英国を代表するハイエンドオーディオ・ブランドの一つであるモニター・オーディオ各シリーズを展望する。第2回目はモニター・オーディオの中核とも言える「Reference Silver」シリーズの魅力に迫る。音元出版「AV REVIEW」誌試聴室のレファレンスとして縦横無尽に活躍するシリーズのサウンドをあらためて検証した。


Reference Silver Seriesの概要

モニター・オーディオの名が我が国で広く知られるようになったのはシルバースタジオ・シリーズからだったと思うが、それに全面的なリファインを施したのがこのシリーズ。RSはレファレンス・シルバーの意味である。振動板の素材こそ変わっていないが、その他は全て変更されて1クラス上にグレードアップした。

ドライバーはサブウーファーまで含めて全て独自のC-CAM(セラミック・コーティング・アルミニューム・マグネシウム)に統一された。ウーファー、コーンの形状も変更され、フレームも剛性を強化している。キャビネットは全面リアルウッド仕上げとなり、フロア型には新たにスパイクが設けられている。ネットワークもさらに精度向上を求めて改良された。再現性の確実な改善が実現された、いま最もホットなスピーカーである。

[Silver RS8/¥262,500(ペア・税込)] 
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●ユニット:150mmウーファー×2、150mmミッドレンジ×1、25mmトゥイーター×1 ●周波数特性:33Hz〜25kHz ●外形寸法・質量:185W×900H×270Dmm・21.0kg
[Silver RS6/¥189,000(ペア・税込)] 
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●ユニット:150mmウーファー×1、150mmミッドレンジ×1、25mmトゥイーター×1 ●周波数特性:38Hz〜25kHz ●外形寸法・質量:185×850H×250Dmm・18.0kg
[Silver RS1/¥102,900(ペア・税込)] 
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●ユニット:150mmウーファー×1、25mmトゥイーター×1 ●周波数特性:43Hz〜25kHz ●外形寸法・質量:185W×312H×240Dmm・6.0kg
[Silver RS LCR/¥\81,900(1本・税込)] 
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●ユニット:150mmウーファー×2、25mmトゥイーター×1 ●周波数特性:45Hz〜25 kHz ●外形寸法・質量:500W×185H×200Dmm・8.5kg
[Silver RS FX/¥126,000(ペア・税込)] 
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●ユニット:150mmウーファー×1、25mmトゥイーター×2 ●周波数特性:60Hz〜25kHz ●外形寸法・質量:285W×290H×130Dmm・4.0kg
[RSW12/¥189,000(1本・税込)] 
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●ユニット:300mmウーファー×1 ●周波数特性:19〜120 Hz ●外形寸法・質量:340W×340H×370Dmm・25.3kg
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特筆すべき特徴を見せる低域の分解能とスピード

RSシリーズはフロア型が2機種、ブックシェルフとセンターが1機種で、ほかにサブウーファーとリア用のダイポール型が用意されている。ここではフロア型とブックシェルフでそれぞれ2チャンネルを、シリーズ総動員で5.1チャンネルを聴いてみる。

RS8を聴くとこのシリーズの全容がよくわかるはずだ。従来のシルバースタジオよりも一回り以上再現の幅が広がっている。特に感じるのは低域の分解能とスピードである。これまでもスピードの速さでは1、2を争うほどだったが、本機ではそれに肉付きの豊かさが加わっている。だから音調が厚い。厚いがぼってり膨らむことはなく、どこまでもシャープで透明度が高い。弾力を備えた筋肉質というところだろうか。

各シリーズに共通して採用されるC-CAMトゥイーター(写真はSilver RS6)

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ウッドベースの解像度を聴いてみるといい。深く沈んでピチカートのタッチが明瞭に伝わり、音色が澄んで弾みがいい。目をつぶって聴かせたら、メタルだと言い当てる人はごくわずかであるに違いない。豊かで透明。それがこのスピーカーの音調を貫いているようだ。だからピアノにしても声楽にしても、およそ棘というものを感じない。もしどうしてもメタル臭いという人がいるなら、イメージから来る思い込みとしかいえない。

ボーイソプラノのハーモニーがなんと精妙に響くことか。羽毛のような手触りを持ち、空気のように空間にしみこむ。あるいはバロックの瀟洒で典雅な質感が、上質な美酒のような輝きを持つのが見えないだろうか。いずれも精密なレスポンスとぴったり揃った位相から得られる特質なのである。

ブックシェルフのRS1にそこまで求めるのは無理…だろうか。いや、小さめの空間ならかえって低域が飽和することもなく、いっそう自然なバランスを得ることができるのである。もちろん下腹に響くような低音ではない。しかしそんなものがどこに必要なのか。だぶついた低音は過去の遺物である。RS1にはウッドベースを正確な音程で鳴らし、オーケストラを緻密な色彩感で再現する力がある。空間相応の豊かさを、この小型スピーカーも持ち合わせている。

 

正確な再現性を求めるならばシルバースタジオが最適だ

5.1チャンネルはRS8をフロントに置く。これをRS6に置き換えることも可能である。またリアはRS1だが、ダイポールのRS FXとしてもいい。その方がホームシアターらしい構成であるともいえる。

映画に正確な再現性を求めるなら、こういったシステムを選ぶしかない。もちろん作品に対する思い入れは人それぞれだろうが、正しい音で映画を見たいならば、いまのところシルバースタジオが最適である。


背面端子部。バイワイヤリングに対応している(写真はSilver RS6)

Silver RS FXの背面端子部。こちらはシングルタイプ。SWにてDi-BipoleとBi-poleを切り替える
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『HERO』の戦場場面を観てみるといい。兵士のざくざくという足音、武器を組み立てるがちゃがちゃという音、強弓が飛んでゆく鋭い音。いずれも精密そのものだ。『マスター・アンド・コマンダー』の自然な遠近感と船内の混乱した雑踏が、これほどその場にいるような感触で聴こえることがあるだろうか。筆者は5.1チャンネルでのレファレンスにこのシステムを使用している。

※5.1chの視聴ソフト「dts SURROUND・9−DEMONSTRATION DVD」

 
 
取材・文/井上千岳(Chitake Inoue)

PROFILE:慶應大学法学部・大学院修了。神奈川県葉山町に構える自宅視聴室でのシビアな評論活動を展開、ハイエンドオーディオはもちろん高級オーディオケーブルなどの評価も定評がある。海外のオーディオショウ・イベントへも毎年精力的に足を運びながら、海外ブランドのキーパーソンへのインタビューも数多くこなす国際派。ワールドワイドなハイエンドオーディオ事情にも精通する。

Monitor Audio製品に関する問い合わせ:
 (株)ハイ・ファイ・ジャパン http://www.hifijapan.co.jp/
 Mail/mail@hifijapan.co.jp
 TEL/03-3288-5231 FAX/03-3288-5233

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