地上デジタル放送は、日常的なテレビ番組をハイビジョン化してしまった。もうすぐ始まるドイツワールドカップサッカーもビデオ録画への関心を高めることであろう。そうなると、例えダウンコンバートされた映像であっても「高画質でDVD保存したい」といった目的意識が芽生えてくるはずだ。

汎用性の高いビデオ保存用メディアであるDVD-Rは、デジタル放送に対応させた製品(CPRM)が増えてきたが、録画時間という点では弱い。そういう点で片面2層DVD-Rに期待したくなる。デジタル放送はオリジナルがハイビジョンでもあり、DVD録画もできるだけ高画質で残したいという要望に応えられるわけだ。一方で、デジタル放送を片面2層DVD-Rに録画できるDVDレコーダーも増えてきた。この流れは今後も続くことであろう。
何度も言うが、片面2層DVD-Rのメリットは、画質優先でソースを高画質のまま保存できることである。例えば約2時間の映画では、不要な部分を数分削除するだけで、最高画質のXPモードを使って1枚のディスクに録画できる(DMR-EX550は105分、DVR-DT90は111分)。

またサッカーの試合などは、90分+ロスタイムで終わると仮定すると、これも余裕でXPモードによる録画が可能だ。動きが速いサッカーのコンテンツは、高画質モードを使わないとボケが生じて背中にある選手名を読むことができないし、ボールも滲んで見えてしまう。連続ドラマもハイビジョンで放送されることが多くなったが、XPモードで録画しておけばきれいで美しい色と質感でライブラリー化できる。

もちろん可能な限り省スペース化を追求する方法もある。例えば、パイオニアのDVR-DT90を例にとると、マニュアルモードの「MN5」(ハーフD1=352×240画素)を利用すれば、60分の連ドラ「1クール」(11回分)を不要な部分を数分削除するだけで、1枚のディスクに保存が可能だ。1枚にするメリットは連続して視聴できる点と検索性が高くなる点だ。

このようにDVDの録画時間に余裕があると、高画質化を図ることができるし、長時間録画にも対応できる。番組録画・保存を気兼ねなくしようという動きにも発展し、よりいっそうDVD録画そのものを楽しみたくなるはずだ。また、最近はテレビとDVDレコーダーをHDMI接続することで、DVD録画したディスクをアップスケーリングする方法が浸透し、高画質視聴ができるからうれしい。ハイビジョンソースを一旦DVD化しても、“ニアハイビジョン”出力が可能で、高画質なハイビジョンエッセンスを感じながら視聴できるのだ。

このようにHD DVDやBDレコーダーの発売を待たなくても、片面2層DVD-Rを使用する事で、既にかなりの高画質・長時間保存に対応している、と言っても構わないであろう。後は、既存のDVDプレーヤーが片面2層DVD-Rの再生に対応していないものもまだあるので、今後の発展に期待するとしよう。

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■三菱化学メディア「VHR21YD1」の製品情報
1948年、愛知県生まれ。オーディオ専門誌「ラジオ技術」誌の編集を経て、1978年よりフリーでA&V評論やコンサルティング活動を始める。1991年にAV&Cの普及を目指したAVC社を設立。1998年よりプロジェクター専門誌「PROJECTORS」誌を編集、発行。日本画質学会副会長も務める。