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音楽は便利である前に、美しく鳴らなければ! そんな当たり前の、そして大切な要望に応えるMP3エンコードソフトがTDKより生まれました。 Phile-webでは4週間にわたって『MP3 Audio Magic』の「いい音」の仕組みを探るとともに、 小さなパソコンの世界を飛び出していくMP3サウンドの可能性について、わかりやすくレポートします。

(執筆:山之内 正/Phile-web STAFF )

TDK MP3 Audio Magicのメイン画面

Part 1
MP3の音はこんなに良くなる! -Supreme/D.R.I.V.E.のマジック

どうしてMP3の音に不満を抱く人が多いのだろう?

「MP3の音ってこんなもの?」

いつもCDやMDを聴いている音楽ファンがパソコンでMP3の音を聴いたとき、最初に感じる疑問がこれだ。ボーカルがいまいち伸びないし、ドラムスやベースが刻むリズムもやや甘く感じる。聴く気にならないというほどではないが、もう少しいい音で鳴って欲しい。パソコンに原因があるのかと疑ってみるが、CDの音にはそれほど不満を感じないから、やはりMP3に原因がありそうだ。

MP3の音がいまひとつと感じるのは、圧縮の仕組みと関係がある。音楽信号は低い音から高い音まで幅広く分布しているが、MP3など圧縮オーディオの多くは、人間の耳の感度が低い超低域や超高域の音をバッサリと切ってしまうのだ。特に超高域をカットすると、ボーカルやアコースティック楽器の音は確実に影響を受ける。

高域成分をカットすれば、圧縮後の音楽ファイルを小さくできる。これが高域をカットする大きな理由だが、圧縮時の計算量が少なくて済むという理由もある。CDからMP3に変換(エンコード)するときのスピードが速ければたしかに便利だが、高速なソフトほど、実は複雑な計算を省略している可能性が高い。その結果、音質が劣化するというわけだ。

MP3エンコーダーによる差はあるが、ほぼ16kHz前後より高い音が、圧縮によって失われてしまう。人間の耳が聞き取れる限界は少なくとも20kHz程度とされている。CDやMDはこの上限までカバーしているが、地上波のテレビ放送やFM放送、そして圧縮オーディオの多くは、そこまで高域が伸びていない。MP3の音を良くするためには、この失われた高域をなんとかしなければならないのだ。


どうしたらMP3の音はもっと良くなるのだろう?

MP3 Audio Magicは、MP3の音質改善に本格的に取り組んだ圧縮・再生ソフトだ。音を良くするには失われた高域を取り戻さなければならないが、それを実現するために、ケンウッドが開発した「Supreme/D.R.I.V.E.」という技術を採用している。この技術は、MP3 Audio Magicによって、具体的な製品として世界で初めてお目見えすることになった。

Supreme/D.R.I.V.E.の原理は、音楽ファンにはとてもわかりやすいものだ。まず、音楽信号をいくつかの帯域に分け、各帯域の周波数分布をモニターする。その結果を元に基本波の倍音に相当する高域成分(高調波)をリアルタイムで演算し、圧縮された音楽信号に付加する。ランダムな周波数分布の超高域を加えるのではなく、本来鳴っていたはずの、音楽と相関のある超高域成分を作り出すところが、この技術の最大のポイントだ。

Supreme/D.R.I.V.E.をONにした状態
超高音域がしっかり補われている。
Supreme/D.R.I.V.E.なしの状態
超高音域がばっさり切られてしまっている。

この技術の概要について最初に説明を受けたとき、いくつか疑問を抱いた。トランペットや木管楽器など単音の楽器ならともかく、同時にたくさんの音が重なるピアノやオーケストラでもきちんと高域成分を復元できるのだろうか?エフェクトを多用したポップス系の音楽にも効果はあるのだろうか?

その答えを見出すには、実際にMP3 Audio MagicでCDをMP3に変換し、確認するのが早道だ。早速試してみることにしよう。


Supreme/D.R.I.V.E.は「オプション」メニューでオフにすることも可能。ぜひ聴き比べてみよう。

聴いてわかった、音の違い

ここで山之内氏とPhile-webスタッフは、Supreme/D.R.I.V.E.の威力を知るために、「ON」と「OFF」の状態を聴き比べることにした。以下は、あらかじめCDからMP3に変換しておいた音楽ファイルの試聴レポート。Supreme/D.R.I.V.E.の効果は山之内氏の確かな耳にどのように届くのか? また、シロウト耳代表として、Phile-web駆け出しスタッフも試聴してみた。

試聴ディスク

How You Like Me Now? / m-flo(エイベックス RZCDー45015)

TDK DIGITAL AUDIOキャンペーンソング。ただいま各メディアでヘビーローテーション中!緻密なバックトラックと素直な女性ボーカルの伸びが聴きどころ。作りこまれたサウンドにSupreme/D.R.I.V.E.は効果をあらわすのか?

山之内 「Supreme/D.R.I.V.E.をオンにすると、パーカッションの切れが良くなって、リズムが立ってくるね。立ち上がりのアタックがしっかり感じられるけど、これはいままでMP3では出なかった音だよ。ボーカルがよく伸びるし、不思議なことにベースも締まって聞こえる。エコーの広がりもオンの方がいいね。m-floは音にもの凄くこだわって曲を作っているけど、そのこだわりがよくわかる。オフでも音のクオリティが高いのはエンコーダーに秘密がありそうだけど、Supreme/D.R.I.V.E.をオンにすると、CDの音にかなり近付くね」
Phile-web 「OFFの状態も決して悪い音とは思えないんだけど、ONの状態と比べてしまうとストリングスとか音がちょっとカスカスして細いような。高音がきれいになるとバランスが良くなって、低音にも勢いが出たような感じがする。いかにも音を補足した、っていう不自然さはまったくないですね。」

Part2では、MP3 Audio Magicを使って実際にCDをMP3ファイルにしてみます。既存の音楽ファイルもいい音で再生できる!? 掲載は10月2日(月)から。お楽しみに!

 

筆者近影:山之内 正(やまのうち ただし)

オーディオ評論家。オーディオ雑誌の編集に携わった後フリーに。 音元出版「季刊オーディオアクセサリー」「AVレビュー」等の執筆でもおなじみ。著書に「インターネットで変わる音楽産業」(アスキー)がある。デジタルオーディオへの造詣が深い一方で、趣味はコントラバス演奏とオペラ鑑賞。 無類の猫好きでもある。