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DVDオーディオプレーヤー、この夏ついに登場!  
DVDオーディオ/ビデオプレーヤー デンオン DVD-3300-N

麻野 勉のインプレッションレポート


◎これこそ、超高音質サウンド!・・・・DVDオーディオとは?

 従来のCDが再生周波数20kHz、ダイナミックレンジ96dBに対し、DVDオーディオの最大96kHz/最大144dBというまさに超高音質サウンドは、MDやシリコンオーディオなど、コンパクトさや機能ばかりがもてはやされる今、音質を純粋に追求するオーディオファイルにとって久々の福音ではないかと思う。格段に拡がった再生帯域とダイナミックレンジに対応したスピーカーやアンプの発表が相次いでいる中、ソフトの発売が未確定ということもあって、DVDオーディオ対応のプレーヤーの発売はまだ少ない。いち早くDVDオーディオへの取り組みを進めてきた日本コロムビア(DENON)がいよいよプレーヤーを発売することへの期待は大きい。

DENONブランドとしてCDプレーヤーに於いては、普及機から超高級機まで圧倒的な支持を得ているが、特にSシリーズはその高音質技術が高く評価されている。その設計思想を取り入れたDVDオーディオ/ビデオプレーヤーがDVD-3300-Nだ。  DVDオーディオ/ビデオプレーヤーといっても、CDやビデオCDも再生できるのでいわゆるユニバーサルプレーヤーとしての位置付けになろう。外形サイズは普及クラスの人気DVDビデオプレーヤーより5mmほど背が高く、大型のディスプレイがトレイの下部に位置し、操作ボタン類のレイアウトなどもDVD-2500のデザインを踏襲している。

 オーディオ回路部や電源部には上級モデルDVD-5000やSシリーズのCDプレーヤーで評価の高いパーツを使用。安定したディスク再生のため、高剛性シャーシとモールドシャーシそしてプレートを組み合わせた複合構造のベースを採用して制振性を高めている。また、オーディオだけを楽しむ際に、ビデオ信号との干渉を防ぐために、ビデオ回路の電源をオフにするオーディオ・オンリ−モードを装備し、高音質再生を重視している。

◎DVDビデオプレーヤーとしても、これだけの実力

 DVDビデオプレーヤーとしてのクオリティや機能にも十分配慮され、ソース映像を高精度に復調するビデオレコーダー、微細レベルまで余裕の再現性を実現する高速・高精度のビデオDAコンバーターを採用。視聴ソフトに合わせた画質モードを選択できるが、デジタル処理のため信号の劣化もなく、ギラギラ感やザラつき感の除去、暗部の階調感補正などが可能。初期設定でのモニターに合わせた画質設定、再生時の画質設定を画面上で行えるなどの機能を持つ。

 また、夜間の視聴などに便利なセリフの音声レベル調整機能のシネマボイスモード、2chのスピーカーやヘッドホンでもサラウンド感を得られるバーチャルサラウンド機能も搭載されている。さらにドルビーデジタルデコーダー/DTSデコーダーを搭載しているので、アンプへの接続でコンプリートなサラウンド再生が可能である。

◎DVD-3300-Nの高音質を体感!

日本コロムビアの第1スタジオで行われた発表会の冒頭は「これがDVDオーディオだ!」(COAQ-1 ) からの1曲目"宮川彬良:シンフォニック・パラダイス"。いきなりの192kHz24ビットだ。その輝き、つや、奥行感、どれをとってもCDのその先を表現し、弦や管が今までのヴェールを取り去ったかのような音像で迫ってくるのである。

続いてインバル指揮による「R.シュトラウス:家庭交響曲/死と変容」(COAQ-2)から"死と変容"の一部。48 kHz/20ビットの5chだ。ジュネーヴのヴィクトリア・ホールを忠実に再現したというナチュラルなサラウンド感は、演奏に自然と意識が集中でき、ティンパニの響きが伝わる空気感が格別。

その他にも高精細な静止画像入りの作品やベートーヴェン交響曲全集6時間以上が1枚に収録された作品などの紹介もあり、DVDオーディオのもたらす多彩な可能性に体験できる日に期待はふくらむ。

DENON関連記事ページ http://elec.denon.co.jp/japan/DVD3300.html

執筆:麻野 勉(オーディオライター)

日本ビクター、ワーナーパイオニア(現WEAミュージック)勤務を経て、筆者に転向したソフト業界のプロ。レコード会社就職を望む若者たちへのガイド本も上梓した。AVレビュー誌でのDVDソフトクオリティチェックには定評がある。