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立体感や質感を描き出す真面目な画作りが光る

まず、DVDの映像を見ることにしよう。初代機TH-AE100の映像はさまざまな機会に確認しているが、その特徴をひとことで言えば、力強く明快な映像ということになるだろう。本機は、その良さを受け継ぎながらも、階調のなめらかさと、演出を感じさせない素直な色再現という、新しい特徴を身に付けることになった。

本機の画質調整画面。映像モードの切替はもちろん、多彩な調整項目を備える(写真はクリックで拡大)

階調のなめらかさを手っ取り早く確認するには、人物の顔を見ればいい。どんな光のもとでも、人物の立体感は、肌色の微妙な階調の差によって生み出される。鼻筋などハイライトから頬にかけて、あるいは口元から喉にかけて、微妙な色調の差を描き分けることで、初めて立体的な描写が可能になる。階調の描き分けが不足すると、ベタッとした平坦な映像になってしまい、表情の微妙な変化を読み取るのも難しくなる。本機は、完璧とは言わないまでも、微妙な階調の差によって立体感、質感を再現する力を期待以上にそなえていると感じた。

 

コンサートのライブなど、ビデオ素材の映像にも強い。動画の解像感についてはDVDプレーヤーのIP変換性能に左右されるわけだが、良質の入力ソースを用意したときに見せる本機の映像は、フィルム素材同様、前作に比べていっそう素直になっている。動きの少ないシーンの場合は、ディテールを積極的に描き出す力があり、この点でも感心した。

なめらかな階調や素直な色再現は、映画を映画らしく再現するためには欠かせない特性だが、これまで、50万円前後の高級機ならともかく、20万円前後の入門機に求めるのは酷な部分があった。しかし、ホームユースのプロジェクター市場が成熟するにつれ、エントリーモデルに対しても画質に対する要求は次第に高まっている。それに応えようとする真面目な画作りの姿勢が、本機には感じられる。

BSデジタル放送のハイビジョン映像は、明るさとコントラストのバランスが巧みなためか、ハイビジョンらしい抜けの良さ、透明感の高い見通しの良さが感じられる。ディテールを漏らさず描き分ける精細感については、上位モデルのTH-AE300に一歩譲るのだが、ハイビジョン映像特有の雰囲気は、本機もしっかり伝えてくれる。


【パナソニックホームページ】
http://www.panasonic.co.jp

【パナソニック 液晶プロジェクター紹介サイト】
http://www.panasonic.co.jp/products/tv/products/projector/

【「TH-AE200」「TH-AE300」プレスリリース】
http://www.matsushita.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn020910-1/jn020910-1.html