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【特別企画】オーディオルーム防音のポイントを実地で体感

『オーディオと防音』を深堀りでレクチャー&体感 − 「第19回 Acoustic Audio Forum」開催レポート

2015/06/19 ファイル・ウェブ編集部
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イベントではまず、マンフレート・ホーネック指揮/ピッツバーグ交響楽団による「ブルックナー 交響曲第4番第1楽章」のDSD音源を再生。この曲はピアニシモからフォルテシモまでの音量差が激しい楽曲なのだが、これをピーク時で102dB程度になる音量で再生。続いて初回より10dB下げての再生を行い、聴こえ方の違いを体験するところからスタート。マイケル・ジャクソン「BAD」(44.1kHz/24bot FLAC)も音量を変えながら再生し、参加者それぞれがふだんどれくらいの音量でオーディオを楽しんでいるのかを確認した。

異なる音量で複数回再生し、どれくらいが好みなのかをチェック

ブルックナー 交響曲第4番でのデモについて鈴木氏は「1回目の音量だと、周囲への音漏れを気にする環境の人はピーク時が厳しいかもしれない。一方、2回目の音量では小さな音が確認しづらくなる」とコメント。「我々はオーディオの最大音圧レベルは90dBくらいだろうという前提で設計する」と説明する。

デシベル数の実測データも紹介

加えて、11.2MHzのDSD音源「ハイパーソニック・オルゴール トロイメライ」も試聴。そのほか1ビットコンソーシアムがテスト音源として録音したバイオリン独奏作品も再生し、まだ市場に少ない11.2MHz DSD音源でのデモも行った。

また、バンドの生演奏だと約120dB、オーケストラの演奏ではフォルテシモで110dB程度など、生演奏での音量がどれくらいのデシベル数になるかというデータも紹介。「先ほどのデモで大きいなと感じた音(102dB)でも実際のコンサートホールの音圧よりも10dBくらい低い」とする。

そして、一般的なマンションでは生活音が気にならない程度の「D-45〜50」という等級で隣世帯との防音が図られていることなどを紹介。オーディオでは80dB〜90dB程度の音量を出す場合もあるため、この程度の防音では音が漏れてしまい、「どうしても音量を絞ることになり、不満を感じる人もいるだろう」と解説する。こうしたケースに対し、同社では「深夜に大きな音を出してもほぼ大丈夫」だという「d-65」等級での防音工事を行うと言葉を続けた。

■遮音に関する基礎知識もレクチャー

また、壁材を変えると遮音性能はどう変化するのかなどといった、遮音に関する基礎知識もレクチャー。重くて厚い壁を単純につくるよりも二重壁にするべきであることなどを、細かな数値を提示しながら解説する。

厚い単層壁よりも二重壁のほうが遮音効果が高くなる

例えば50dBの遮音性能を持つ壁があった場合に、その壁の厚さを2倍にしたら遮音性能も2倍になるわけではなく、およそ6dBほどの遮音性向上しか望めない。単純に壁を厚くする方法はコストがかかる割に遮音性能はそれほど向上しないのだ。このような場合、同じ厚さの壁を2枚用意し、それぞれの間を開ける二重構造にすることで遮音性能は大きく向上するといったように、具体的なケースを挙げながら、参加者にも実感しやすいよう配慮した説明がなされた。

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