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音源のクラウド化で広がる可能性

タブレットデバイス/スマートフォンでのハイレゾ再生を考える

公開日 2013/05/24 15:37 季刊Net Audio編集部
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いま、音楽の聴き方が大きく変わってきている。

iPodの登場を契機として、手の中に膨大な楽曲を管理して持ち歩くことが可能となり、それに伴いヘッドフォンの需要も大きな伸びをみせた。

また、音源を収録するメディアがデータとなったことで、ユーザーは必然的にパソコンの中にデータを管理することになる。それにより、音楽をパソコンから再生するということが一般的となり、同時にCDを超えたスペックであるスタジオクオリティのいわゆる“ハイレゾ音源”をユーザーは手にできる新しい可能性を、いま音楽再生は手に入れているのである。

このハイレゾ音源に関しては、いまやiPhone/iPadなどのiOSデバイスで管理することも可能となっているが、そこで問題となるのが“容量”だ。

iPhoneでは現在64GB、iPadでは128GBが最大容量となっているが、ハイレゾ音源の容量はビットレートにもよるが、一曲で1GB近いものもある。つまり、何千枚も収録できる圧縮音源にくらべ、収録できる楽曲は安易に想像できる程度のものでしかない。

すでに、FLAC Playerなどを使用してハイレゾ音源再生を行っている皆様にとっては、収録楽曲数を決定する“容量”の問題は、大きな悩みになっているかもしれない。

スマートフォンやタブレットデバイスは当然音楽以外のデータでも容量を使用することになる。デバイスの容量の全てを音楽データのために使用することは事実上不可能だ

しかし、昨今では、その悩みを解決できるアプリも登場しており、iOSデバイスはハイレゾ再生への新たな可能性を手に入れている。例えば今回ご紹介する「Yardbirdsハイレゾ・プレイヤー」というアプリはそうした『新しい形態のハイレゾ再生アプリ』のひとつだ。

WebDAVサーバーからのハイレゾ音源の再生に対応した「Yardbirdsハイレゾ・プレイヤー」(¥350、App Storeより購入可)

「Yardbirdsハイレゾ・プレイヤー」の再生中の画面。アナログ的なVUメーターなどの採用からも、音質を重視した開発姿勢をうかがうことができる。対応するファイルはMP3、AAC、AAC+で、オプションとしてWAV、ALAC、AIFFをサポートする

このアプリはインターネットラジオを高音質で楽しむというコンセプトで開発された「Yardbirdsラジオ」というアプリからスタートしている。つまり早くから『容量の制約を受けないクラウドサービスの高音質化』に対して取り組んでいたアプリだ。
最新バージョンとなる「Yardbirdsハイレゾ・プレイヤー」では、この機能に加えWebDAVサーバー(インターネット経由で使用するストレージのこと)を活用したストリーミング再生を可能としている。もちろん、音楽プレーヤーソフトの必須機能であるプレイリスト機能も備えており、プレイリストは任意のWebDAVサーバーにある任意のフォルダ配下の楽曲で構成できる。

WebDAVサーバーを使用するためには、この機能に対応したNASなどが必要となる。設定次第ではWindows7などをインストールしたWindowsパソコンなどでもこのWebDAVサーバーとして活用することが可能だ。

WebDAVサーバーを活用する際、最も手軽なのは対応したNASを使用すること(写真はIO DATA社のRockDisk)。しかし、NASの内部で稼働するWebDAVサーバーによっては、アートワークなどが表示されない場合もあるとのこと(RockDisk は対応済み)

このWebDAVサーバーに所有しているハイレゾ音源をアルバムフォルダ単位でコピーして、あとは、アプリからこのWebDAVサーバーアクセスすれば、自宅サーバーにアップしたハイレゾ音源を楽しむことができるようになるのである。

つまり、iOSデバイスそのものにはハイレゾ音源を入れ込む必要はないということだ。

「Yardbirdsハイレゾ・プレイヤー」のWebDAVサーバーのアカウント設定画面。アプリ上での表示名、WebDAVサーバーのURL、ID、パスワードを入力して設定する

接続に成功するとアプリ上から自宅サーバーに収められたフォルダを確認することができる

もちろん、3G回線やLTE回線、Wi-Fiを使用してのストリーミングとなるので、バッファの速度などはデバイスと通信環境に依存することになるが、いずれにしても容量の制約から開放されてハイレゾ音源をiOSデバイス上で管理できるようになるというのは大きな魅力だ。

音楽ファイルと同一のフォルダに「album.jpg」といった名前で保存させればアルバムアートの表示に対応する。また楽曲毎のアートワークや歌詞の表示にも対応する。

このWebDAVサーバーと対応アプリを活用したハイレゾ再生においては、iPadからカメラコネクションキットを経由してUSB DACへ接続した再生法も従来と同じように可能。つまり、決定的に異なるのは「楽曲を保存している場所」のみだ。

なお、「Yardbirdsハイレゾ・プレイヤー」からハイレゾ音源をiPhoneやiPad単体で再生した際は、デバイスそのものの限界値となる48kHz/24bitへダウンコンバートしての再生となる。その一方で、iPad/カメラコネクションキット/USB DACを使用した場合の再生では、iPadがそのままハイレゾ音源対応のネットワークプレーヤーのような動作を行うことが可能となり、192kHz/24bit、96kHz/24bit などでの再生を実現することができる(USB DACの消費電力によっては、セルフパワーのUSBハブが必要)。

動作のイメージ。シンプルにいえば、iPadがそのままネットワークプレーヤーのような動作を行うことになる。カメラコネクションキットと USB Audio Class 2.0対応の USB DAC を活用すれば、ハイレゾ音源もそのまま楽しむことが可能だ

iTunes storeを始めた音楽配信サイトはクラウドへの以降を進めつつあるが、ハイレゾ音源にはまだその動きは見られない。こうした観点からみても「Yardbirdsハイレゾ・プレイヤー」のようなWebDAVサーバーを活用したアプリは、これからの音楽再生スタイルにとって大きな意味を持つなのではないだろうか。

デバイスそのものの容量を気にせず、ハイレゾ音源をいつでもどこでも楽しめる時代がいま到来しているといっても過言ではないのかもしれない。

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