• ブランド
    特設サイト
公開日 2019/03/06 07:00

「Xperia 1」は“感動”スマホ。ソニーの総力結集、最上位モデル開発者インタビュー

<山本敦のAV進化論 第174回>
山本 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

「今回はデザインとの兼ね合いでスピーカーの配置に変えています。ベゼルの幅を狭くしながら、ドルビーアトモス再生を含む内蔵スピーカーによる良質なサウンドを担保できると判断して、今回のデザインを起用しています」(都築氏)

ボトム側のスピーカーは本体側面に配置。レイアウト変更後も音の合わせ込みは入念に行っているという

左右スピーカーのバランスが崩れないよう、Xperia 1は入念に音のチューニングを重ねてきたと松本氏が説明を付け加える。

「音声信号の処理技術が発達したとはいえ、やはり設計の面から左右の音のバランスを入念に調整していく手法が正攻法です。私たちとしてはまずドルビーアトモス再生がオフの状態でも、明瞭なステレオイメージと立体感が得られるようにチューニングを徹底しました。L/Rのバランスと立体感については、同じように片側のスピーカーを側面に向けている他社のスマホと比べものにならないほど高いレベルまで追い込んだ自負があります」(松本氏)

松本氏はさらに、Xperia 1ではドルビーアトモスによるサラウンド体験をスマホで最大化するため丁寧にチューニングを追い込んできたことを強調している。

「実際のドルビーアトモス体験は劇場向けの音場からホームシアター、そしてテレビスタンドの下に置くサウンドバーへと再生機器がダウンサイズするに従って、音の構成要素で捨てざるを得ない部分が出てきますが、その際に絶対捨ててはならない『シネマの音のエッセンス』を一本通す必要があります。そこでスマホの場合は何を重視すべきなのか、制作者の見解にも耳を傾けながら、私たち開発陣の経験を活かしたチューニングを徹底しました。Xperia 1の開発にあたっては、コンテンツを制作するサウンドエンジニア、ミキシングエンジニアとも念入りに議論を重ねてきました」(松本氏)

MWCのブースでは直前の週まで松本氏がロサンゼルスにあるSPEのスタジオでチューニングを追い込んだという、出来たてのリスニング用サンプルを並べてデモを行っていた。

Xperia 1の内蔵スピーカーによるドルビーアトモス再生は体験コーナーを設けていなかったが、今回特別にインタビューを実施した音響条件の良い部屋で、松本氏に持参いただいたXperia 1によるドルビーアトモスのスピーカー再生と、ソニーのハイレゾ対応ヘッドホン「MDR-1AM2」を組み合わせたヘッドホン再生の音を聴かせていただいた。

松本氏がMWCの直前まで米国のスタジオで音をチューニングしていたというXperia 1の評価機と、ソニーのハイレゾヘッドホンMDR-1AM2でドルビーアトモスのサウンドを体験した

視聴は映画『ジュマンジ』のアクションシーンを再生した。ヘリコプターから発射されるミサイルが縦横無尽に駆け抜ける移動感が実に冴えている。特に天井の方向に回り込む音の切れ味と、横方向への豊かな音の広がりはドルビーアトモスの醍醐味を生々しく伝えてくれる。ホームシアターで聴いているようなドルビーアトモス体験を、Xperia 1以上に鮮明に感じられたスマホは今までになかった。

Xperia 1のドルビーアトモス再生を静かな部屋で体験した筆者。これまでに体験したドルビーアトモス対応スマホとひと味違うサウンドに感銘を受けた

音のエッセンスがどれも力強くて濃厚だ。役者のセリフ(ダイアローグ)もクッキリとセンターに浮かび上がる。ボリュームを少し絞っても音の幹がしっかりとしているため、聴きやすさが損なわれない。ようやくスマホによるホンモノのドルビーアトモス対応に出会えた興奮を、筆者も抑えきれなかった。

内蔵スピーカーによるサウンドも体験。左右のバランスもよく、ステレオイメージがとても鮮明だった

海外ブランドのスマホに対して、ソニーのXperiaが最も大きな強みとして主張できることは「音と映像の両方に作り込みの知見が段違いに深いこと」であると松本氏が胸を張る。「スマホによる音楽再生でユーザーに感動を与えられるかどうかは、作り込みをどこまで丁寧にできたか次第だと考えます。私たちエンジニア自身も個人の経験値を持っていますが、Xperia 1には厚木のプロフェッショナル機器の開発者や、SPEのコンテンツクリエイターの知見がすべて注入されたことによって、他社には踏み込めない領域にまで到達できたと思います」。

イヤホン再生は「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」に対応する

なお、昨年発売されたXperia XZ2シリーズ、Xperia XZ3に続いて、Xperia 1も3.5mmのアナログイヤホン端子が搭載されていない。イヤホン出力はUSB Type-Cになる。商品パッケージに付属するアダプターを利用した場合は信号のDA変換処理をXperia本体で行うが、外部DACを接続すれば端末の側でDA変換を行わずにデジタル信号出力になる仕様だ。

Xperia 1にクアルコムの最新モバイル向けSoCである「Snapdragon 855 Mobile Platform」が搭載されると知って、筆者がぜひ松本氏に確認したいことがあった。このSoCはクアルコムの新しいワイヤレスオーディオのための技術である「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」を標準仕様として組み込んでいる(関連記事)。Xperia 1はこの機能をアクティブにした形で発売されるのだろうか。

次ページカメラ性能はハイアマチュア向けの領域に

前へ 1 2 3 4 5 6 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 今年のFIIOはヘッドホンが熱い!「FT3/FT3 32ohm/FT5」レビュー&開発スタッフ直撃インタビュー
2 買取専門店だからこそできる「正しいヴィンテージオーディオの橋渡し」。オーディオランドに話を聞いた
3 どれが好み? 一番人気のミニコンポ「M-CR612」を“売れ筋スピーカー”3機種と相性テスト!
4 サントラ集「ゴジラ大全集」が30年ぶり復活、全22タイトルのリマスター版を順次再販
5 ティアック、「REFERENCE 500」シリーズ新製品を「春のヘッドフォン祭 2024」で世界初披露
6 AKGブランドが再始動。「春のヘッドフォン祭 2024」で新製品発表会を実施
7 【ミニレビュー】MUTECHのRCA保護キャップが新型に。「MUK-RC」
8 米ソニー、ブランド史上最高輝度のMiniLED「BRAVIA 9」や有機ELなど24年新テレビ4シリーズ
9 フォステクス、伝統的デザインにこだわりのフルレンジ・ユニットを搭載したスピーカー「GS103A」
10 Eversolo、「ES9038 Pro」搭載のDAC/ヘッドホンアンプ「DAC-Z8」。税込12.1万円
4/24 11:00 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー192号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.192
オーディオアクセサリー大全2024~2025
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2024~2025
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.21 2023 WINTER
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.21
プレミアムヘッドホンガイド Vol.31 2024 SPRING
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.31(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2023受賞製品お買い物ガイド(2023年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2023年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX