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PRネットワークハブ「N8 Pro CLK」 の効果も絶大

“サブスク特化”のSilent Angelストリーマー「B1」。ヘッドホン&アクティブSPで使いこなしを徹底チェック!

公開日 2022/07/15 06:30 生形三郎
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ネットワークとオーディオを繋ぐ気鋭のブランド、Silent Angel



Silent Angelは、オーディオ用NASメーカーの元開発エンジニアが2014年にスタートさせたブランドで、ネットワークオーディオ用スイッチングハブや、小型で使い勝手の良いミュージックサーバーやネットワークトランスポートを手掛ける気鋭のブランドである。

Silent Angelのネットワークストリーマー「B1」(手前・オープン価格/市場実売価格79,200円前後)とネットワークハブ「N8 Pro CLK」(奥・オープン価格/市場実売価格330,000円前後)の音質をチェック!(※いずれも税込)

amazon music HDやTIDAL、Spotifyといったストリーミングサービスと連携する小型プレーヤー機器はもちろんのこと、その性能を十全に発揮させる強化電源や、ネットワークオーディオ再生において音質を大きく左右するスイッチングハブまでをラインナップし、ネットワークを活用したオーディオの楽しみを広げている。

B1シリーズは独自の「VitOS Lite」アプリで操作できる(なおM1シリーズを操作できる「VitOS」とは別アプリになる)

本稿では、同社のエントリークラスとなる、ストリーマー機能に特化した「B1」と、高性能なオーディオ用スイッチングハブ「N8 Pro CLK」 の概要と音質レビューをお届けする。B1は、内蔵のヘッドホンアンプでの試聴を中心に、据え置きシステムとしてAIRPULSEのアクティブスピーカー「A80」との組み合わせや、フルサイズの本格的なシステムに組み込んだ活用例を実施してその可能性を探る。

ディスクリート構成によるヘッドホン再生の密度の高さが好印象



B1は、Wi-FiやBluetoothを搭載した、様々なデジタルソースを手軽かつ高音質に楽しみたいユーザーのために設計されたネットワークストリーマーである。手のひらサイズのコンパクトボティで、既存のオーディオシステムにスマートに組み込んだり、パワードスピーカーと接続することで、amazon music HD、TIDAL、qobuz、Spotify Connectなどの各種ストリーミングサービスを楽しむことができるほか、DLNAに対応するのでネットワークストレージに保存した音源も再生可能となっている。

「VitOS Lite」アプリの楽曲再生画面。楽曲選択、ボリュームコントロールなどを直感的な操作で使用できる

「VitOS Lite」はストリーミング機能との連携を重視した設計となっている。また、B1はスマートフォン等のBluetoothデバイスと接続してレシーバー的な使用も可能

ヘッドホンアンプ部は、小型筐体ながらも電流帰還型のディスクリート構成設計となっており、高音質なヘッドホン駆動が追求されていることが大きな特長だ。また、本体の操作は iOS及びAndroid両対応の専用アプリ「VitOS Lite」でコントロール可能で、洗練されたGUIによって直感的な操作が実現されている。

B1の背面パネル。USB入力を持たず、ネットワークストリーマーに特化されている

「B1」の内部構造。電源をアナログとデジタルで分離して搭載するほか、電磁波ノイズを吸収する「EMIアブソーバー」を基板ごとに配置することでノイズ対策を実現

さらに、本機にはDACを持たない「B1T」も用意されており、純粋なストリーマー機能だけを利用し既存のオーディオシステムに組み込むことも可能となっている。

DAC機能を持たない純粋なトランスポートとなる「B1T」もラインナップ。RCA出力が省かれ、CoaxialのほかI2SのHDMIやAES/EBU等のデジタル出力を持つことも珍しい

B1は小型サイズにディスクリートで構成されたヘッドホンアンプを搭載するという特徴を鑑みて、ゼンハイザーのヘッドホン「HD800S」と組み合わせ音質を中心にチェックした。ハイレゾソースやストリーミング音源を再生したが、一聴して驚かされるのは、ニュートラルでプレーンなサウンドと、確かな駆動力だ。モニターヘッドホンとしても誉れ高いHD800Sの性能がしっかりと発揮されており、どのようなソースを再生しても、ナチュラルかつ的確なサウンドで音楽を再現してくれる。

ゼンハイザーのヘッドホン「HD800S」と組み合わせてテスト! ナチュラルかつ的確なサウンドがポイント

低域側もしっかりと応答し、充実したボトムがある。さらに、音の質感の良さも素晴らしく、忠実な音質でありながらも密度の高く心地よい音楽再生を楽しませてくれる。このあたりは、電流帰還型のディスクリート構成設計によるこだわりが色濃く反映されていると推察され、本機において重要なアウトプットとして装備されていることが伺える。シンプルなルックスとコンパクトなサイズと併せて、非常に快適な使い心地だ。

内蔵DACの音質は、ヘッドホン部分の充実さと比較すると、幾分ソフトフォーカスで穏やかな聴き心地が得られる。一方で、デジタル出力によってアクティブスピーカーや外部DACへ受け渡して使用すると、アクティブスピーカーやDACの能力は充分に発揮させることができたので、本体のDACを使用して手軽にストリーミング音質を楽しんだり、本格的なストリーマーとして外部機器と接続して楽しむことも可能だ。

AIRPULSEの「A80」とRCAケーブルで接続。アクティブスピーカーと組み合わせることでシンプルなストリーミング再生システムも構築可能

B1は、「ヘッドホンで聴く」という用途に加え、スマートな据え置き機として、そしてアクティブスピーカーや本格的なオーディオシステムへ組み込むなど、手軽に、なおかつ様々な使い方が楽しめるストリーマーなのである。

本格オーディオシステムにストリーミングを組み込みたい場合にも活用可能!

定位の明瞭度が著しく向上。B1の本領を発揮させるネットワークハブの威力



続いて、「N8 Pro CLK」 の実力もチェックする。本機は、同社オーディオ用スイッチングハブ「N8」の上位モデルとして登場したもので、高評価を得た前モデルを大幅にブラッシュアップしたものとなっている。ハイエンドクオリティを目指し、電源回路の見直しやターミナルの高音質化を実施した。

ネットワークストリーマー「B1」(上)よりサイズも重量感も大きいN8 Pro CLK(下)。ネットワークハブの重要性を改めて知らしめてくれる

電源回路には、高品位のスイッチング電源を採用した上で、高能率のDC/DCコンバーターと低リッピングLODリニアレギュレーター回路によってリップル電圧を低く抑えることにより、シャーシ内の温度上昇を抑えて安定したパフォーマンスを実現するなど、電源部への配慮もぬかりがない。さらに、DC12の外部入力を備えていることも、非常にこだわった仕様だ。

N8 Pro CLKの背面パネル。LANポートは8系統搭載する

スイッチングハブの心臓部とも言えるクロック回路には、安定したデータ転送を実現するためにオリジナルのTCXOクロック(温度補償型水晶発振器)を開発。同社のTCXOは、通常のTCXOと比較して80%以上も高い精度が実現されているといい、より正確かつ低ジッターな転送を可能としたそうだ。

加えて、本機もB1と同じく新開発のEMIアブソーバーが採用されており、筐体のボトム部分に設置することで基板から発生する電磁ノイズによる音質への影響を抑制している。イーサネットポートは8系統搭載されており、ゴールドメッキのポートを採用する他、各ポートの間隔を5mm空けることで、接続したLANケーブル同士の接触や干渉を抑える仕様となっている。

外部クロック入力でさらなるグレードアップが図れるほか、LANポート間のスペースを確保することで相互干渉を防ぐなど、さまざまな対策が施されている

なお、本機は外部の10MHzクロックを入力してさらなる音質追求を楽しめる仕様となっており、クロック入力機能を省いた「N8 Pro」もラインアップされている。

早速B1の前段に接続して、サーバーとの中継地点にN8 Pro CLKを挟んでみると、歴然たる差が現れた。ソフトフォーカスだった内蔵DAC出力のサウンドも、定位の明瞭度が著しく向上し、スッキリとした視界が立ち現れた。明らかにB1のサウンドのグレードがワンランク上がった印象である。今回はテストできなかったが、よりハイエンドな機器に適用した場合も、大きな効果が期待できそうだ。佇まいこそ、その名の通りややプロフェッショナルな無骨さがあるものの、本格的オーディオ用スイッチングハブとして非常に有望なラインナップと言えそうだ。

以上のように、Silent Angelのプロダクトは、手軽なストリーミング再生から高音質なネットワーク再生環境の構築まで、ネットワークを活用したオーディオの楽しみを広げる存在だということが体感できた。

(提供:完実電気)

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