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さらに進化したビデオプロセッサー「AVM Plus」を知る 執筆:村瀬孝矢
プロフィール

入力から出力までを1チップでフルデジタル処理

「AVM Plus」のロゴ(上)と、「AVM Plus」が乗った基盤(下)。(下の写真はクリックで拡大)

P42HHS10は、プラズマテレビにおける新しい画質領域に踏み込んだ。そのバックボーンであり、画作りの中枢を担うのが、富士通ゼネラルが独自に開発した「AVM」である。AVMとは、プラズマテレビに特化した映像信号処理回路である。入力から出力までを1チップでフルデジタル処理する最新鋭LSIの称号だ。

最近、各社がフルデジタル処理を前面に押し出したが、同社は1年ほど前にこれを達成した。しかも、いくつかのICを組み合わせるのではなく、1チップなのだ。世界初のプラズマディスプレイを発売した同社の技術蓄積が、AVMを実現したのである。その際、「いずれ他社もここに来るはず」と同社は読んでいたのだろう。そのため、今回、他社をリードすることを目論み、AVMをリニューアルして「AVM Plus」へと進化させた。

数種のプラズマパネルに対応させるべく開発されたという経緯もあり、元々AVMは、どのプラズマパネルが来てもそれに最適な画作りを行うという特長を持っていた。今回のAVM Plusでは、画質のさらなるグレードアップと入力系のデジタル化を推進した。高精度PLLからフレーム/ラインメモリーなどまでを内蔵、画作りのための各カラー処理、ガンマ処理回路をも包括している。グレードアップもプログラムのバージョンアップで対処可能と柔軟性もある。

意図的な演出を抑えた上質な画を実現

画作りは、映像信号を精密に判別したガンマ特性の作り込みと、カラースペース変換で行うのだが、両者が連係プレーをすることにより、色純度と階調性をさらに高めている。画面の平均輝度(APL)を常に検知しながら、RGBのレベルとそのミックス量をコントロールし、さらにガンマカーブに選択性を持たせることによって適切な発色を得ている。そして、併設するビデオデコーダーの見直しも行い、それにより、原画を忠実に再現しつつ、意図的な強調・演出を抑え、上質な画を獲得している。

今後もプラズマテレビは発展していくだろうが、その時、画作りの中核をAVMが引き続き担っていくことはまず間違いないだろう。