■新しい「なめらか高画質」でテレビコントラスト15,000対1を達成
液晶テレビ“AQUOS”を擁するシャープは、世界初のフルHD液晶テレビを発売するなど液晶テレビの雄として業界を牽引してきた。今回の超薄型Xシリーズの取材で「今年はもっと本質的な画質、コントラスト、映画の表現力に取り組みました」と宣言した同社の意気込みには驚いた。Xシリーズは、単に薄型化を果たしただけでなく、新たな画質向上技術が多数盛り込まれているのだ。
今回取り上げるXシリーズの高画質化のキメ手となった技術が「なめらか高画質」と名付けられた機能だ。
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| バックライト制御と液晶の開口量制御を行うことでテレビコントラスト15,000対1を実現 |
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超薄型モニターを実現するため様々な新技術を採用した |
液晶テレビのバックライトの光量を制御することによってテレビコントラストを稼ぐ製品は多いが、シャープは新たに液晶の開け閉めをコントラスト比の向上に利用する技術を開発。「液晶パネルの開口量とバックライト光量の二重のコントロールを行っている」(上杉氏)という。
光量の制御をできるようにすることで、コントラスト比を稼ぐことができれば、次はどうやって制御するかがポイントになる。「AQUOSではリアルタイムのヒストグラム解析により、画面に必要な明るさを求めて、液晶自体の開口量もコントロールして調整しています」(上杉氏)と、画面の平均輝度によって光量を変える製品に対するアドバンテージを強調する。
この技術はスペックに対する効果も大きい。Xシリーズの搭載するパネルのコントラストは2,000対1ながら、実際の映像は、例えばライブ映像のような極端に明暗のあるシーンでも最適な光量へと調整する。結果としてテレビコントラストが15,000対1と、従来のモデルを上回る性能に繋がった。
このようなアプローチで問題になることが多いのは、映像の動きに制御が追いつかず、不自然な映像になってしまうことだが、「バックライトの輝度はリニアに瞬時にコントロールできるようになっています」と追従速度に問題はないようだ。
今回デモとして確認した映像では、馬の毛並み、皮の質感、闇に煌めく金属の色合い、グリーンの芝目といった部分で、輪郭強調に頼らず、自然な精細感のある映像が確認できた。
もう一つの重要な技術が「12ビットBDE」で、リアル10ビット階調に加えて、シャープ独自の12ビットBDE処理を行うことでS/N比も向上させたとのことで、空など似たような階調の面積が多く、輝度の継ぎ目が見えてしまうような映像のグラデーション表現に効果を発揮する。
■映画向けモードでは光量制御を行わない
この「なめらか高画質」のある意味ユニークな点は、光量制御を行うのは「標準」モードだけで、映画向けのモードでは動かしていないということだろう。「映画館のもと通りの映像を表現できるよう、映画モードではオフの設定にしています。映画はフィルムグレインのノイズや肌の質感にも特にこだわり、滑らかで柔らかい映像に努めて破綻を避けました」(小池氏)とのことで、画質へのこだわりから当初は標準モードのみで新技術を用いる。もっとも、「なめらか高画質」を映画で使いたければ、標準モードで色温度を映画相当の65Kまで下げたら、あとはガンマカーブの設定に若干味付けをしている程度の差になるとのことなので、気になるようなら設定を変えて試してみても良い。
もちろん画質調整のノウハウ蓄積が進めば、いずれは映画モードでも今回の技術を活かせる日も来るだろう。
今回の「なめらか高画質」は新たな技術の可能性を示したものだ。「液晶テレビは、光量が一定のため黒が出にくいというマイナスイメージがあったのですが、制御系も組み合わせて更新することで画質を向上させることができました」(小池氏)とのコメントの通り、AQUOS Xシリーズは本格的な画質改善の新しい一歩を踏み出したモデルと言える。将来性に期待したい。
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