されるのだ。PCの内部はデジタルノイズの嵐であるため、オーディオ機器としての部分を外部に隔離できるUSBオーディオシステムは、PCオーディオの音質向上に有効な手段なのである。

 

PCとそれらの機器の接続にはUSBケーブルが用いられることが多いが、これまで"オーディオ用”を謳った製品は見かけなかった。そこに今回、PCとAVの両分野を手がけるベルキンからUSBオーディオケーブルが登場したことは歓迎に値する。

 

USBはオーディオデータの転送時にはアイソクロナス転送という方式を用いるのが一般的で、同方式ではエラーが発生してもデータの再送が行われない。エラーの発生量で音に差が出るということも、あり得ない話ではないと思われる。今回はいくつかの試聴システムを用意して、PureAVのUSBオーディオケーブルの効果を確認してみようと思う。


【Part.1】 USB入力を搭載するスタイリッシュな一体型システムで聴く

最初の試聴環境はUSB入力を持つ一体型オーディオシステム「Aura note」とMacBookの組み合わせ。スピーカーはパイオニアの「S-A4SPT-VP」を組み合わせた。iTunesに取り込んだロスレスファイルを再生し、PureAVのものと一般的なUSBケーブルを随時入れ替えながらチェックした。

 

USB入力を搭載する「Aura note」とMacBookによる、スタイリッシュなデジタルオーディオ再生環境を構築(各写真はクリックで拡大します)
PureAVのUSBオーディオケーブルを接続。端子カバー部に施されたラバー仕上げによる、安定したグリップ感も特徴のひとつだ

 

Jacintha「Lush Life」からの曲では、PureAVケーブルの方がシンバルの音色の透明度と、響きの成分が増してくる。それぞれの音色の余計な厚みが薄れ、空間性が高まる印象だ。低音域ではウッドベースの飽和感が抑えられ、輪郭がくっきりとしてくるようだ。

 

FAKiE「To The Limit」からの曲では、PureAVを用いた場合、ギターの細かくパーカッシブなフレーズでアタック感、粒立ちに改善が感じられる。低音弦をミュートしたベースラインの輪郭も明瞭さを増す。

「Aura note」とスピーカー「S-A4SPT-VP」との接続にはPureAVのスピーカーケーブル「PAV53102」を仕様。Yラグコネクター「PAV54005」を用いて接続性を高めることができる(各写真はクリックで拡大します)
音元出版試聴室にて、PureAVのUSBオーディオケーブルの音質を確かめる筆者


【Part.2】 USB DACと高音質ヘッドホンで楽しむデスクトップオーディオ

続いてWindows PC(VAIOノート)とクリエイティブのUSB接続DAC「USB Sound Blaster Digital Music SX」を組み合わせ、そのヘッドホン出力からパイオニアのヘッドホン「SE-A1000」で試聴した。

先ほどと同じ音源での確認では、やはり同傾向の変化を感じた。低音域パートの輪郭が明瞭度を向上させ、中高域の透明度も高まる。

 

加えて、e-onkyoの楽曲ダウンロードサイトから、96kHz/24bitの高音質タイトルを購入して確認した。椎名林檎×斎藤ネコの「平成風俗」からの楽曲を聴いた。

 

CDから取り込んだ同曲と比較すると、一聴した感じではCDの方がパワー感があり平均レベルも高い。しかし聴き込んでみると、96/24の楽曲の方が音色のデフォルメ感が少なく、響き方が自然なように感じられる。96/24に合わせて、楽曲自体もマスタリングの方向性から変えているように思える。

 

PureAVのケーブルはその変化をさらに浮き立たせる。全体的な透明度、分離感の向上や、背景に溶け込みつつ細かなフレーズを入れているギターの動きなど、一般的なUSBケーブルでの試聴時よりも96/24の威力を感じ取りやすい。総じてPureAVのUSBケーブルは、ぱっと聴いてすぐわかるような音質変化を生むものではないが、聴き込んだ際のディテール描写に改善を感じられる。

 

DACのUSB端子にケーブルを接続。接続先の機器に合わせて、ケーブルのコネクター形状には「A to B」と「A to mini B」が揃う(各写真はクリックで拡大します)
USB DACの試聴にはパイオニアのヘッドホン「SE-A1000」を組み合わせた。96kHz/24bitの高音質ソースも試聴を行った



一般的にUSBケーブルの場合、伝送の確実性がそもそも高いためか、ケーブルを変更しても、スピーカーケーブルの変更などと比べると大きな差は出にくいものだが、今回PureAVのケーブルの試聴でわかった“音質の違い”から、USBオーディオ環境でもケーブルの音質を聴き比べる楽しさが味わえることを、改めて実感できた。USBオーディオ環境において、コンポーネントやスピーカーケーブルで好みの音を追求して行った後に、"最後の一歩”となるような、繊細なニュアンスの変化を楽しむことができる。PureAVのUSBオーディオケーブルは、今後のデジタルオーディオの時代に音質を追求するユーザーにとって、重要なアイテムとなり得るであろう。

 


高橋 敦 筆者プロフィール
高橋 敦 Atsushi Takahashi

埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。 その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。