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ビクタースタジオ・エンジニア名鑑:袴田 剛史 氏

2015/01/27
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袴田 剛史 氏
ビクタースタジオFLAIR所属マスタリングエンジニア

レコーディングエンジニアからキャリアをスタートし、レコーディングでは数多くのスタジオワークを経験。併せて外部での武者修行を含む、楽器の鳴りから音響空間の響きまで知り尽くすホール録音を体得。更には編集室の“虎の穴”に籠り、誰をも凌駕するエディティングワークを習得。これら総てにおいて「現役」として、レコーディング〜エディット〜マスタリングのどの部分にでも人一倍高いスキルでワンランク上の音楽づくりをサポートする。

複雑化するシステムと多様化し続ける機材への驚くべき対応力・順応性を持ちながらも、原音再生の「アナログっぽさ」をも、自らのものとする超本格派。

人当たりの柔らかさとは裏腹に、数えきれないシチュエーションであらゆる生音を経験し知り尽くした肌と耳は一級品。そして音には驚くほど頑なで頑固。

2007年よりスタートの「K2HDマスタリング」主宰。これまでに手掛けた1,000タイトルを超えるK2HDシリーズで絶賛を受け、そのサウンドメイクのスタイルを不動のものにした。そのピュアな耳への評価は高く、国内だけに留まらず海外からのオーダーも数多い実績を持つ。アジアの高音質CD界では教祖的存在。

FLAIR唯一のDAW “SADiE” の使い手でもある。マスタリングルームに収めきれない幅広いスキルが、進化し続ける新たな音楽づくりには欠かせない。「VICTOR STUDIO HD-Sound.」の殆どの作品を手掛ける、ビクタースタジオの“ハイレゾマスター”だ。


<袴田氏からのコメント>


担当作品「COVER 70's / 柴田 淳」
COVER 70's / 柴田 淳
WAV/FLAC 96kHz/24bit ¥3,240(アルバム)
http://hd-music.info/album.cgi/513

この作品を最初に聴いた時、“懐かしく心あたたまる古さ" が今風の音色の味付けでとてもうまく演出されていると感じました。

もともとCDスペック(44.1kHz/16bit)の中で完成した作品を、単純にスペック的に面積が大きくキメも細かなハイレゾに乗せてしまうと、音楽の旨味成分が減ったり、音楽の聴きどころが散漫で楽しくないものになってしまうことがあります。ですから本作品についても、自然に演出されたオーガニックで素朴な雰囲気は、歌同様にとても大切で大事にしたポイントです。楽曲の魅力を更にお伝えできるならばと、時間をかけて丁寧に再構築しました。なので実際の音づくりに関しての印象は、イコライジングという周波数調整の機械的な作業ではなく、「楽曲の音の密度感をハイレゾの器の中で調整し直した」というイメージです。

CDマスターの完成度が高いだけに仕上げの難しさはありましたが、K2HDプロセッシングの効能によって、細かな音まで的確にブラッシュアップする事ができたのではと思っています。柴田 淳さんの繊細な歌声がさらに表情豊かに聴こえ、音質、音場・空気感は勿論、何よりも一層音楽的な仕上がりに感じていただければ幸いです。私自身も、ハイレゾの本当の意味での魅力を知ることができた作品です。





担当作品「イン・リオ/ リー・リトナー」
イン・リオ / リー・リトナー
WAV/FLAC 96kHz/24bit ¥3,240(アルバム)/¥540(単曲)
http://hd-music.info/album.cgi/460
「イン・リオ/ リー・リトナー」はアナログテープからハイレゾマスターを作成しています。テープの状態が非常に良かったので、音づくりもそうですが、まずは録音されているマスターの魅力を最大限に引き出すように心掛けました。アナログレコードやCDで既にリリースされていますので、その時のイメージそのままに、更に広がりや奥行を感じて頂けるように努めました。

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